スイス・ジュウ渓谷で体感した、未来を拓くオーデマ ピゲの革新性

  • 文:髙木教雄
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2020年に完成した「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」。ガラスで覆われたその内部は、実に開放的。写真はクロノグラフの展示コーナーで、手前にはスプリットセコンドクロノグラフの概念を示す模型が置かれている。

世界三大時計ブランドのひとつに挙げられる、オーデマ ピゲ。1875年創業の老舗メゾンにとって、世界中がコロナ禍に翻弄された3年間は、決して雌伏の期間ではなかった。2020年の新ミュージアムを皮切りに、ホテル、そして新ファクトリーを次々に完成させていたのだ。メゾンの革新性を研ぎ澄まし、誇りとする創業の地ジュウ渓谷の発展に寄与する、オーデマ ピゲの新たな拠点となる3つの建物をリポートする。

優れた独創性を発揮する、ジュウ渓谷の至宝

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「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」の建物は、緑化した屋根により周囲の草原と融和する。右側には最初のアトリエが、奥にはマニュファクチュールが見えている。

スイス・ジュネーブから北に約60km。幾層にもうねる峠道をクルマで抜けると、霧がかった先に見えるのが今回の最初の目的地、ル・ブラッシュだ。ジュウ渓谷に位置する山麓の静かな町だが、「ウォッチ・ヴァレー」の別名でも知られる超高級複雑時計の聖地である。オーデマ ピゲはル・ブラッシュを代表する時計メゾンであり、その本社は創業以来この地を一度として動いたことがない。

2023年の1月下旬に訪れたル・ブラッシュは、まだ深い雪に覆われていた。ガラスで覆われた近代的なマニュファクチュールの建物の隣には、メゾン最初のアトリエが、1907年に拡張された当時の姿のまま残されている。この歴史的建造物は、創業者ジュール=ルイ・オーデマの住居でもあった。

この建物に象徴されるように、オーデマ ピゲをはじめ、ジュウ渓谷に集う多くの時計メゾンの歴史は、深い雪に覆われる冬、農家がムーブメントパーツの製作をジュネーブの時計ブランドから請け負っていたことに始まる。オーデマ ピゲも1875年の創業から1881年までは複雑機構を得意とするムーブメント会社であった。

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冬にはあたり一面と屋根とが雪に覆われ、「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」はジュウ渓谷の風景に溶け込む。かつては厳しい冬のさ中に、ムーブメント製作が営まれていた。

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本社マニュファクチュールが面する道は、冬の間に製作し完成した部品を春にジュウ渓谷からジュネーブまで運ぶ、その名もズバリ、「シュマン デ オルロジェ(時計師の道)」。この地では時計の基礎となるパーツがつくられていたことから、ジュウ渓谷は「時計のゆりかご」とも呼ばれ、スイス時計産業の中心地として発展してきた。

そんなジュウ渓谷の中でオーデマ ピゲは、今日まで創業者一族による家族経営が続く唯一無二の存在である。ゆえに外部からの声に煩わされることなく、自身が信じる時計製作に邁進してこられた。そして時計機構においても、またロイヤル オークに代表されるようにデザインにおいても、優れた革新性と独創性を発揮してきたのである。

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ミュゼの館内に組み込まれた複雑機構の組み立て工房。全面ガラスとなった外壁は、陽光をたっぷりと建物内部に届け、時計師の手元を明るく照らす。

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単なる展示に留まらない、体験型ミュージアム

前述したオーデマ ピゲの最初のアトリエが入っていた建物は、2000年からミュージアムとして一般に開放されていた。それが2017年、建物の裏手に新たなミュージアムの建設が着工したことに伴い閉館。そして2020年7月にメゾンの過去と現在、そして未来の姿を伝える「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ(以下ミュゼ)」が完成した。

本来であれば、完成時に取材に訪れる予定であった。しかしコロナ禍により断念。3年越しに実現した訪問は、驚きに満ちていた。

写真でしか見たことがなかった、BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)設計による二重スパイラルの前衛的な建物は、実際に目にすると予想以上にジュウ渓谷の景観や隣接する歴史的建造物と溶け込んでいた。それは屋根が緑化されているからであり、また躯体の周囲をガラスで覆い景観を建物内部に取り込んでいるからであろう。建物の高さを抑えているのも、既存の建造物との調和にひと役買っている。

螺旋状の回廊でつながれた館内には、300を超えるオーデマ ピゲの歴史的タイムピースが展示されている。加えてジュウ渓谷の時計製作の歴史を紹介する展示物も豊富だ。また、メゾンが得意としてきたカレンダー、クロノグラフ、ミニッツリピーターをはじめとするチャイミング機構の展示コーナーには、それぞれにメカニズムの基礎が理解できる模型も一緒に置かれている。さらにペルラージュとサテンの各仕上げや、ムーブメントに使われるネジをドライバーを使って締めるなど、時計師気分が味わえる体験型の催しも用意しているのが実に楽しい。

