ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の、ファッションスタイルの違いとは?

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一
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「V-12 LEATHER」というモデル。ウルグアイの農場で生産された牛革をブラジルで鞣した素材を採用。ライニング(裏地)はPETボトル由来のリサイクルポリエステル・オーガニックコットンを採用。アウトソールに含まれるゴムはアマゾンから採取した天然ゴム、靴紐はオーガニックコットンと環境に配慮した素材が使われている。23,100円/ともにヴェジャ

「大人の名品図鑑」英国王室編 #3

世界約200カ国のなかで「王室」がある国は30に満たないが、「王室」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは英国王室ではないだろうか。イギリス国民から圧倒的な支持を受け、その動向はすぐにニュースとなる。いまや英国王室御用達=ロイヤルワラントは完全にブランドのようになっている。今回は、そんな英国王室から愛された名品を取り上げる。

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2022年9月にチャールズ皇太子が国王チャールズ3世となった。そしてチャールズ皇太子の長男であるウィリアム王子は、父が64年間務めた皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)を継承し、ウェールズ公ウィリアム王太子となった(日本では皇太子と呼ばれることも多い)。またウィリアム王子の妻キャサリン妃は王太子妃(プリンセス・オブ・ウェールズ)と、新しい称号を持つことになった。ウィリアム王太子の弟であるヘンリー王子が王室から離脱している現在、ウィリアム王太子とキャサリン王太子妃、その家族が、次代の英国王室を担うことになるのだろう。

ウィリアム王太子。誕生は1982年6月21日。チャールズ国王(当時はチャールズ皇太子)とダイアナ妃の第1子・長男として生まれる。ロンドンで幼少期を過ごしたあと、バークシャーにある小学校に通っているが、大学はスコットランドにあるセント・アンドルーズ大学に進学し、美術史や地理学を学んだ。王室の伝統に従い、2006年からはイギリス軍に入隊、サンドハースト王立陸軍士官学校を経て、海軍兵学校と空軍士官学校でも教育を受けた。2009年には陸海空軍の大尉に昇進している。2011年4月には学生時代に知り合ったキャサリン・ミドルトンと結婚。ロンドンのウェストミンスター寺院で行われた結婚式は日本でも関心を集め、英国王室の威光と貫禄を全世界に示すものとなった。

またキャサリン王太子妃は、1982年1月9日にバークシャーで生まれる。高校までバークシャーで育ち、その後マールボロ・カレッジを卒業。セント・アンドルーズ大学へ進み、そこで王太子と知り合った。学校で開かれたファッションショーにモデルとして出演していたところを、王太子が一目惚れしたという話もある。結婚後は、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子を授かり、家族で幸せに過ごす様子がメディアで報道されている。ちなみに彼女はイギリス王室初の“大卒”かつ“民間出身”の王太子妃だ。

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控えめでクラシックな王太子と、ファッションアイコンの王太子妃

そんな2人を象徴する名品はどんなものが挙げられるだろうか。チャールズ国王の遺伝子かもしれないが、王太子のスタイルは常に控えめでクラシックを基本としている。2017年のイギリス版『GQ』の表紙を飾っているが、ネイビーのジャケットにブルーのシャツという定番的なスタイル。ジャケットは王太子妃も愛用するアレキサンダー・マックイーン、シャツはリチャード・ジェームスというセレクト。左腕にはオメガの「シーマスター プロフェショナル」を身に着けているが、それは母ダイアナ妃からプレゼントされたものとある。また同誌には王太子のスタイルを「問題ない限り、修正する必要がないという哲学を長年貫いている」と評している。国王と同じく、それも英国紳士の伝統と言えるのではないだろうか。

一方、王太子妃のスタイルはイギリスでは常に注目されていることもあって、完全にファッションアイコンと化している。彼女を「コートインフルエンサー」と評するファッション誌もあるほど、公式な場面での王太子妃のコート姿がたくさん撮られている。結婚式のウェディングドレスも製作したアレキサンダー・マックイーンやキャサリン・ウォーカーは王太子妃のお気に入り。またマルベリー、ミュウミュウ、ミッソーニ、バーバリーなど、着用ブランドは多岐に渡る。鮮やかな赤いコートが多いのは、エリザベス女王の“ワンスタイル”を見倣ってのことだろうか。

