気鋭アーティスト奈良祐希の美学を感じる、「愛用品」と「欲しいもの」を一挙に公開!

  • 写真:湯浅 啓
  • 編集&文:佐野慎悟
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自分の定番アイテムと、いま「欲しい」と願う新作。ここでは、クリエイターが明かしてくれた“エッセンシャル”と最新ウィッシュリストを公開する。

Pen最新号、2023年春夏ファッション特集『買いたいもの最新リスト』より抜粋して紹介。

現在発売中のPen最新号、2023年春夏ファッション特集『買いたいもの最新リスト』では、人気メゾンから届いた今季を象徴する逸品、トレンドを取り入れ、着こなすためのキーアイテム、モダンで使い勝手のいいリアルクローズなど、Penがお薦めするアイテムの最新リストを掲載。ファッション業界の買い物好きに訊いたマイルールやクリエイターの定番アイテム&ウィッシュリストなども紹介。魅力的な品々から、“買いたいもの”を見つけてほしい。

『買いたいもの最新リスト』
Pen 2023年5月号 ¥950(税込)
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石川県・加賀の名店で知る、最高峰の美学

陶芸と建築を股にかけ、互いがもつ偶然性と作為性という、相反する要素の融合を試みる奈良祐希。仕事の拠点も陶芸アトリエがある金沢と、自身が主宰する建築設計事務所がある東京の両方に構えており、どちらの街にも行きつけのショップがあるようだ。

「僕は一度気に入ったらずっと同じようなものを着るタイプなので、白シャツだけでも相当な数をもっています。デザインにどこかヒネリのあるコレクションブランドのものが多くて、なかでも特に気に入っているのが、イッセイ ミヤケ メンのスタンドカラーシャツです。これは6年ぐらい前に買ったもので、汚さないように大事に使っています」

そんな奈良さんが今シーズン気になるアイテムとして選んだのが、金沢市からほど近い、加賀市にあるフェートンの商品。オーナー坂矢悠詞人さんの審美眼には絶対的な信頼を寄せており、新作の説明を受けるたびに、ファッションの新しい扉が開かれていくそうだ。

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イッセイ ミヤケ メンの白シャツ

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“白シャツマニア”を公言する奈良さんが、多数所有する白シャツの中でも特に気に入っている一着。「イッセイ ミヤケらしい空間的なデザインが気に入っています。僕の陶芸作品にも通じるのですが、やっぱり白色は中性的で好きなんですよね」

クリスヴァンアッシュのトレンチコート

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クリスの講義を聴くために、わざわざアントワープの大学まで行ったこともあります。結局全部フランス語で内容はわかりませんでしたが(笑)。シルエットが好きで、ずっと愛用しています」と奈良さん。

コーベルトのコート

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匿名のデザイナー3人が手がけるコーベルトのコートは、金沢のセレクトショップで購入したもの。「アノニマスなデザイナーたちが、素材も縫製も最高峰にこだわり、究極のメイド・イン・イタリーのものづくりを追求していく姿勢に共感しています」

ファーバーカステルのパーフェクトペンシル

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奈良さんが陶芸作品や建築設計のデッサンを描く時に使用している、ファーバーカステル「パーフェクトペンシル」。「僕は線を何回も引き直してラインを探っていくタイプなので、鉛筆がいいんです。この鉛筆はほどよい緊張感を保てるので気に入ってます」

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オーデマ ピゲのロイヤル オーク

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世界限定300本の「ロイヤル オーク」は、鮮やかなブルーの文字盤が特徴。「オーデマ ピゲさんとコラボレーション展示をさせていただいた時に、時計デザインの深遠な世界を始めて知りました。時計を工芸的な視座で捉えるブランドの理念に深く共感しています」

ディオール×リモワのショルダーバッグ

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ディオールとリモワのコラボバッグは、中身が財布のように間仕切りされていて、これひとつで必要なものがすべて持ち運べるデザイン。「まるでスーツケースが身体性を帯びたような見た目なので、日常でちょっとした旅気分も味わえます」

アイ・オー・データのポータブルハードディスク

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「建築や陶芸のデータはすべてこれに格納しています。アイ・オー・データは、僕の地元金沢の会社です。高精細な超薄型アルミパネルに日本の板金技術を採用するなど、日本のものづくりをガジェットに応用しているところが気に入って使っています」

ラファエルの水彩筆

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「建築をデザインする時に、デッサンと水彩で簡単にスケッチを起こすのですが、僕の場合は緑や空の色がないと、イメージが広がらないんです。この筆は藝大受験の時から15年ぐらい使っています」。パレットは水はけのいいスチール製を愛用している。

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イザベラ・ステファネッリのガウン

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¥522,500/イザベラ・ステファネッリ(フェートン TEL:0761-74-1881)

イザベラ・ステファネッリは、手機織機による生地の生産から、染色、縫製まで、すべてを自身で手がける作家性の高いデザイナー。「これはファッションという狭い枠を超えて、もはや工芸やアートとも呼べるものだと思います」

ジェフリー B. スモールのロングコート

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¥1,199,000/ジェフリー B. スモール(フェートン TEL:0761-74-1881)

繊維が細く、光沢感豊かなピアチェンツァの最高級アラシャンカシミアを使用したシリーズ。「これは素材の圧倒的な手触りのよさに惹かれました。陶芸でも手に持った時の感触を大事にしますが、このコートにもそれに近い感覚を覚えました」

トゥーグッドのドレスシャツ

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左¥77,000、右¥57,200/ともにトゥーグッド(フェートン TEL:0761-74-1881)

毎シーズン新たな素材で提案される「ドラフツマンシャツ」は、広めの身幅と短めのスリーブが特徴。右は定番のコットン素材で、左は新作のリネン素材。「大好きな白シャツはもちろん、これからの季節はリネンシャツもいいですね」

 

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奈良祐希
陶芸家/建築家

石川県金沢市生まれ。十一代大樋長左衛門を父にもつ陶芸家であると同時に、建築家としても活躍。金沢21世紀美術館に作品を収蔵。4月に建築処女作の「Node」と「Cave」が竣工。夏に淡路島で個展を開催予定。