映像やパフォーマンス、立体に絵画とメディアを限定せず、鑑賞者の理性と感性に問いかけるインスタレーションを展開する曲者アーティスト、泉太郎の個展『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx. :泉太郎』が東京オペラシティアートギャラリーで開催中だ。会期は3月26日まで。
会場に入ると、並んでいる椅子にQRコードを記したシートが置かれており、そこにいる人のほとんどが白いマントのようなものを着ている。QRコードを読み取ると、音声データへと導かれる。女性と男性のひそひそ話が聞こえてくる。「いまから、いくつかのルールをあなたに伝える」という女性と、「それはできない」という男性の声。
女性の声を聞いていると、野生に戻る(=展示を回る)ためのルールとインストラクションだということがわかる(男性は「やだよ」とか「やりたくないよ」という掛け合い)。まずコインロッカーに行き、そこに入っているのがみんなの着ている白いマントなのだ。これを着ることで、美術館の壁に溶け込んで「美術館のコスプレ」をする。早速上着を脱いで羽織り、会場奥へと向かう。
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この個展で作家は、古墳や陵墓、ストライキ、再野生化、仮病、鷹狩りにおけるマニング(懐かせる)やフーディング(目隠し)など、数々のキーワードが絡み合う思考のプロセスと、コスプレ、キャンプ、被葬のような体験を織り交ぜ、不可知に向き合い続けるための永久機関を立ち上げることを目指している。野生になることはどういうことか。17分ほど続く話し声にきちんと耳を傾けて、ルールに従って展示を回ってほしい。最後にはマントを脱いで古墳に見立てたテントを立て、VRによる被葬体験が待っている。泉太郎が仕掛けたプレイに乗っかることで、演劇に参加した演者のような作品体験ができるはずだ。
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『Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎』
開催期間:2023年1月18日(水)〜3月26日(日)
開催場所:東京オペラシティアートギャラリー
東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:11時〜19時
※入場は閉館の30分前まで
休館日:月
※祝日の場合は月曜開館、翌火曜日が休館
入館料:一般¥1,200
※予約優先チケットあり
https://www.operacity.jp/ag/