さまざまな分野でリバイバル現象が起きて久しいが、ファッションでのそれは最も顕著だと言えるだろう。
例えば現在もモード界にの帝王として君臨し続けるジョルジオ アルマーニ。個人的に最近、アルマーニの70年代(ブランドスタートは1975年)や80年代半〜90年代初頭の古着を手に入れ、オーバーサイズ気味のサイズ感でよく着ている。
先日、そんな手持ちのヴィンテージアルマーニの中からコートとパンツを合わせて着てみたのだが、なぜだかそれまでと違った印象を感じたのだ。コートは膝下まで長めの丈、パンツはアルマーニらしいもも周りに適度なゆとりのある緩やかなテーパードシルエット。
それぞれ単品としては何度も着ていたのだけど、手に入れたタイミングがかなり違うので、合わせて着たことはなかった。同じデザイナーの服同士だから相性が良いのは当然なのだろうが、スタイリストの性分なのか、どうしてももっと違う角度から攻略してみたくなってしまうのだ。しかしこの時は、それぞれの年代も大きく違うことから興味が湧いて、合わせてみることにしたのだと思う。
長めのコートの裾から覗く緩やかなテーパードと、カジュアルながらもエレガントさの漂う生地感が重なり、自分の知っているとても"アルマーニらしい"表情が出ていた。
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"裾"に注目をして過去のコレクションを見てみると……
でもこれは、キーワードとして認識していたアルマーニらしさというより、記憶の中でアルマーニらしさと捉えていたディテールだった。
その記憶を確かめるべく、裾に注目して、アルマーニの過去のコレクションを見返してみた。するとやはり期待した通り、長めのコートと、パンツの表情に特徴のあるルックがほぼ毎シーズン数体は発表されていた。
アルマーニといえば、ソフトスーツに代表されるスラウチ(身体にフィットし過ぎないルーズなシルエット)なフィッティングに耳目が集まるけれど、この長めの着丈とパンツのシルエットも、アルマーニを成立させる重要な要素だったのだ。それに気づけたことが嬉しい。
長めのレングスに注目してみると、ヨウジヤマモトも思い浮かぶ。こちらもほぼ毎シーズン長めの着丈のトップスと、独特なバランスのパンツ丈で構成されたルックが登場する。
どちらのブランドも創業デザイナーがいまもクリエーションを続け、シーズン毎に劇的に変化するタイプのコレクションではないところが共通している。一定の美学と人物像が貫かれた服って、格好いい。
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