そしてなにより驚かされたのが、ミュゼ館内に複雑機構の組み立て工房が組み込まれている点。これが、その名に“アトリエ”を冠しているゆえんだ。来館者は、時計師が組み立てをする様子を見学することができる。ガイド曰く「アトリエは完全防音されているから、見学者の声が作業を邪魔することはない」とのこと。ほかにもエナメルをはじめとするメティエ・ダール(工芸技術)の工房も組み込まれ、オーデマ ピゲの複雑機構と美の誕生が、目の当たりにできる貴重な体験が、ミュゼでは待っている。 

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上:手前に写るのは、ジュウ渓谷の時計一族の家系をたどるオブジェ。オーデマ家やピゲ家以外にも、ルクルト家の名も見つけられた。 下左:館内は、スパイラル状の回廊。館内の壁もガラス製で、その風景が見渡せる。 下右:機械式時計やトゥールビヨンの構造がわかる模型が、ツアー最初に展示され、まず理解が深められる。一般見学は、火~土曜日の14時と15時にスタートする英語・仏語・独語のガイドが付く、完全予約制のツアーが用意されている。入場料は大人30スイスフラン。
https://www.museeatelier-audemarspiguet.com

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ジュウ渓谷の自然に根差した、4つ星高級ホテル

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ジグザクの回廊が4フロアをつなぐホテル背面。50の客室すべてが、草原と森に面するネイチャービューとなっている。コンベンション施設ももち、地下にはジムとスパとを完備する。

 創業者ジュール=ルイ・オーデマの住居のすぐ近くには、アトリエ開設以前からジュウ渓谷へのビジターを迎え入れるホテル「オテル ド フランス」が、営業を続けていた。この1857年創業の老舗ホテルが2000年に廃業すると、その3年後にオーデマ ピゲは買い取り、改修を施した上で、2005年に「オテル デ オルロジェ(時計師ホテル)」の名で営業を再開させていた。その名は、マニュファクチュールとホテルとが面する前述した道「シュマン デ オルロジェ」にちなむ。

木造の素朴な山小屋風の建物は、ル・ブラッシュの住人やここを訪れる人たちに愛されてきたが、老朽化が進んだこともあり2018年に建て替えが決定。そして2022年6月、「オテル デ オルロジェ」は、モダンな高級4つ星ホテルに生まれ変わり、グランドオープンを果たした。

設計は、ミュゼと同じBIG。彼らは旧「オテル ド フランス」の歴史を建物に受け継ぐかのように、道路が面するファサード側の高さを低く抑え、外壁に木を用いた。そして道路と建物背後の傾斜に合わせ、ジグザクの回廊で地上4フロアをつなげることで、ジュウ渓谷の風景にも馴染ませてみせたのだ。

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左:3タイプあるスイートの中で、こちらは「シグネチャー スイート」。広々としたリビングとダイニング、オフィススペースが設けられている。 右:最もスタンダードな「ヴァレー ゲストルーム」。キングサイズのベッドが置かれ、ゆったりと眠りにつける。

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フランス・リヨンを拠点とするAUMが手掛けたインテリアもまた、ジュウ渓谷の自然に根差していた。内装の随所にジュウ渓谷で採れる木や石を多用。明るいロビーの天井からは白木のオブジェが釣り下がる様子は、ジュウ湖に映るリズーの森を想起させる。ジグザグになった回廊に沿って並ぶ、5タイプ50の客室の床と天井にはリズーの森の杉材を使用した。

そして客室内に踏み込むと、そこにはドラマティックな光景が出迎える。全面ガラスとなった窓からホテル背後に広がる草原と森の風景が一望できるのだ。そしてこの自然を後世に残すため、ホテルの運営は持続可能なことが最優先され、「Minergie-ECO」による環境認証も獲得している。

またメインダイニングの「レストラン ル ゴガン」のメニューは、フランスのミシュラン3つ星シェフ、エマニュエル・ルノーが担当。地元の食材を使った洗練されたコース料理が提供される。ロビーの奥にある「バー デ オルロジェ」でも、ルノーによるアラカルト料理を用意。さらにリズーの森の植物を使ったオリジナルカクテルをはじめ、ジュウ渓谷産のビールやウイスキーなどがメニューを彩り、ジュウ渓谷の自然を五感で楽しめる。

