石川県小松市を「美食のまち」として世界に発信し、地元農産物や食に関わるクリエイターたちの発信拠点を創造していくことを目標に発足された小松市美食バレー実行委員会が、日本酒とガストロノミー(美食)の融合をコンセプトとしたペアリングイベント「小松サケトロノミー」を開催した。
小松市美食バレー実行委員会は、酒蔵である農口尚彦研究所が中心となり、有機米生産者の護国寺農場と、有機野菜生産者の西田農園が参加するかたちで発足した。農口尚彦研究所は、日本最高峰の醸造家のひとりで、「酒づくりの神様」の異名をもつ農口尚彦杜氏の技術や精神を研究し、次世代へと継承していくことをコンセプトに、2017年に新設された酒蔵だ。
同委員会が2019年から開催している「小松サケトロノミー」の第七回目となった今回は、“前衛的地方料理”と称される富山県利賀村(とがむら)のイノべーティブ・レストラン「レヴォ」の谷口英司シェフを招聘し、農口尚彦研究所に隣接するかたちで昨年開業した「オーベルジュ オーフ」で開催された。レヴォの谷口シェフと、オーベルジュ オーフの糸井章太シェフ。北陸の美食を世界に発信するふたりのシェフが、一夜限りの共演を披露した。
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北陸の食材と美酒が織りなす、唯一無二のマリアージュ
2023年現在、東京と金沢間で運行している北陸新幹線は、24年の春には敦賀まで延伸され、小松もその停車駅となる予定だ。これまでは、石川県といえば、まず金沢、能登、加賀温泉などが観光スポットとして挙げられていたが、小松がもつ食、自然、または文化的ポテンシャルにおいても、今後大いに花ひらくことが予想されており、いま国内外から熱い視線を集めている。
その中心にあるのが、「酒づくりの神様」と呼ばれる農口尚彦が杜氏を務める農口尚彦研究所と、30歳の若きシェフが率いるオーベルジュ オーフだ。小松駅からクルマで約30分の距離にある観音下町に隣接する両者は、どちらも小松の自然豊かな山里に育まれた、良質な水や食材の魅力を最大限に活かすことで、ここにしかないオリジナリティあふれる個性を表現している。この日もオーベルジュ オーフでは、地元の生産者や漁師から届いた新鮮な肉、魚、野菜に加え、オーベルジュ周辺の野山で採れた、山菜や野草もふんだんに使われた。
「僕と谷口シェフで、いま一番使いたい食材を持ち寄って、その魅力を活かすための方法を話し合いながら、一皿ずつ共作で考案させていただきました」と、オーベルジュ オーフの糸井シェフは語る。そのメニューに農口尚彦研究所の酒をペアリングする際にも、ソムリエは酒の温度やグラスの種類を変えながら、それぞれの酒の個性を最大限に引き出しつつ、料理との相乗効果を演出した。まずは美食と酒を通じて、まだ知られていない、小松の魅力に触れてみるのもいいだろう。
問い合わせ/小松市美食バレー実行委員会
https://komatsu-bishoku.jp