「クレオパトラの墓への通路か...」エジプト神殿の地下13メートルから「トンネル」が発見される

  • 文:青葉やまと
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※画像はイメージです istock

エジプトの神殿の地下から、長さ1.3キロにわたる巨大なトンネルが発見された。長年その所在が謎とされてきたクレオパトラの墓につながる通路である可能性があるとして、注目を集めている。

発掘を進める考古学者は、仮に墓の発見につながれば「今世紀最も重大な発見」になると述べ、興奮を隠さない。

トンネルが発見されたのは、エジプト第2の都市であるアレクサンドリアの西に位置する、タップ・オシリス・マグナ神殿だ。地中海に臨む遺構であり、神殿名は「偉大なるオシリス神の墓」を意味する。

調査を率いたのは、ドミニカ共和国・サントドミンゴ大学のキャスリン・マルティネス博士(考古学)だ。マルティネス博士は長年クレオパトラの墓の所在を追っている考古学者であるほか、弁護士、外交官としての顔を持つ。

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神殿近くのシャフトが導く、地下トンネルの世界

マルティネス博士らは11月、地下約13メートルを走るこのトンネルを発見した。地上部にある入り口から岩盤を掘り下げ、人が降りられるほどの幅の垂直のシャフトが形成されている。

地下に達するとシャフトは終わり、そこからは水平方向にトンネルが続く。米スミソニアン誌によると高さは2メートルほどで、人が立って歩ける大きさだ。

エジプト考古省によるとトンネルは1.3キロ以上続いている。その一部は地中海から流れ込んだ水を受け、水没した状態となっている模様だ。美術ニュースを伝えるアート・ネットは、紀元前320年から紀元1303年までにこの地域を複数の地震が襲っており、その際に水中に没したのではないかと報じている。

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古代の土木技術の粋を集めた「幾何学上の奇跡」

トンネルは岩盤をていねいにくり抜いており、上部は石材を張り巡らせた三角屋根の形状となっている。地下13メートルという深度に設けられた入念な細工を、考古省は「幾何学上の奇跡」と表現している。

古代のトンネルとしては、ギリシャのサモス島南部に位置するユーパリノスのトンネルが有名だ。紀元前6世紀前後に作られ、全長2.5キロに及ぶ水道橋として機能していたと考えられている。

タップ・オシリス・マグナ神殿の地下で今回発見されたトンネルは、史跡の重要性としてこれに匹敵するとさえいえるようだ。マルティネス博士は、科学ニュースサイトのライブ・サイエンスに対し、「古代の土木工学の最も重要な成果とされているギリシャのユーパリノス・トンネルと、瓜二つです」と述べている。

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クレオパトラと恋人を象徴する神殿

米CNNは、今回発見された神殿地下のトンネルについて、長年の謎であったクレオパトラの墓の所在究明につながる可能性があると報じている。

トンネルの上部に位置する神殿は、冥界を司るオシリス神とその妻であるイシス神に捧げられたものだ。生前のクレオパトラはイシス神の化身とみなされていた。また、クレオパトラの恋人であった軍人のアントニウスは、イシス神の夫であるオシリス神の化身と信じられていた。

このためマルティネス博士は、オシリス神を祀ったこの神殿近くに恋人と自身の亡骸を葬るよう、クレオパトラが手配した可能性が高い——と考えている。

水没したトンネルが導く先は不明だが、二人が眠る墓につながっている可能性は十分にありそうだ。

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【画像】クレオパトラの墓への通路か...エジプト神殿の地下13メートルから「トンネル」が発見される

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※画像はイメージです istock

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クレオパトラと恋人を象徴する神殿

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