映画『おくりびと』の脚本を手がけた、小山薫堂プロデュース・脚本の『湯道』が2月23日より公開予定だ。Pen最新号「湯道へ、ようこそ」からキャスト9人のインタビューと、それぞれのお気に入りの湯を紹介する。
放送作家の小山薫堂が提唱する「湯道」をご存じだろうか? 湯を尊び、湯を楽しみ、日本人が愛するお風呂について、その精神や様式を追求するという新たな“道”だ。この「湯道」が、生田斗真主演で映画になった。2月23日から全国で公開される。
1月27日(金)発売のPen最新号では、生田斗真をはじめとした出演者のインタビューや、作中で登場する聖地の数々を紹介しながら、本作の魅力に迫る。さらに、時代を超えて愛される名湯や、こだわりの詰まった湯道具も掲載。湯と「湯道」について大特集! 「湯への感謝」と「小さな幸せ」に、ぜひ浸ってほしい。
Pen最新号「湯道へ、ようこそ」
2023年3月号 ¥900(税込)
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戸田恵子/高橋瑛子 役
静岡の名旅館の露天から、厳かな能舞台を眺める
「まるきん温泉」近くで夫の大作(寺島進)とともに定食屋を営む高橋瑛子を演じる戸田恵子さんのお気に入りの湯は、愛知県新城市にある「湯ゆ谷や温泉」。「父の実家の近くにあり、去年も父や親戚を連れて行きました。もうひとつのお気に入りは元箱根の“華の宿ふくや”の部屋付き露天風呂です」
修善寺温泉の「あさば」もお薦め。修善寺門前に宿坊として500年以上前に始まり、初代・弥九郎幸忠に始まり受け継がれてきた静謐な旅館だ。役者、声優、そして歌手と多忙を極める日常を忘れ、自分を見つめ直す場となっている。
「私がよく入るのは貸し切り風呂。池の能舞台は夜にライトアップされて、役者としての想いを巡らせる場所でもあるんです」
あさば(温泉/静岡県)
●静岡県伊豆市修善寺3450-1
TEL:0558-72-7000
料金:¥51,850~
(1泊2食付、1部屋2名利用時、入湯税別)
www.asaba-ryokan.com
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寺島 進/高橋大作 役
生まれも育ちも下町だから、温泉はやっぱり銭湯だ
こわもてかと思いきや、妻・瑛子の尻に敷かれる寿々屋の亭主役、高橋大作を演じる寺島進さんは生粋の江戸っ子。風呂選びにもそのセンスがうかがえる。
「生まれも育ちも下町な俺にとって、錦糸町の“楽天地スパ”に浸かるのは、かけがえのない時間。スタッフは気さくで明るく天然温泉、炭酸泉、スチームサウナにドライサウナ、水風呂に繰り返し入ると心身ともに癒やされます」
一方、関西の湯で推薦してくれたのが京都・西大路沿いにあり、西院唯一の銭湯である「旭湯」。「おがくずや木材を燃やして湯を沸かす昔ながらの銭湯。働いているご家族も、お風呂も温かくで気持ちがいい。冬も湯冷めしません。湯道の原型とも感じる銭湯です」
旭湯
●京都府京都市右京区西院東今田町9-1
TEL:075-311-4833
営業時間:14時15分~24時30分
定休日:金
料金:一般¥490
https://twitter.com/hozugangster
楽天地スパ
●東京都墨田区江東橋4-27-14 楽天地ビル9階
TEL:03-3631-4126
営業時間:24時間(火〜土)、〜23時(日)、10時〜(月)
定休日:無休
料金:一般¥2850
https://rakutenchi-oasis.com/raku_spa
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厚切りジェイソン/アドリアン 役
妻の実家の一番風呂が、熱すぎて驚いたあの頃の僕
婚約者である山岡紗良(森カンナ)に、厳格で風呂好きな父親を紹介される外国人アドリアンを演じる厚切りジェイソンさんには劇中さながらのエピソードがある。
