SNSなどでお金持ちアピールをしている方を見ることがあるだろう。そういう方は、よく次のようなリンク先を提示していることがある。「私のように大金持ちになりたければお金持ちになる方法を教えますよ」と。そしてリンク先には「楽にお金が儲かります」みたいな話があるのだ。大抵は、自殺を考えるほどの貧乏だったのが、ある方法で人生が急変したという話だ。そして「私はこの方法に感謝していて、自分だけのものにするのではなく、皆さんにもこの方法で幸せになって欲しいのです」という手法になっているのだ。
先に言っておくが、楽にお金持ちになる方法はない。筆者が教えている投資方法も、体力は使わないが、決して楽してお金が増えるわけではない。制度や用語を覚えたりお金が増える仕組みを構築する必要がある。「棚から牡丹餅」みたいなことはない。頭脳労働は必要なのだ。お金の法則を知って、どうすればお金が増えるのか。それを自分で考え行動することが必要だ。他人に頼っていては、いつまで経ってもお金持ちになれないばかりか、逆に貧乏になってしまうだろう。
---fadeinPager---
9.7億円の株を持っていた人の風貌は?
アメリカの個人投資家ロナルド・リード氏をご存じだろうか。彼は、ガソリンスタンドやデパートの清掃員などで生計を立てていた、ごくごく普通の人だ。彼の趣味は、37歳の時にスタートした株式投資だった。投資のスタイルはバイ&ホールドで買った株は決して売らない長期投資。92歳で他界したのだが、その時点の時価で9.7億円もの株券が見つかったのだ。銘柄数は95銘柄。これは全米で大きなニュースとなった。
さてそのロナルド・リード氏の風貌といえば、ボロボロになった洋服を修理して何年も着続けるようなタイプだった。冬には安全ピンを使わないと閉じられないコートを着ていたそうで、時にはホームレスに間違われることもあったそうだ。つまり本当のお金持ちは、お金持ちアピールなどしないということだ。
---fadeinPager---
お金持ちと貧乏の違い
お金持ちとお金に縁がない人の違いとは何だろうか。「楽にお金持ちになれる方法はない」それを理解している人がお金持ちになり「楽にお金持ちになれる方法はきっとあるはずだ」と考えてしまう人が、お金に縁がない人になってしまうのだ。「投資の利益は不労所得」といわれているので、何もしないでもお金が湧いて出てくるイメージを持ってしまうのかもしれない。
お金持ちの人は、自分が働いていない間に、どれだけお金を生み出せるのかを考えている。つまり自分以外の人や不動産や金融商品などに働いてもらうことを考えているのだ。一方、お金に縁のない人は、自ら汗を流して働くことでお金を得ようとする。出世することで月給を上げることはできるが、月給が上がれば拘束時間も上がってしまう。人が一日のうちに使える時間には限りがあるのだから、人や物に働かせるお金持ちとは大きな差が生まれてしまう。つまり、お金持ちはお金で時間を買うのに対して、貧乏な人は、給料と引き換えに自分の時間を売るという違いがあるのだ。
---fadeinPager---
お金持ちが大切にしている3つのこと
つまり不労所得とは、自分の時間を使うのではなくお金が時間を使って増えることなのだ。お金持ちほど「時間」を大事に使っている。そして時間の他にも大事にしていることがある。
「健康」もそのひとつだ。そもそもお金があったとしても健康でなければ、楽しいことにお金を使うことができない。また、健康でない人は「不安」が大きくなってしまう傾向にある。病気になり不安感を持っていると「怪しい人」を見分けられなくなるものだ。そういう怪しい人は、あなたのお金を巻き上げるのが得意だ。楽をして儲かる方法は、きっとあるはずと考えていると、そういう人を引き寄せてしまうのだ。なのでお金持ちになれる人は、次の3つのことを大事にしている。
1)時間
2)健康
3)人間関係
お金持ちになれる人は、時間がお金を生むことを知っているし、健康で仕事も楽しんでバリバリ働いている。そして怪しい人が入り込まない人間関係を築いているのだ。
---fadeinPager---
お金持ちが大切していることその1
時間(タイム・イズ・マネー)
お金持ちが意識して大事にしているのが「時間」だ。投資も「時間」をかければ、安全に増やすことができるように「時間」を大切に使うことで得られることが多い。1日は24時間、誰にでも平等に与えられている。限られた時間は、人生で一番大切なものと意識したい。
たとえば株式投資で失敗したとしても次に成功したら、失敗は取り戻せる。失敗は成功の元というように同じ失敗を繰り返さなければ取り戻せる可能性も高くなる。ところが時間は2度と戻ってこないのだ。たった1秒でも元に戻ることはできない。一度失われた時間は、どれだけのお金をつぎ込んでもどんなに手を尽くしても、2度と戻らないのだ。時間は、お金以上に貴重なものだ。逆にそれを意識できている人ほど、お金持ちになれる要素があるということだ。
---fadeinPager---
お金持ちが大切していることその2
「健康」だから正しい判断ができる
お金持ちは自分が労働せずに他の人に働かせて自分はのんびり南の島で遊んでいる……。なんてことは、ほとんどない。働かなくても生きていけるお金持ちの社長ほどたくさん働いている。お金に縁のない人も「生きるために忙しく働いている」かもしれない。自分の体を資本に働き、やめれば収入が途絶えるのでやめることができない。
お金持ちの社長と違うのは、忙しいのが楽しいのか、しんどいのかの違いだろう。楽しいから夢中になれる。それを仕事にしているから、結果としてお金持ちになったのだ。だから稼げている経営者ほど忙しい。そして忙しい経営者ほど、健康に気を使っている。健康でないと好きな仕事ができないからだ。
経営者仲間の多くもジム通いしている方が多い。好きな仕事を好きなだけやり続けるのには体力が必要だからだ。また、体調が悪いと「消極的な判断」になってしまい経営にもよくない。体が辛いと「このくらいでいいか」という考えがでてきてしまうのだ。それでは事業が大きくならない。稼いでいる経営者ほど「貪欲」なのだ。つまり「貪欲」に働き続けられる気力と体力があるということ。また、知力を養うためにも「健康」でなければならない。健康でなければ、どんなに本を読んで勉強しても頭に入らないからだ。
---fadeinPager---
お金持ちが大切していることその3
「人間関係」は投資と同じ
お金に縁のある人は「細くても長い人間関係を築ける人」だ。人脈を大切にしている。しばらく会っていなくても、何か用事ができたり仕事の話があると協力体制ができるよう連絡ができる人脈があるのだ。しばらく会っていなくても、年賀状や季節の挨拶を忘れない。自分の仕事に有益だと思えれば、細く長い関係を作っていける。
それに対してお金に縁のない人は、一緒にいて楽しいだけの人と付き合いたがる。そのような相手と遊んだりしても自分の将来には何の影響はない。調子が良くてすぐにいろんな人と仲良くなる人物もいる。ところがそういう人の中には、友好な関係が長続きせず、しばらくすると関係がまずくなったりケンカ別れで終わる人もいるのだ。お金持ちほど、そういう調子が良い人は警戒するものだ。
お金持ちは、ビジネスチャンスにつながる情報を持っている人や自分の仕事に活かせる人と長くお付き合いしている。つまり人間関係も短期的で投機的な見方をする人と長期的で投資的な見方をする人に分かれるといってもいい。投資的に考えている人は、調子が良くてお金持ちアピールをする人には近付かないのだ。
【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/