テスラのミドルサイズSUV「モデルY」に乗ってみた。テスラに乗るのは今回が初めて。イーロン・マスクが必要以上にアンチをつくりだすパーソナリティでなければ「成長のスピードはもっと早かったかも」って、思ったね（笑）。ほんと面白かった。

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まずナビゲーションありき。目的地を声で入力すれば、経路に応じて勾配も計算し到着時の残電池量を表示する。この数値が正確な上に、足りなければ道中で超急速充電設備「スーパーチャージャー」で給電する。実際、400㎞分チャージするのに30分かからない。爆速ですよ。

ユーザーインターフェイスの中心にスマホがあるのは、想像していたより革命的だった。今回、東京から滋賀県彦根まで往復800㎞を乗ってみたんだけど、「超」のつく高級車ブランド以外は「みんなこっちの方向にいくだろうな」って予感した。

そりゃ、そうだよ。スマホがクルマの鍵になるし、離れていても車両の位置や車内温度、バッテリーの蓄電量なんかを把握できるほぼすべての行動をスマホに紐づけている現代人なら、便利なのはもちろん、クルマとの親密度の高さだって選択する理由の上位にくるはずなんだ。

操作はほぼ集中パネルで行い、走りやSpotify のプレイリストまで、詳細にカスタマイズ。極端に少ないスイッチだって、最初は面食らうものの半日で慣れる。その頃にはテスラ独特の空間がもたらす、研ぎ澄まされた感覚に魅了されるんだ。

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テスラの車内はいうなれば美術館の白壁のよう。車内で素晴らしい集中力と没入感を生み出す。運転もそうだし、移動しながら考える時の思考スピードすらも高める気がする。車内は微弱なモーター音と路面の擦過音以外はほぼ無音なので、風景とともに身体に入ってくる音楽の純度もとても高い。この高い集中力を生み出すトリガーがストップ&ゴーをワンペダルで行う繊細なアクセルワークにある。

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ハンドルと出力を「スポーツ」に設定すれば、クルマはブンと音を立てるように身軽になり、デュアルモーターによる四輪駆動の安定感抜群の走りをみせる。街乗りも高速もワインディングでも、ワンペダルドライブのシンプルでコントローラブルな一体感を味わえる。陰陽一体によって天地一体、といったら大げさだけど、究極はきっとそんな感じなんだ。

その一方でバネサスが路面入力を受け止めきれていないので、荒っぽい衝撃とともに大きな揺れがある。タイヤも車重とサスペンションに合ったベストな選択とは言いがたい。スピーカーシステムはサラウンド感にこだわっているものの、深みに欠けていてとことん惜しく感じられる（笑）。捉え方によっては「これでよし」とする細部が妙に気になりだす訳。これって、ほぼ感覚増幅器みたいな独特の空間のせいだよね。

たとえば自社ですべてを内製化させるのではなく、協業メーカーに不得意なところを補ってもらえるようなメーカーになったら最高なのに。まぁ、そうなるとイーロン・マスクが「それってテスラじゃなくない?」としかめる顔も想像できるけど（笑）

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【写真】【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第166回“まるで美術館の白壁に囲まれた没入感と、感覚増幅器のような独特の車内空間”

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