「妻の実家のお風呂で“お先にどうぞ”と一番風呂をいただいたところ、入浴の習慣がないこともあって熱すぎて驚きました。妻の両親と箱根の温泉を訪れた時には湯道と同じようにお義父さんと温泉に入りましたよ。役とは違って、昔から仲よしですけど(笑)」
日本のお風呂の特徴は「温まる」ことなのかもしれない。
「とあるバラエティで海から上がって一発ギャグを披露する企画がありました。収録後、仲間で温泉に入りましたが、冷えた身体がとても温まったのを覚えています」
妻の実家にある風呂
※写真は映画『湯道』のセット
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浅野和之/山岡照幸 役
湯の入り方は人それぞれ、マンウォッチングも面白い
娘に外国人の婚約者(厚切りジェイソン)を紹介される厳格な父・山岡照幸を演じた浅野和之さんは、劇中同様、お風呂への思い入れが人一倍強い。
「なんといっても江戸時代に発展した歴史的文化施設が銭湯。家風呂はありましたが、子どもの頃から友達と行くのが楽しみでした。いまみたいにお湯を循環させる装置がなかったから、お袋に空いているうちに行けってうるさく言われたのを覚えてます」
教えてくれたのは文京区目白台にあるレトロな銭湯・豊川浴泉。
「日替わりでお湯の内容が変わるのが楽しみ。仕事で疲れた時に行くのが多いです。足を伸ばしてゆっくり浸かれて、身も心も休めてくれる最高の銭湯です」
豊川浴泉
●東京都文京区目白台1丁目13-1
TEL:03-3941-7856
営業時間:16時~23時30分
定休日:月、金
料金:一般¥500
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笹野高史/堀井 豊 役
自宅から近い定宿で楽しむ、部屋付きの露天風呂
好々爺を演じたら右に出る者はいない笹野高史さんが扮する堀井豊は、まるきん温泉の常連客。妻の貴子(吉行和子)と毎日喧嘩しながら来るが、風呂上がりには仲直りしてしまうおしどり夫婦だ。
悪役や特撮ヒーローまで演じ分ける笹野さんが寛ぎに出かけるのが富士山温泉・ホテル鐘山苑特別フロアの別墅然然(べっしょささ)。富士山をひとり占めできる贅沢な温泉旅館だ。
「富士山を眺めながら部屋で食事ができる宿。部屋付き露天風呂だから、寛ぐには最高です。広く手入れが行き届いたお庭は散歩にピッタリ。季節ごとに移ろう自然も楽しみです。自宅から近いので予約が取れさえすれば、気軽に出かけます」と、まさに定宿のようだ。
富士山温泉 別墅然然
●山梨県富士吉田市上吉田東9-1-18
TEL:0555-30-0033
料金:¥48,550~
(1泊2食付、1部屋2名利用時)
www.bessho-sasa.com
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ウエンツ瑛士/DJ FLOW 役
ちょうどよい湯加減の中、大きな富士山を眺める
「超クール!」の決め台詞とふわふわパーマが際立つDJフロウを演じるのがウエンツ瑛士さん。
お気に入りの湯は、今まで何度も訪れている「ホテルマウント富士」。1963年創業、富士山と山中湖が一望できるリゾートホテルだ。
「チェックインした日はサウナがある露天風呂で満天の星を見ます。翌朝は富士山を正面に見るお風呂へ。少し熱めに設定されているので、景色に見惚れ欲張らないように気をつけてください。朝食後にまた入れますので。ここのお湯はサラッとしていますし、富士山から吹き下ろす冷たい風がお湯との相性抜群でたまりません」
クールに見えながらも大のお風呂好きのDJフロウ。ウエンツさんの私生活にも通じる役柄なのだ。
ホテル マウント富士
●山梨県南都留郡山中湖村山中1360-83
TEL:0555-62-2111
料金:¥18,800~