オーデマ ピゲが、「オテル ド フランス」を引き継いだのは、ジュウ渓谷の観光の発展に寄与するためであった。新しく生まれ変わった「オテル デ オルロジェ」は、ジュウ渓谷の大自然に抱かれているかのような寛ぎを提供し、地元の産業と遺産のプロモーションにも貢献しているのだ。

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白木のオブジェが天井から釣り下がるロビー。フロントデスクと一体となったソファは、ジュウ渓谷から採掘されるアンモナイトの化石たモチーフだ。
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「レストラン ル ゴガン」のインテリアは、渓谷がモチーフ。開口部を広く採り、周囲を景観を取り込んでいる。自社菜園も有し、採れたての野菜がメニューを彩る。

オテル デ オルロジェ(Hotel des Horlogers)

住所:Route de France 8, 1348 Vallée de Joux,スイス
TEL: 41 21 845 08 45
客室数:全50室
料金:1室CHF381〜 ※現地にて別途宿泊税
www.hoteldeshorlogers.com

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メゾンの未来を築く、複雑機構の新たなる製造拠点が誕生 

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ル・ブラッシュからクルマで1時間半ほど北上し、フランスとの国境沿いに位置する山間部の町、ル・ロックル。多くの時計メーカーが集積する時計の町として名高い。その郊外の丘陵地に建つ、「オーデマ ピゲ ル・ロックル」。敷地本来の形状を極力壊さぬよう、建物は傾斜や形状に合わせたモジュール式とし、傾斜部にはキャンティレバーが長く伸びる。

ミュゼには、1882年に製作された永久カレンダーとムーンフェイズ、クォーターリピーター、そしてクロノグラフをひとつに統合したオーデマ ピゲ初の「グランドコンプリカシオン」が展示されている。以来今日まで、150年近くにわたってグランドコンプリカシオンをつくり続けてきた。

複雑機構こそが、オーデマ ピゲの伝統。それを継承する新たな製造拠点が2021年春、ル・ロックルに完成した。新アトリエの名は、「オーデマ ピゲ ル・ロックル」。その前身は、複雑機構に特化した高級ムーブメント会社「オーデマ ピゲ ルノー・エ・パピ」である。建物と名前は変更されたが、業態は継承され、他社へのムーブメント供給は継続されるという。

丘陵地に建つ新ファクトリーは、敷地の傾斜に合わせ棟を伸ばした1フロア構成で、延床面積は1万400平米と広大。そして壁面にはガラスが多用され、前述したミュゼやホテルと同じく、周囲の景観を内部へと巧みに取り込んでいる。新施設においても引き続きディレクターを務めるジュリオ・パピは、「上下の移動がなくなった分、作業連携がしやすく、また明るくて快適」だと、新ファクトリーに大満足の様子だ。

この壁面ガラスは、自然光により自動的に濃淡が変化するエレクトロクロミックガラスで、熱調整も可能としている。新ファクトリーもまた、ホテル同様に自然環境に配慮しているのだ。

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左:組み立て工房は窓が広く採られ、実に明るい。ここから至高のコンプリケーションが生み出される。 右:最新鋭の小型の精密工作機械を導入。プロトタイプの製作やワンオフのパーツ製作に大活躍する。

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新ファクトリーでは、工作機械をはじめ、新たな設備投資により、生産能力は一層向上したという。たとえばこれまで外部に依頼していたチャイミング機構のゴングも自社製造が可能となり、今年の新作から用いられている。

さらにル・ブラッシュでも、駅の近くに新マニュファクチュール「アルク」の建設が進行中だ。完成予定は2024年で、2025年初頭からの稼働を目指している。昨年のオーデマ ピゲの年間生産本数は過去最高で、5万5001本だった。アルクが完成した暁には、これが年間6万本まで増やされるという。そのための人材育成は既に始まってる。オーデマ ピゲの時計製作の歴史を未来へとつなげる準備は、確実に進む。

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広々としたマニュファクチュールのロビーには、さまざまな部門のスタッフが一堂に揃えるギャザリングスペースを設けた。部門を超えた情報交換が生まれる様子は、まるで最先端のIT企業のようだ。

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超複雑機構を日常使いの腕時計に! 新作「ユニヴェルセル」の凄さとは?

