香川県・高松市内にある屋島(やしま)。メサ地形と呼ばれる希少な台地状の地形をもつこの場所は、史跡・天然記念物に指定され、瀬戸内海国立公園の一部として森全体が保護されている。かつて、豊かな自然や瀬戸内海を見下ろす絶景を求めて多くの人で賑わっていたその山頂に、人々を呼び戻す施設として完成したのが、「屋島山上交流拠点施設(通称:やしまーる)」だ。
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設計を手がけたのは、著名建築家を輩出しているSANAA(サナア)出身の周防貴之。最優秀者に選出されたプロポーザルコンペで提案したのは、周辺環境との関係を重視し、場所の魅力を最大化する“地形のような建築”だ。全長200mにおよぶガラス張りのスロープが大小6つの屋外広場を縫うように配置され、それらが展望スペースや展示室、多目的ホール、カフェなどの用途に合わせて大きく膨らんだり狭まったりしながら、高低差のある地形に沿うように立体的につながっている。ガラス張りの遊歩道のような空間をたどれば、周囲の自然や瀬戸内に浮かぶ島々などの風景と出合い、建築を通してこの地域の魅力を再発見することができる。
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この建築は『瀬戸内国際芸術祭2022』の作品のひとつでもあり、オープン後には多くの人々が来場した。地形と呼応するユニークな建築が、この地域の新しい顔となりつつある。
屋島山上交流拠点施設/やしまーる
住所:香川県高松市屋島東町1784-6
TEL:087-802-8466
開園時間:9時~17時 ※金・土・祝前日は21時まで
休園日:火曜日(祝日の場合は開館、翌平日休)
料金:無料
www.yashima-navi.jp/jp/yashimaru
【設計者】SUO+Style-A
SUO代表の周防貴之は1980年滋賀県生まれ 。慶應義塾大学大学院修士課程修了後、妹島和世建築設計事務所、SANAA勤務を経て、2015年に現事務所を設立。今回は建築事務所Style-Aとともに設計を進めた。
※この記事はPen 2023年1月号より再編集した記事です。