(1泊2食付、1部屋2名利用時、入湯税別)
www.mtfuji-hotel.com
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朝日奈央/植野悠希 役
スーパー銭湯も本格温泉も、子どもの頃の大切な思い出
埼玉県出身の朝日奈央さんが家族で遊びに行っていたというのがスーパー銭湯「いるまの湯」。
「休日に祖母が私と妹を連れて行ってくれて、お風呂上がりにみんなでご飯を食べるのがお決まりのコースでした。子どもだった頃は熱いお湯が得意ではなかったので、ぬる湯にゆっくり浸かったのを覚えています」
そんな朝日さんが演じたのは「源泉掛け流し至上主義」を自称する辛口温泉評論家の太田与一を担当する敏腕編集者・植野悠希。
「子どもの頃何度か訪れた伊香保温泉・岸権(きしごん)旅館は源泉100%かけ流し。本館、離れ、足湯と何カ所もお風呂があって何度行っても楽しめる場所です。またゆっくり遊びに行きたいです」
アクアリゾート いるまの湯
●埼玉県入間市春日町1丁目11-10
TEL:04-2966-4126
営業時間:10時~24時30分(最終受付は23時30分)
料金:一般¥480
www.41-26.com
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吉田鋼太郎/太田与一 役
高原リゾートの雪景色は、「温泉評論家」も納得の絶景
「源泉掛け流し至上主義」を標榜する辛口の温泉評論家が、吉田鋼太郎さんの好演する太田与一。銭湯なのに「温泉」を名乗るまるきん温泉を訪れてさっそく激怒。自説を長々と述べ始める……。
プライベートではそれほど「源泉かけ流し」にはこだわらない吉田さんだが、温泉のチョイスはさすが。新潟県は妙高高原に位置する赤倉観光ホテルをお気に入りに挙げる。1937年に大倉財閥が上高地、川奈に続けて建設した日本の高原リゾートの草分け的な存在だ。
「赤倉観光ホテルは温泉だけでなく、雪景色も大好きです。ゲレンデを眺めながらの露天風呂は最高。歴史あるホテルなので、ホスピタリティも完璧で居心地がよく、非日常を味わえる空間です」
赤倉観光ホテル
●新潟県妙高市田切216
TEL:0255-87-2501
料金:¥29,500~(1泊2食付、1部屋2名利用時、入湯税別)
https://akr-hotel.com
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夏木マリ/夙子 役
自宅の塩風呂、京都の湯…… いずれ劣らぬ至福の時
人里離れた山奥にひっそり住む老婆・夙あさ子は夏木マリさんが演じた。彼女はお風呂に「至福」の形容詞をつける。
「我が家ではバスタブにエプソムソルトとその日の香りを入れ、20分入ります。今日の疲れを確実に取る、至福の湯です」
普通の湯だけでなく、行きつけのサロンへ出向き、米ぬか酵素のお風呂で身体を整えることも。そんな夏木さんがお薦めする温泉宿が「ふふ京都」。南禅寺にほど近く、琵琶湖疏水のほとりに位置する瀟洒な日本庭園の一角にある湯だ。
「京都という地で温泉に入れる喜び。温泉地でない場所で内風呂が待っているのもまた至福です」
夏木さんの変わらぬ美しさの秘訣も、湯の力なのかもしれない。
ふふ京都
●京都府京都市左京区南禅寺草川町41
TEL:0570-0117-22
料金:¥77,000~(1泊2食付、1部屋2名利用時、入湯税別)
www.fufukyoto.jp
『湯道』
企画・脚本/小山薫堂
監督/鈴木雅之
出演/生田斗真、濱田岳、橋本環奈ほか 2023年 日本映画
126分 2月23日より全国公開。
https://yudo-movie.jp
「湯道へ、ようこそ」
2023年3月号 ¥900(税込)
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