メルセデスのSLといえば日本のMCユニット、BUDDHA BRANDいうところの「モノホンプレイヤー」のための2シーターオープン。V8エンジンのハミングを聴きながら、ゆったりクルーズする姿は「別格!大人のライセンス」って話を遠い昔にした気がするんだけど(笑)、AMGが手がけた新型SLは完全な宗旨変更。思いきりスポーティーなロードスターとして生まれ変わった。BUDDHA BRAND的にいえば「ライク・ア・御用牙」から「完全無欠の御用牙」って感じかな(笑)。
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新開発された専用のプラットフォームに搭載されるのは2リッターの直列4気筒ターボで、遠い昔の記憶は一刀両断される。SLを知る諸兄と同じく疑心暗鬼で乗ったものの、これがヤバイぐらい楽しい(笑)。同門のAMG GTが速さを極めた最高峰だとすると、SL43の走りはキャラの方向性が違っていて、ドリフトコントロールや後輪操舵のような最新の姿勢制御には頼らない、往年のレーシングクーペみたいな味わいなんだ。
そこでいい味を出しているのが直4ターボ。AMG A45と同じM139型なんだけど、SLは電動排気ターボと呼ばれる新構造のターボを採用している。F1由来とされるこのターボは電動でターボシャフトを回転させることでラグを解消しつつ、さらにコンプレッサーを最高17万回転まで回すことができる。小型ターボの応答性と、大型ターボの高いピーク性能を兼ね備えたターボなのね。
これがどんな感じかというと、シフトアップのたびにはちきれんばかりの音ともに巨大なトルクが解放される。これがめちゃくちゃ気持ちいいのね。エンジンの地力とターボのアシストがシームレスに連携することで、排気量自体が上がったエンジンのようにも感じられる。ただ高級スポーツカーの自然吸気エンジンを装う感じじゃなくて、濃密でトルクフルなキャラクターとともに、高性能ターボが搭載されていることを実感させてくれるんだ。
峠に行けば、ロングノーズでロングホイールベースだからか、やんわりとアンダーが出る。低速からしっかり出るトルクを使えばアクセルドリフトによるテールスライドも楽しい仕様。これサーキットで遊ぶなら相当に楽しいはず。ステアリングにエンジンや路面のいろんなところからのバイブスが伝わってきて、臨場感がめちゃくちゃあるし、1970~80年代にかけてWRCにスポット参戦してドリフトしまくっていた450SLCとか「こんな感じだったのかなぁ」って想像しちゃったね。まぁ、ロングノーズのドリフトは大人を越えて、ゴッドファーザー級のライセンスが必要だけどね(笑)。
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先代のSLよりコンパクトになった印象だけど、全長も全幅もほんの少し大きくなっている。ルーフも20年ぶりにソフトトップを採用し、カジュアルで若返った印象がある。「いいね、新型SL」と言いたいところなんだけど、やっぱり(大人の)ライセンス所有者はV8モデルを待望する訳ですよ(笑)。
これだけ走るV8ロングノーズで、オープンにもなるなら過去最強のSLになること間違いなし。欧州ではすでにV8の4輪駆動モデルがラインアップされているんだけど、これには後輪操舵機能がつくらしい。それこそ走りの旗艦車種、AMG GTとどう差別化されているのか気になるところでしょ。そこは、やっぱりSLだからね。海外の噂を聞くに、はるかにエレガントな路線らしい。走れてエレガント、間違いない。やっぱりSLは「別格!大人のライセンス」って言わせて欲しい訳です(笑)。
メルセデスAMG SL 43 (BSG搭載モデル)
サイズ(全長×全幅×全高):4700×1915×1370㎜
排気量:6748cc
エンジン:直列4気筒ターボ+BSG(ハイブリッド)
最高出力:381ps/6750rpm
最大トルク:480Nm/3250~5000rpm
駆動方式:FR(フロントエンジン後輪駆動)
車両価格:¥16,480,000(税込)
問い合わせ先/メルセデスコール
TEL:0120-190-610
www.mercedes-benz.co.jp