MOODMANと申します。昨年末、DJではじめて小倉に伺った際に、周辺のレコード店を巡ってきましたのでご報告です。
14:50PM 小倉駅
新幹線で小倉までやってきました。朝早く品川を経ちましたが、三原安城から京都の間で、積雪による徐行運転が行われたため、到着までに5時間以上かかりました。まぁ、自分としては本を一冊読み切れたので大満足。はじめての小倉はかなり寒いです。
15:00PM ボーダーラインレコーズ
到着していきなりですが、ホテルにチェックインする前に、街を散策することにしました。まずは、北口に向かいます。駅前のセブンイレブンの喫煙所で一服して、お隣のビルへ。エレベーターで2階に上がると、<ボーダーラインレコーズ>の入り口です。
<ボーダーラインレコーズ>は福岡県に2店舗を構えるレコード屋さんです。福岡店ではよく日本のロックやインディーズのレコードをチェックしていたので、初めての小倉店でも、その辺りの棚から物色をはじめました。心が躍ります。
30分ぐらいの滞在でしたが、8枚のレコードをセレクト。7インチを3枚(日本のパンク1枚、ご当地もの1枚、アメリカのノベルティ1枚)、LPを2枚(日本の朗読もの1枚、ニューウェーブ1枚)。あとはテクノ12インチを2枚…という感じ。年末セールで20%オフだったこともあり、いきなり大満足のお買い物でした。
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16:00PM 田口商店
JR小倉駅南口へ。師走ということもあり、家族連れやカップルで溢れかえる小倉駅前商店街を抜けて、<田口商店>に向かいます。途中、常盤橋という風情のある木の橋を渡ってみました。この橋は江戸時代に、小倉から九州各地にのびる5つの街道(長崎街道、中津街道、秋月街道、唐津街道、門司往還)の起点/終点であったそうです。
<田口商店>も福岡店にはよく伺っておりましたが、小倉店は初めてです。NHK北九州放送局の向かいにあるはずですが…それらしき看板が見つからず、右往左往…。一見さんは入りにくいかもしれません。看板は台風で壊れたとのことでした。
壁も床もレコードで埋まった店内。どこから手をつけていいのか迷いつつ、まずは入り口付近のクラブミュージックコーナーから探りはじめたところ、テクノの名盤12インチが安価でずらり。ちょっと興奮しました。ハウス2枚、デトロイトテクノ1枚、IDM1枚、ブリストル系2枚をセレクト。
7インチコーナーからは懐かしのCMソングを1枚。イージーリスニングのコーナーでは、前々回にご紹介した飛行機ドキュメンタリーの続編を発見しました。なんだか引きの強さを感じます。なんの引きかはわかりませんが。
17:00PM ダウンビート
バッグはもうすでにかなりの重さですが、ホテルに行く前にもう一軒。老舗のレコード店<ダウンビート>にも伺いました。CD、DVDがお店の半分を占めていましたが、レコードコーナーを覗くと厳選されたロックの名盤が適切な価格で並んでいて、心が暖かくなります。いずれ買おうと思っているレコードは旅先で出会った時に買うのが吉。名盤を1枚購入いたしました。
17:30PM ホテル
ホテルにチェックインしてしばし休憩。レコードのジャケットを眺めながらゆっくりします。
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18:30PM 旦過市場
今夜DJをするクラブ<DJ BAR HIVE>での集合が20:00になったので、小一時間、散歩をすることにしました。旦過市場に向かいます。
旦過市場は、昭和30年代築の長屋式の商店街です。夕方だったのですでに閉まっているお店も多かったのですが、迷路のようになっている市場内をぶらぶら。鮮魚店や青果店、惣菜店など、およそ120店の店舗があるとのこと。あと数時間で夕食の予定ですが、老舗の立ち飲み屋さんで一杯。
20:00PM DJ BAR HIVE
本日、DJをさせていただく<DJ BAR HIVE>に到着しました。現オーナーの古賀さんと、五島列島から着いたばかりの前オーナーBGさんと合流します。本日はBGさんとの二人会です。