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右側インダイヤルの12時間積算計に月表示を、左側の30分積算計に曜日表示を統合。12時位置は日付、トゥールビヨンの右側が2桁の西暦表示で、左側には昼夜表示が備わる。

オーデマ ピゲは今年、先述の新アトリエ「オーデマ ピゲ ル・ロックル」にて、新作コンプリケーションの数々をお披露目した。なかでも我々を驚かせたのは、メゾンが製作してきた腕時計の中で最も複雑な「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル RD#4」(以下ユニヴェルセル)であった。

グラン&プチソヌリ、ミニッツリピーター、スプリットセコンドクロノグラフ、トゥールビヨン、そして永久カレンダーをひとつに統合した自動巻きムーブメントは、まさにウルトラ コンプリケーションを名乗るにふさわしい。モデル名に冠した「ユニヴェルセル」とは、1899年にオーデマ ピゲがドイツの時計メーカー、デュルスタイン・ウーレンファブリーク・ユニオン・グラスヒュッテに販売したメゾン史上最も複雑なムーブメントの名から受け継いでいる。

現代に蘇ったユニヴェルセルに備わる各複雑機構には、現代のオーデマ ピゲがもつ革新性が宿る。チャイミング機構には、音響盤により音色の増幅を図る、2018年に完成したスーパーソヌリを導入。既存の機構では、音響盤に特殊合金を用いていたが、ユニヴェルセルでは0.6mm厚のサファイアクリスタルにゴングを取り付け、共鳴室を形成する裏蓋を開閉式とすることで、同機構では初めて内部のムーブメントをが見られるようになっている。

トゥールビヨンには、2022年に発表された「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン RD#3」で実現された超薄型のフライングトゥールビヨンを継承する。

スプリットセコンドクロノグラフは、新設計。オーデマ ピゲ ル・ロックルの設計チームは、ユニヴェルセルを日常使いに支障のない薄さにすることを目指した。そして自動巻き機構にはローターを円状のボールベアリングで取り付けるセミペリフェラル機構を考案。ボールベアリング内側の空間に、ふたつが重なり高さが必要なクロノグラフとスプリットセコンドの各駆動車を収め、厚みを抑えてみせたのだ。この新しいセミペリフェラルローターは、通常のローターと変わらぬ回転効率が備わっているという。 

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左:ケース左サイドには3つの操作ボタンを装備。各ボタンには役割を示す文字やアイコンが刻まれる。 右:裏蓋を開けると、サファイアクリスタル製の音響盤越しに内部を覗かせる。ローター中央に、スプリットセコンドクロノグラフ機構の一部が組み込まれている。

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さらに革新的であったのは、永久カレンダーである。まず注目すべきは、その操作性だ。多くの永久カレンダーは、各暦表示の調整に専用のコレクターを必要とする。対してユニヴェルセルは、クロノグラフ用のプッシュボタンにリューズを統合したスーパーリューズを開発。2時位置のスーパーリューズは、ソヌリ機構のグランとプチの切り替え用に割り当て、4時位置のリューズでは月表示を前後に動かせるようにした。

また日付は、通常のリューズでこれまた前後に調整が可能だ。日付と月の各表示が、前後に操作できるのは極めて異例のこと。たとえ進めすぎたとしても戻せるので、調整に気を使わなくて済むから安心だ。さらにケース左サイドには3つのボタンが備わる。上のボタンは、ソヌリのON/OFF切り替え用。中央は曜日送り、下側はデイ/ナイト機構の切り替え用となっている。つまりトゥールビヨンの右側に備わる2桁の西暦表示を除く暦表示は、すべて指先でだけで調整可能としているのだ。

それだけではない。ユニヴェルセルは、動かし続ければ、2400年3月1日までカレンダーの調整を不要としてもいる。グレゴリオ暦における閏年のルールは複雑で、西暦が100で割り切れる年は閏年とせず、それが400で割り切れる場合は閏年となる。つまり2100は閏年ではなく、2400年は閏年となる。ゆえにほとんどの永久カレンダーは、2100年に調整が必要となる。

対してユニヴェルセルは、100年周期に対応し、2400年まで調整不要としたのだ。これを可能としたのが、西暦表示だ。10の位のディスクが0を示した際(つまり100年の経過)、2月29日をスキップさせる機構が備わっているのだ。

開発の指揮を取ったジュリオ・パピによれば、「トゥールビヨンをなくして、西暦を4桁表示にすれば、400年周期にも対応させられる」とのこと。

オーデマ ピゲは、真の意味での永久カレンダーの開発に成功したと言えるだろう。 

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「ユニヴェルセル」は素材とダイヤルデザインの違いにより4つのモデルを展開する。そのうち、2モデルをスケルトンダイヤルとした。自動巻き、ケース径42mm、パワーリザーブ約64時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ。左:18KWGケース、右:18KPGケース。各¥262,240,000(時価・参考価格)

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ソリッドダイヤルは、ブラックとベージュのパンダをラインナップ。自動巻き、18KWGケース、ケース径42mm、パワーリザーブ約64時間、シースルーバック、アリゲーターストラップ、各¥237,655,000(時価・参考価格)

問い合わせ先 / オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000