米紙が報じたアカデミー賞授賞式2023「ベスト&イマイチなシーンは?」

  • 文:安部かすみ
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近年、アカデミー賞授賞式のテレビの視聴率(放送局ABC)の低下が囁かれているが、先週末に開催された第95回授賞式の視聴率は2020年以来でもっとも高かったことがわかった。

市場調査企業ニールセンの発表によると、今年の視聴者数は平均1876万ビューワーで、昨年から200万ビューワー以上増えた。2年連続で視聴率は伸びていて、オスカー人気は復活中かと思いきや、これでも依然として3番目に少ない視聴者数だという。

ちなみに史上最低の記録は、日程が延期となり式の規模も大幅に縮小した2021年の授賞式。その時は1040万人ビューワーだった。それに比べれば、今年はかなり復活した数字を示した。

昨年と比べて今年はビンタ事件(詳細は以下)のようなショッキングな事件はステージ上で起こらなかったし、アジア勢による涙を誘うスピーチも数字に表れたようだ。本稿では、米メディアが報じた記事から「今年のベストシーン」と「イマイチなシーン」をピックアップする。

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最も歴史的な勝利:ミシェル・ヨーがアジア系初の主演女優賞

言わずもがな多くのメディアで、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞を獲得したミッシェル・ヨーの勝利が高く評価された。95年の長い歴史の中で、アジア系がオスカー像を獲得したことはこれまで一度もなかったのだから。ニューヨークタイムズは「マレーシア系パフォーマーにとって初の勝利で、多くのアジア系アーティストにとって突破口になった」と報じられた。

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最も心を動かされた受賞:キー・ホイ・クァン

『インディ・ジョーンズ』や『グーニーズ』で子役として成功後、俳優キャリアが20年間停滞。満を辞して51歳の今、『エブエブ』で助演男優賞を獲得した共演者のキー・ホイ・クァンも、オスカーを獲得した初のベトナム生まれのパフォーマーとして高く評価された。ニューヨークタイムズによると、同じ年に起こった複数のアジア系の勝利は同授賞式で初のことだという。 

「私の旅は船から始まり難民キャンプで1年間過ごした。 そしてどういうわけか私はハリウッドの最高のステージにたどり着いた。これはアメリカンドリームだ」。涙ながらの感動のスピーチは「最も心を動かされた受賞」と高く評価された。

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ベストポップ・スーパースター・パフォーマンス:リアーナとレディー・ガガ

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2つのまったく異なるアプローチによる展開を見せた2人の歌姫。「レディー・ガガはレッドカーペットでゴシックメイクを落とし、ジーンズとTシャツを選んだ予想外のアプローチが功を奏し強い印象を与えた。リアーナの歌声も会場を圧倒させた」とニューヨークタイムズ。ローリングストーン誌も「無駄を削ぎ落としたレディー・ガガ」「リアーナのお腹の子は誰もが夢見る権威あるイベントに既に呼ばれた」と両アーティストを評価した。

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すぐに次の話題へ:ジミー・キンメルが平手打ちについて冗談

主催者側にとって、居心地の悪いシーンもあった。ベテラン司会のジミー・キンメルは、ステージ上でウィル・スミスがクリス・ロックを平手打ちした昨年の事件をジョークにし、笑いを取った。しかし「アカデミーの主催者側はショックを与えたこの暴力事件については、冗談でさえもステージ上で振り返って欲しくなかった」とニューヨークタイムズは報じた。

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イマイチ…虫の居所が悪かった?俳優のインタビューの受け応え

さらにいくつものメディアが報じていた「イマイチなシーン」は、プレゼンターとして招待されたヒュー・グラントのレッドカーペットで受けたインタビューシーンだ。SNSでも「態度が悪い」「どうしたのだ?」と話題になった。

問題のインタビューは、アシュリー・グラハムが明るく「今日は誰に注目しているの?」と質問。グラントは「特にいない」と返事した。今日の衣装について尋ねられると「ただの私のスーツです」とグラント。グラハムが「でも自身で作っていないですよね?」に対して「忘れたけどテイラーに作ってもらった」。映画『ナイブズ・アウト: グラス・オニオン』に出演した感想については「3秒しか出演していないので…」とそっけない回答を貫いた。虫の居所が悪かったのか、クールなイギリス人の性格が災いしたのか? 終始、グラハムはまったくめげずに明るく対応した。彼女のプロとしての姿勢は「ベストシーンの1つ」と評価されても良いだろう。

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