まずは念入りにサウンドチェック。今夜は特別にスイスVaria Instruments社のロータリーミキサー<RDM-20>がインストールされています。マスターアイソレーターに加えて、チャンネルアイソレーターを搭載しているので、繊細なミックスができそう。見た目のアナログ感も素敵です。直感的に扱えるまで少し時間がかかりそうですが、、暖かい音に包まれてやる気まんまん。まもなく、夜がスタートします。
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12:00PM チェックアウト
パーティは無事に終わり、翌日です。ホテルをチェックアウトして一階のコンビニ前で一服していたところ、通りすがりの老人に「これ、そこに落ちてたけど、あなたの?」と言って10円を渡されました。私のではないと断ったのですが「ご利益があるので取っておきなさい」とのこと。その後も「これ、そこに落ちてたけど」とタバコを一箱渡されたり、ハンカチを渡されたり…。物を落としそうな人間に見えたのでしょうか。謎の時間でした。
12:30PM 天ぷら定食ふじしま
古賀さんと合流して<天ぷら定食ふじしま>へ。今朝、パーティの終わりに食した<資さん>のゴボ天うどんも美味しかったので期待大です。
昼時でしたがタイミングよく並ばずに入れました。海老天なしのノーマルの天ぷら定食を注文。店員さんの無駄のない動き。完成された定食。天ぷらもさることながら、お味噌汁がおいしかったです。最近のゴルジェ(2010年代に生まれた硬めのアンダーグラウンドミュージック)の話などをしながら至福のひとときを過ごしました。
13:00PM 小倉駅〜折尾駅〜本城駅
小倉駅で古賀さんとお別れをして、ひとり郊外のレコード店に向かうことにしました。背負っていた荷物を駅のコインロッカーに入れ、手ぶらで特急ソニックに乗り込みます。折尾駅で乗り換え、本城駅へ。特急を利用したので40分ぐらいで到着しました。
14:00PM ファンファン
本城駅から国道沿いを歩いて5分。広い駐車場の奥にお店はありました。ロサンゼルスの中古レコード店のような店構えです。天井高の高い店内に、レコードが半分、CDが半分といった感じ。ざっと見たところ、ロックの名盤が充実しております。
まず目に止まったのは、先日、惜しくもお亡くなりになったテリーホールさん関連のアルバム。盤の状態が良かったので、追悼の意味も込めて買い直すことにしました。ほかにも欲しい名盤がいくつかありましたがプレミア価格だったので断念。
安売りコーナーに矛先を変えて、人気のなさそうなクラブミュージックを掘ることにしました。結果、12インチを13枚(トリップホップ3枚、ハウス8枚、ラガマフィンヒップホップ1枚、デトロイトテクノ1枚)。あとは、日本のパンクの7インチ、ムード音楽の7インチ、シンセサイザーのコンピレーションアルバム…といった感じ。
15:00PM 折尾駅
帰りは健康のために少し歩いて、折尾駅から帰ることにしました。国道199号線を歩いて15分ぐらいでしょうか。最近、郊外の住宅地を歩くことが好きになっている自分がいます。
16:30PM 小倉駅前商店街
小倉駅に戻ってきました。帰りの新幹線までまだ小一時間あるようなので、小倉駅前商店街をぶらぶら。ストリップ小屋近くの<白頭山>で呑むことにしました。24時間営業の焼肉店ですが居酒屋使いをする方が多いとのこと。確かに、ご年配のソロ客が多いので居心地が良い…と思っていたら、正面で静かに飲んでいた高齢の方が前置きなく、後方にバタンと倒れたり、隣のおじさんがTVに登場した白バイにぶつぶつ文句を言いはじめたり、日曜夕方とは思えないカオスな状況に。
そろそろ時間です。小倉駅に戻る途中、<揚子江>でお土産の肉まんとちまきを購入。コインロッカーでDJセットの入ったバッグをピックアップして、新幹線のホームに向かいます。結局、今回は33枚のレコードを購入したので、バッグはかなりの重量です。東京まで約4時間半、本を読んだり、うとうとしたり…。品川には深夜到着予定です。ではまた。
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小倉で出会ったレコード 6選
