エンジニアリングが成熟した昨今のスポーツカーは、メーカーが意図する姿をほぼ完ぺきに実車に反映できている。ポルシェはその筆頭格で、新型がよいのは当たり前。さらに理想とするクルマを「ボディのチリの合わせこみ」のような精度で演出する。
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しかも走りを追求したRSモデルともなると、必要なモノ以外はとことん削ぎ落とされているので走りの精度はさらにくっきりしている。「718ケイマンGT4RS」は、911GT3と同じ水平対向6気筒の自然吸気エンジンを搭載したミドシップのハードコアモデル。結論からいうと、このエンジンをサーキット仕様のミドシップ・ボディで味わい尽くせ! そこに集約されたクルマなんだ。
いうなれば「ストレート・ノー・チェイサー」だね。強烈なトルクによるキックを感じたあとに混じり気のないクルマの特性が見えてくる。なにをおいてもポルシェのスピリッツを感じる、自然吸気4リッター水平対向6気筒エンジンですよ。脳に直接接続してるんじゃないかってぐらいの瞬間的な反応で、一気にレッドゾーンを目指してのぼりつめる。4000回転を越えて乾いた音に変わればPDKによる変速で鋭く一刀両断。さらに二の太刀、三の太刀とギアをつないで先の速度域を目指す。
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PDKがアシストする容赦ない加速は、まるで居合で繰り出される連続技による爆発そのもの。ゆるめのカーブならほとんどブレーキを必要としないし、ブレーキは自然で見事なまでに黒子に徹している。自分はいいからエンジン楽しんでください、みたいな(笑)。
ハンドリングは坂の登りなら食い気味のオーバーステアリングで下りはアンダー気味に味つけされている。そしてほとんどのコーナーをアクセルで協調するようにクルマが誘ってくる。コーナリングでアクセルをしっかり入れることによってもたらされる強烈なオンザレール感は、ポルシェの最高到達地点だね。ひたすら「ヤバいな」と声がもれたんだ(笑)。
クライマックスはサーキットで試して欲しいんだけど、ESCを切ってトラクションコントロールを解放してみよう。ハンドルは完ぺきなフラットになり、目を輝かせた少年のようなピュアな素性をあらわす(笑)。空冷911レーシングモデルのようにノーズが軽くなり、後輪はスライドしやすくなる。でも接地感はしっかり伝わるので、ぜんぜん怖いものではないのね。エンジニアが目指した「ミドシップで自然吸気の水平対向6気筒を味わい尽くす」ためのリアルが姿を現す。
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マジでなにも足さない、なにも引かない「ストレート・ノー・チェイサー」。とことんエンジンの魅力が五臓六腑にしみわたるミドシップ。最高ですよ。最高すぎるけど、ポルシェのRSモデルって、もっと何かが大きく逸脱しているような尖り方をしてなかったっけ? なぜか718ケイマンGT4RSの出来がよいと感じれば感じるほど得体の知れない焦燥感とともに切なくなってきて、最後はほんとに感極まってしまったんだ(笑)。
ポルシェは、スポーツカーメーカーの名門としてエンジンの終わりを意識しているのかも知れない。スペクタルだった冒険のクライマックスにどう幕を引こうかを考え、むしろいつ引かれてもおかしくない現状認識ではるか未来の視点から、ファンのために「記憶に残る名車」をつくっているんじゃないかってね。
伝えたい真意はたぶん明快で「最後のときまでもう少し。だから楽しんでください」ってこと。よくあるJポップの歌詞じゃないけど「君の優しさが痛い」とはこういうことを言うのかと(笑)。こっちの意味でも五臓六腑に染みいったんだ。
ポルシェ 718 ケイマン GT4 RS
サイズ(全長×全幅×全高):4456×1822×1267㎜
排気量:3996㏄
エンジン:水平対向6気筒
最高出力:500PS/8400rpm
最大トルク:450Nm/6750rpm
駆動方式:MR(ミドシップ後輪駆動)
車両価格:¥18,780,000(税込)
ポルシェ コンタクト
TEL:0120-846-911
www.porsche.co.jp
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【画像】【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第163回“五臓六腑に染みいる「ストレート・ノー・チェイサー」、ミドシップの最高傑作ここにあり”
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