【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『今日拾った言葉たち』
あまりにも呆れ返ることが起こり過ぎて無力感に苛まれそうないま、頼りになるのがこの人。武田砂鉄が2016~22年に新聞やテレビ、SNS上などで拾った気になる言葉を振り返った批評集だ。いちいち怒ると消耗するのでスルーする技を身に付けてしまった人も少なくないはず。そんな消化不良のモヤモヤを根気よく言語化し、なぜその問題をスルーするとヤバイのかを明らかにする。権力を振りかざしたい人たちに、いかに言葉が都合よく骨抜きにされてきたかがよくわかるし、そのからくりを見抜く眼の訓練になる1冊。
※この記事はPen 2022年12月号より再編集した記事です。