イ・ビョンホン、ソン・ガンホの豪華共演が話題の映画『非常宣言』が公開されている。飛行機内で起きたバイオテロの恐怖を描く映画の魅力とはなにか、見どころを伝える。
主人公のパク・ジェヒョク(イ・ビョンホン)は娘のアトピーを治療するため、娘とハワイへ向かう。空港で執拗に付きまとう謎の男(イム・シワン)が同じ便に搭乗し、不安がよぎる。飛行機はハワイに向けて飛び立ったが、離陸後、ひとりの乗客がウイルスに感染して死亡。次々と乗客が死を遂げていき、機内はパニックにつつまれる。
ベテラン刑事のク・イノ(ソン・ガンホ)は、飛行機へのバイオテロを予告する動画を見て、捜査を始める。その飛行機は妻が乗った便だったことが判明する。政府も動き、容疑者との交渉を始めるが、機長も感染し、飛行機は急降下。ウイルスが広まる中、果たしてジェヒョクたちは帰還を果たせるのか――。
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「非常宣言」とは、飛行機が危機に直面し、通常の飛行機が困難になったとき、パイロットが不時着を要請することを指す。「非常宣言」が布告された飛行機には優先権が与えられ、他のどの飛行機よりも先に着陸できるようになる。
本作は逃げ場のない飛行機のなかで、目に見えないウイルスが感染していく恐怖を描く。コロナ禍以前から脚本は執筆されていたといい、脚本も担当したハン・ジェリム監督は「自分が頭の中で思い描いていた出来事が現実になるのを見て、衝撃を受けずにはいられなかった」と語る。感染におびえて過度な隔離を要求する人が現れたり、コロナ禍を経験した我々にとってはなじみ深い描写があふれている。
美術監督は、2016年に韓国で大ヒットを記録したパニック映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』のイ・モクウォン。飛行機内のシーンを見ていると、まるで自分が飛行機に乗っているような錯覚を覚える。実際の旅客機をアメリカから輸入し、セットを作り上げたという。360度回転が可能なローリングジンバル(回転台を搭載した電動スタビライザー)を採用し、急降下するシーンがリアルに撮られている。これまで見たことのないような臨場感のある映像で、思わず息をのむ。
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イ・ビョンホンは『G.I.ジョー』シリーズ、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』など近年はハリウッド映画に進出。ソン・ガンホはアカデミー作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』や是枝裕和監督作の『ベイビー・ブローカー』の演技が記憶に新しい。どんどん追いつめられていく状況の中、二人の迫真の演技に注目だ。
『非常宣言』
監督/ハン・ジェリム
出演/ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ナムギル、イム・シワン、キム・ソジンほか
2022年 韓国映画 141分 2023年1月6日(金)より全国公開中。
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配給:クロックワークス