『フィガロジャポン』のウェブサイトでは、エレガントなフォーマル姿に加えて、王太子妃のカジュアルスタイルにも言及。「オーソドックスでも、カジュアルでも、TPOに合わせて、いつも非の打ち所がないスタイルをチョイスしている」と書かれている。そんな王太子妃がカジュアルスタイルで選んだスニーカーがある。フランス生まれのブランドでヴェジャ(VEJA)だ。

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サステナブルなスニーカー、ヴェジャ

高校生の時から友人だったセバスチャン・コップとフランソワ・ギラン・モリィヨンが2005年に創立したヴェジャ。2人は「スニーカーのつくり方は変えられる」と持続可能なスニーカーづくりに挑戦、ブラジルやペルーなどで育てられたオーガニックコットンのキャンバス素材やアマゾンの野生のゴムの木からソールを製作するなど、地球環境に配慮した素材を使用したスニーカーづくりを実践する。加えてフェアトレードによる生産者の保護、工場で働く労働者の環境まで配慮、サステナブルを体現するブランドとして世界的に注目を集めるスニーカーブランドとなった。

ものづくりにおいて地球に優しく、生産者に誠実でありたいと願うブランドの姿勢はデザインにもあらわれている。デザインはどれもクリーンでミニマルを基本にして、クラシックささえも漂う。アッパーに入るのはブランド名を想像させる「V」のマークだけというシンプルさ。そういったブランドの姿勢に共感して王太子妃もこのスニーカーを選んだのではないだろうか。

王太子妃はくるぶしが見えるような丈のスリムパンツと合わせることが多いが、とても似合っている。こんなシンプルなデザインのスニーカーならば、どんなスタイルにもコーディネートすることができ、トレンドに左右されることもないだろう。

ヴェジャのスニーカーは一切宣伝活動を行っていないにもかかわらず、王太子妃だけでなく、元プロサッカー選手のデイビット・ベッカムや女優のエマ・ワトソン、マリヨン・コティヤールなど、多くのセレブリティから支持されている。有名デザイナーからのアプローチも多く、リック・オーエンスやルメールといったブランドとコラボ。最近ではマルニと2度目のコラボ作品を発表し、DIY風のハンドプリントのデザインが評判を呼んでいる。

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ブランド名がヒールに入っているが、「ヴェジャ(VEJA)」はポルトガル語で「見る」という意味だ。アッパーのサイドに入ったブランド名の頭文字をモチーフにした「V」マーク。シンプルなコートシューズのデザインにブランド名やマークが映える。

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アウトソールの材料もエコロジカルな素材が使われている。このモデルはアマゾンゴム31%、米廃棄物22%、リサイクルゴム12%の配合によってつくられている。

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「ミノタウロ(MINOTAUR)」と名付けられた新しいハイカットモデル。足首を包む丸みのあるクッションがデザインのアクセントになっている。足首などには柔らかなあたりを持つ素材が使われ、履き心地も快適だ。¥26,400/ともにヴェジャ

問い合わせ先/シードコーポレーション TEL:03-6709-9662

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【画像】ウィリアム皇太子とキャサリン皇太子妃の、ファッションスタイルの違いとは?

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ブランド名がヒールに入っているが、「ヴェジャ(VEJA)」はポルトガル語で「見る」という意味だ。アッパーのサイドに入ったブランド名の頭文字をモチーフにした「V」マーク。シンプルなコートシューズのデザインにブランド名やマークが映える。

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アウトソールの材料もエコロジカルな素材が使われている。このモデルはアマゾンゴム31%、米廃棄物22%、リサイクルゴム12%の配合によってつくられている。

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「ミノタウロ(MINOTAUR)」と名付けられた新しいハイカットモデル。足首を包む丸みのあるクッションがデザインのアクセントになっている。足首などには柔らかなあたりを持つ素材が使われ、履き心地も快適だ。¥26,400/ともにヴェジャ