冬の風物詩といえば、クリスマスツリーなどのイルミネーション。デートスポットになったり、クリスマス商戦を盛り上げたりする存在だが、2022年の欧州のイルミネーションは例年とは異なる。エネルギー危機の影響で、ライトアップの時間短縮や自粛が生まれているのだ。
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エネルギー危機で電力不足
ロシアのウクライナ侵攻で、世界中でエネルギー価格が高騰しているが、特に欧州ではロシアの天然ガスへの依存度が高い国が多く、その影響が大きい。
例えば、ポーランドの都市ヴロツワフのエネルギー企業は、2023年にはこれまでの料金の5倍相当となる値上げを発表している。エネルギーの使用量が多くなった2022年夏でも冷房の使用を少なくするよう呼びかけられた国があり、この冬も引き続き、欧州の多くの国で電力不足が続く。
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英ロンドンでは点灯時間を3分の1に限定
イギリス、ロンドン中心地のオックスフォード・ストリート。およそ2kmにわたる大通りには、有名デパートやショップ、レストラン、カフェなどが並び、ロンドン観光には欠かせない場所だ。
これまでは24時間点灯されていたクリスマスイルミネーションだったが、2022年は午後3時から午後11時までの8時間に限定される。イルミネーションに使用される30万個のライトは、省エネ効果の高いLEDライトに切り替えられた。これにより、電気使用量は前年の3分の2まで削減される見込みだという。
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独ブレーメンでは点灯期間を約半分に
ドイツのブレーメンでも、点灯時間や点灯する期間を短縮している。イルミネーションは例年、10月末から2月末までの約4カ月間と長期にわたり行われていたが、2022年は約2カ月間と大幅に短縮している。デュッセルドルフでは1日15時間点灯されていたが、2022年はその3分の1の5時間に変更されている。
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アイススケートの代わりにローラースケート
イルミネーションと同様に、エネルギー消費を自粛する動きが出ているのが、アイススケートリンクだ。リンクを冷たい状態に保つためにも電気が必要だ。しかも近年の温暖化のため、そのコストはかさむ傾向にある。フランスやドイツでは、クリスマスシーズンに毎年登場するアイススケートリンクを廃止し、代わりにエネルギー消費の少ないローラースケートリンクが計画されているそうだ。
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イルミネーションではなく寄付を実施
このような節電の動きは、エネルギー価格がそれほど高騰していないエリアにも波及している。スキーリゾートがあることで知られるイタリア・リヴィーニョ市では、クリスマスイルミネーションを行わないことを決めた。市長は「深刻な危機にあるのに、装飾の点灯にお金を使うことが正しいは思えない」と述べ、イルミネーションの中止で節約できる約5万ユーロ(約720万円)を現地の困っている家庭に寄付するという。
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小売業者のなかには、このようなイルミネーションの中止や自粛が消費者の購買行動に影響を与えるとして、懸念する人もいるようだ。確かに華やかなイルミネーションが少なくなれば寂しさを感じるかもしれない。しかしエネルギー危機と生活費の高騰に直面する国が多いなか、エネルギーの使い方について考えるひとつのきっかけになるかもしれない。
【出典】
https://www.express.co.uk/news/uk/1691057/christmas-lights-oxford-street-switched-off-energy-bills
https://www.bloomberg.com/news/features/2022-11-19/europe-is-reducing-christmas-lighting-to-save-energy
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2022/nov/20/no-ice-rinks-fewer-lights-christmas-markets-across-europe-scaled-back-as-energy-costs-soar
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