■FRANK ZAPPA & THE MOTHERS OF INVENTION「ZOOT ALLURES」
1976年のリリース。フランク・ザッパさんとテリー・ボジオさんの2人でほとんどの音源を録音しています。ジャケに「雑葉」「不乱苦雑派」の文字が見受けられますが「BLACK NAPKINS」は日本公演の音源。ご自身のギターソロのベストパフォーマンスと公言している一曲です。「THE TORTURE NEVER STOPS」はキャプテン・ビーフハートについての曲とのこと。
■THE COLOURFIELD「DECEPTION」
カラーフィールドは、先日、惜しくも他界されたテリー・ホールさんが、スペシャルズ、ファン・ボーイ・スリーを経て結成したグループで、1987年のセカンド・アルバム。高校生の頃から聞いているアルバムはボロボロなので、追悼の意味を込めて、買い直ししました。スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンの「Running Away」のシンセポップなカヴァーが切ない。
■DR.OCTAGON「INSTRUMENTALYST―OCTAGON BEATS」
1996年に一世風靡したアンダーグラウンド・ヒップホップ作品のインスト集です。ドクター・オクタゴンはDAN THE AUTOMATORとKOOL KEITHという変わり者2人によるユニット。「blue flowers」のインストなど聴くと、一瞬にして90年代後期の空気が蘇ります。この辺りの暗めのインスト、最近またときどき聴きたくなります。DJ SHADOW、Q-BERTなども参加しています。
■The Swanky’s「Rock 'N Roll History Fuck Off!! 」
80年代に博多で結成されたパンクバンドTHE SWANKY’Sのソノシートです。ノイジーさが残る1986年の作品。収録曲のタイトルは変わっていますが、翌年に発表されたEP「Five Star」と同様の内容です…が、ジャケットがあまりに可愛いので買ってしまいました。1990年に発表されたCD「Tokyo」にも収録されています。3000枚リリースされていたそうです。ご当地ものとして。
■BFC「EVOLUTION」
デトロイトテクノ初期名盤、カールクレイグさんの変名BFCによる1990年の作品です。私事ですが93年にケンイシイ氏の初海外公演に同行した際、デリックメイさんから今後はこのレーベルに力を入れていくとFRAGILEの名刺を頂いたことがあり、そんな思い出と相まって安価で見かけるとつい買ってしまう一枚。今までで一番、安価でした。
■ケネディ大統領とコーラス「星影のビギン/共存共栄のボサノバ」
ケネディ大統領がテキサス州ダラスで暗殺された翌年(1964年)にリリースされた追悼盤です。1961年1月20日に行われた就任演説の一部をサンプリング的にカットアップして、メロディにのせています。日本ではなぜか、この曲のカバー曲が、シルベスター・スタローンが主演したキリン缶ビールのCMで使われたり(1985年)、NTTドコモのCMで使われたり(2012年)。
アナろぐフィールドワーク
- #1 春日部でレコードを探す。地下神殿に迷い込む。
- #2 横浜線に乗ってレコードを探しに。自販機バーガーにも挑む。
- #3 大阪にて仕事帰りに、レコード屋さんではないところでレコードを探す。
- #4 一橋学園駅でレコードを探したあと、志村けんさんに会いにいく。
- #5 思いたって日本大通りのレコード市。そのまま喫茶店をはしごする。
- #6 桐生でレコードを探したあと、渡良瀬橋の夕日を見にいく
- #7 世界初・南部鉄器のレコードスタビライザーは、 どのようにして開発されたか
- #8 世界初・南部鉄器のレコードスタビライザーに繋がる、 岩手奥州のサスティナビリティとその歴史
- #9 世界初・南部鉄器のレコードスタビライザーを生んだ、 老舗メーカーのクリエイティビティとは
- #10 矢切の渡しで葛飾に入り、レコードを探しさまよう【その1】
- #11 矢切の渡しで葛飾に入り、レコードを探しさまよう【その2】