後継者争いに一波乱ある?「最後のハワイアンプリンセス」と呼ばれた女性が96歳で死去

  • 文:宮田華子
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@abigailkawananakoa1817 - YouTubeチャンネルのキャプチャ画像

去る12月11日、アメリカ・ハワイ州(ホノルル)で、「ハワイ最後の王女」と呼ばれていたアビゲイル・キノイキ・ケカウリケ・カワナコアさんが死去した。享年96歳。

かつてはハワイ王室の邸宅であり、アメリカ唯一の「王宮」であるイオラニ宮殿が発表した声明によると、アビゲイルさんは自宅で妻のヴェロニカさん(69歳、2人は2012年に結婚)に見守られながら静かに息を引き取ったという。

NBCのニュース映像。イオラニ宮殿の声明、および彼女の人生を伝えている。

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アビゲイルさん(左)とヴェロニカさん(右)。ヴェロニカさんはアビゲイルさんの個人秘書を長年務めていた。

アビゲイルさんは曽祖父であるアイルランド人実業家・ジェームス・キャンベルから莫大な遺産(2億1500万ドル)を受け継いだ資産家であり、ハワイのセレブリティとして知られていた。ハワイ王国はすでに消滅しているため正式な王室称号はなかったもの、ハワイ王国のレガシー的存在であった。

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ハワイと言えばカメハメハ大王…王国と2つの王朝

ハワイ王国と聞いて頭に浮かぶのが「カメハメハ大王」という人は多いだろう。


カメハメハ一世(1758年ごろ~1819年5月8日、享年61歳・推定)。

カメハメハ大王ことカメハメハ一世(在位1795~1819年5月8日)は、ハワイ王国の初代国王だ(「ハメハメハ」という表記も存在)。ハワイ諸島を統一し、1875年にハワイ王国の建国を宣言した。

その後、ハワイ王国を計8人の国王が統治した。

↓こちらは「UsefulCharts」が公開しているハワイ王国の家系図だ。

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名前が青くハイライトされている人物が国王。「HOUSE OF KAWAMAMAKOA」と書かれた部分は「HOUSE OF KAWANANAKOA」の間違いと思われる。19世紀以前は近親結婚も多かったため、家系図は大変複雑だ。©Matt Baker via @UsefulCharts – YouTube

この家系図を基に、ハワイ歴代国王について駆け足でひも解いてみる。

カメハメハ一世から第5国王カメハメハ五世まではカメハメハ王朝の直系男子が国王を務めてきた。しかしカメハメハ五世(在位1863年11月30日~1872年12月11日)は生涯独身であり子孫を残さず、後継者を定めないまま42歳で死去した。ここでカメハメハ王朝の直系が途絶えた。


カメハメハ五世ことロト・カプイワ(1830年12月11日~1872年12月11日、享年42歳)

その後、ハワイ王国憲法に従い第6代国王は初の選挙による選出となった。結果、カメハメハ一世の弟の孫であるルナリロ(在位1873年1月8日~1874年2月3日)が即位した。


第6代国王ウィリアム・チャールズ・ルナリロ(1835年1月31日 - 1874年2月3日、享年39歳)。

しかし在位後1年強で病気により死去。彼も後継者を定めないままこの世を去ったため、第7代国王も選挙での選出となった。

第7代国王は、カメハメハ一世の祖父の異父兄・ラニヌイイアママオの子孫であるデヴィッド・カラカウア(在位1874~1891年)が選出された。ここからハワイ王国はカラカウア王朝となる。


第7代国王デヴィッド・カラカウア(1836年11月16日~1891年1月20日、享年54歳)。

カラカウアはアルコール依存症の治療中、アメリカ・サンフランシスコで死去。後継者に妹のリリウオカラニを指名していたため、彼女が第8代国王(女王)に即位した(在位1891~93年)。


ハワイ王国最後の君主(かつ唯一の女性君主)となった第8代国王・リリウオカラニ(1838年9月2日~1917年11月11日。享年79歳)。

しかし1893年1月にハワイ革命が起き、リリウオカラニは事実上の退位を余儀なくされたためハワイ王国は終焉を迎えた。

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アビゲイルとカメハメハ一世とのつながりとは?

さて話をアビゲイルさんに戻す。第8代国王・リリウオカラニには子どもがいなかったため、後継者として姪(実妹リケリケの娘)のカイウラニを指名していた。


カイウラニ王女ことヴィクトリア・カイウラニ・カラニヌイアヒラパラパ・カヴェクイ・イ・ルナリロ・クレッグホーン(1875年10月16日~1899年5月6日、享年23歳)。

しかしカイウラニが早逝したため、ここでカラカウア王朝の直系も途絶えてしまう。カイウラニ死去時、すでにハワイ王国は消滅していたが、後継家系として(カラカウア王朝誕生時と同様に)カメハメハ一世の祖父の異父兄・カラニヌイイアママオの家系に遡る。

カラニヌイイアママオは数回結婚しており、二番目の妻は異父姉妹であるケカウリケ。二人の間の息子ケアウェマウヒリの家系が後継となり、デヴィッド・カワナナコアが後継者となった。

アビゲイルさんはデヴィッド・カワナナコアとアビゲイル・キャンベルの娘・リディアの娘(つまり孫)だが、Vanity Fair誌によると5歳の時に祖母アビゲイル・キャンベルの正式な養女となった。

大変複雑だが、アビゲイルさんはカメハメハ一世の傍系子孫である。

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資産家・慈善活動家として

妻ヴェロニカさんは、「ハワイ、そしてハワイの人々を愛したアビゲイルはこれからも(人々に)記憶されつづけるでしょう。そして私は心から彼女を恋しく思います」とコメントした。

アビゲイルさんはハワイ先住民のための奨学金や、現在博物館となっているイオラニ宮殿の維持に貢献するなど慈善活動に熱心だったが、資産家ゆえの悩みも抱えていた。2018年、脳卒中に見舞われた後、元顧問弁護士のジム・ライト氏と信託の管理権をめぐる激しい法廷闘争を繰り広げた。


裁判中のアビゲイルさんとヴェロニカさん。

Mirror紙によると、裁判の中でライト氏はあるエピソードを披露している。

カトリック教会・ホノルル教区の司教が、アビゲイルさんに10万ドルの寄付を求めた時のこと。彼女は「ローマ教皇ベネディクト16世(当時)が直接小切手を受け取る写真が撮れるなら、教会に寄付します」と語ったという。

こんな無理難題を突き付ければ司教は寄付の依頼を取り下げると思っての発言だったようだが、この条件に司教が合意してしまった。するとアビゲイルさんはガッカリしていた様子だったという。

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別の人物も「正当後継者」を名乗っている?

96年の人生を終え、先祖が待つ天国に旅立ったアビゲイルさん。彼女の後継は、彼女のいとこの息子であるクエンティン・カワナナコアさんとなった。


クエンティン・カワナナコアさん(61歳)。ハワイ州議会下院議員を務めた経験もある。

しかしハワイでは、別の傍系子孫(カメハメハ一世の従姪孫の子孫)である女性、オワナ・カオヘレラニさんも「王家の正当な後継者」を主張している。


オワナ・カオヘレラニさん(69歳)

今後、「現存しないハワイ王室」の後継者争いに一波乱あるかもしれない。しかしロイヤルの肩書は、そんなにも魅力的なものなのだろうか…。

次ページ:ハワイ王室の詳細解説はこちらから

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ハワイ王室の家系図を解説した動画。Youtubeの日本語字幕(自動生成)で十分理解できる。

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【画像】後継者争いに一波乱ある?「最後のハワイアンプリンセス」と呼ばれた女性が96歳で死去

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NBCのニュース映像。イオラニ宮殿の声明、および彼女の人生を伝えている。

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アビゲイルさん(左)とヴェロニカさん(右)。ヴェロニカさんはアビゲイルさんの個人秘書を長年務めていた。

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ハワイと言えばカメハメハ大王…王国と2つの王朝


カメハメハ一世(1758年ごろ~1819年5月8日、享年61歳・推定)。

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名前が青くハイライトされている人物が国王。「HOUSE OF KAWAMAMAKOA」と書かれた部分は「HOUSE OF KAWANANAKOA」の間違いと思われる。19世紀以前は近親結婚も多かったため、家系図は大変複雑だ。©Matt Baker via @UsefulCharts – YouTube

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カメハメハ五世ことロト・カプイワ(1830年12月11日~1872年12月11日、享年42歳)

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第6代国王ウィリアム・チャールズ・ルナリロ(1835年1月31日 - 1874年2月3日、享年39歳)。

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第7代国王デヴィッド・カラカウア(1836年11月16日~1891年1月20日、享年54歳)。

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ハワイ王国最後の君主(かつ唯一の女性君主)となった第8代国王・リリウオカラニ(1838年9月2日~1917年11月11日。享年79歳)。

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アビゲイルとカメハメハ一世とのつながりとは?


カイウラニ王女ことヴィクトリア・カイウラニ・カラニヌイアヒラパラパ・カヴェクイ・イ・ルナリロ・クレッグホーン(1875年10月16日~1899年5月6日、享年23歳)。

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資産家・慈善活動家として


裁判中のアビゲイルさんとヴェロニカさん。

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別の人物も「正当後継者」を名乗っている?


クエンティン・カワナナコアさん(61歳)。ハワイ州議会下院議員を務めた経験もある。

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オワナ・カオヘレラニさん(69歳)

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ハワイ王室の家系図を解説した動画。Youtubeの日本語字幕(自動生成)で十分理解できる。

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【写真】「最も目を惹いたのはキャサリン妃」 国葬におけるロイヤル&ファーストレディの喪服姿をセレブライターが振り返る

文:さかいもゆる

キャサリン妃のコートドレスの装い

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(c)Alpha Press/amanaimages

現地時間で9月19日に執り行われたエリザベス女王の国葬には、世界の要人たちが参列した。女王への敬意を示したそれぞれの喪服姿は、エレガントな気品に満ち溢れていた。

最も人目を惹いたのはやはり、キャサリン皇太子妃の洗練されたコートドレスの装いだったのではないだろうか。ヴェールをあしらったツバの広いハットもよく似合っていて、ハッとするほど美しいオーラを放っていた。正直、隣りに居た女優出身でドレスアップには慣れているはずのメーガン妃より数倍も品が良く見えて、ロイヤルファミリーとしての矜持に満ちていたように思う。そして王となったチャールズの奥方、カミラ王妃も、若い頃よりずっと垢抜けた姿を披露。王妃としての威厳を見せていた。

左からメーガン妃、カミラ王妃、ジョージ王子、キャサリン皇太子妃。

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シンプルな丸首ドレスのレティシア王妃

プチプラファッションが得意でファッショニスタとしても人気のスペインのレティシア王妃は、シンプルな丸首のドレスのウエストを細いベルトでマーク。旦那様のフェリペ6世の軍服もキマっていて、お似合いの美男美女カップル。

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シャルレーヌ王妃はブローチがアクセント

モナコ公国のシャルレーヌ公妃はハイネックのブラックドレスにグレーのタイツを合わせて、胸元のブローチをアクセントに。元競泳選手で鍛えた、彼女の抜群のスタイルの良さが際立っていた。

それにしても、こうして見ていると皆足元はピンヒールなのだが、華奢なピンヒールが似合う、足首の細いこと! 足首が細いことがプリンセスになる条件なのだろうか。

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フランスのマクロン大統領夫妻

フランスのマクロン大統領と、24歳年上の妻、ブリジット・マクロン。マクロン大統領はシンプルなブラックのスーツ、ブリジット夫人は黒のコートでフェミニンな着こなしで登場。

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バイデン大統領夫妻は手をつないで参列

手を繋いで参列した、アメリカのバイデン大統領と、ファーストレディのジル・バイデン。バイデンはブラックスーツ、ジルは金ボタンのスーツに、帽子の代わりにブラックリボンのヘッドアクセサリーで正装らしさを演出していた。

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インスタの人気者、ブルネイのマティーン王子

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tmski-Instagram

ブルネイの見目麗しいプリンス、マティーン王子はスポーツで鍛えた胸筋で、堂々たるスーツの着こなしを見せた。マティーン王子はイケメン王子として女性たちの熱い視線を集めるロイヤルで、インスタグラムのフォロワーは現在232万人超えの人気者だ。

さまざまな国を代表する要人たちが自国の伝統を保ちつつ装った喪服姿は、荘厳な眺め……。後世に語り継がれるに相応しい国葬の慰めとなり、彩りとなったのだ。

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【画像】エリザベス女王の国葬に集まった、世界のロイヤル&ファーストレディの喪服姿

キャサリン妃のコートドレスの装い

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(c)Alpha Press/amanaimages

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左からメーガン妃、カミラ王妃、ジョージ王子、キャサリン皇太子妃。

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シンプルな丸首ドレスのレティシア王妃

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シャルレーヌ王妃はブローチがアクセント

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フランスのマクロン大統領夫妻

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バイデン大統領夫妻は手をつないで参列

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インスタの人気者、ブルネイのマティーン王子

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