「見事!夢のような空間」豪華列車オリエント急行が時を経て復活 パリで初披露 

  • 文:美矢川ゆき
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@Orient Express – homepage

アガサ・クリスティの小説『オリエント急行殺人事件』や映画『007 ロシアから愛を込めて』の舞台になり、多くの旅人を魅了したオリエント急行。そんなロマンあふれる列車の最も有名な路線が2025年に復活する。1883年に誕生し、「西洋と東洋を繋いだ」と人気を集めたフランス・パリとトルコ・イスタンブールを結ぶ路線だ。

オリエント急行の復活に際して車体の修復を指揮しているのは、数多のホテルやレストランを世界展開するフランスの大手ホスピタリティ・グループ「アコー(Accor)」だ。アコーは2017年に、オリエント急行の利権を50%保有。さらにフランス国鉄SNCFとタッグを組んで、オリエント急行を復活させることを発表した。その発表から5年、ついに内装の一部が公開された。

SNS上には、「見事!夢のような空間」「いつかこの列車でをして、世界を違う角度から見てみたい」「オリエント急行での旅は、人生でやってみたいことの上位にあります」「まるで1本の映画を作りあげるように、オリエント急行が現実となったんですね。美しい」「いつの時代も品のあるオリエント急行。ありがとう」という声があふれた。

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オリエント急行の新車両のビデオツアー @Orient Express - YouTube

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蘇ったオリエント急行の内装

オリエント急行の新たな内装は、10月にパリで初披露された。今回発表されたのは、バーラウンジ、レストラン、スイートルーム。ひと目見ただけでオリエント急行の豪華さが感じられ、1920年代の要素を残しつつ、モダンに生まれ変わっている。

今回修復された車両は、2015年にベラルーシとポーランドの国境辺りで発見されたものだ。フランス国鉄SNCFから調査を依頼された産業史研究家のアーサー・メテタル氏が偶然YouTubeで発見し、GoogleMapsとGoogle3Dを使って探し当てた。メテタル氏によると、経年劣化はあったもののほぼ完璧な状態で残されていたそうだ。「車内は気品があり、家具、寄木細工のパネル、ルネ・ラリックのガラス作品などがすべて本来の場所にあった」


しかし、Condé Nast Travelleによると、アコー会長兼CEOのセバスチャン・バザン氏は、オリエント急行の復活を念頭においた際、「20世紀初頭のデザインを忠実に再現するのではなく、現代的要素を取り入れてデザインし直すことが不可欠」だと考えたそうだ。「オリエント急行は、伝説の列車です。物語や旅を通して、長い年月を生きてきた列車。そんなオリエント急行を現代に再び甦らせるには、ただ単に列車を当時のままに復刻したのでは充分ではありません」。バザン氏は、オリエント急行のスピリットと今の時代を共鳴させ、時代を超越したタイムレスな列車を生み出さなければならないと考えたのだ。

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オリエント急行のバーラウンジ @orientexpress - Instagram

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オリエント急行レストラン @orientexpress - Instagram

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オリエント急行のスイートルーム @orientexpress - Instagram

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当時のルネ・ラリック作の装飾パネル @orientexpress - Instagram

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21世紀にふさわしい、快適でラグジュアリーな内装

アコーから依頼されてオリエント急行の内装を手掛けたのは、建築家マキシム・ダンジャック氏。パリ・シャンゼリゼ大通りにあるゲラン本店の内装など、数多くの修復や装飾プロジェクトで知られる人物だ。“世界で最も有名な列車の内装を手掛ける“という難題を、彼は2つの角度からアプローチした。ひとつは「列車のもつ歴史ある個性を引き継ぐこと」もうひとつは「21世紀の快適さとラグジュアリーさを追求すること」だ。

「内装をデザインする上で最も難しい課題は、昼と夜の時刻の移り変わりを生かした演出と、狭い空間でいかに快適さを提供するかでした。その為に、まるでベッドがソファに変身するのと同じように、キャビン全体が場面転換するような、劇場型の要素を取り入れたのです」

最終的に、オリエント急行の内装を仕上げるにあたり、「最高の技術を持つ職人たちが、それぞれの持ち場で力のすべてを発揮してくれました。そのお陰で、非常に洗練されたラグジュアリーな空間が生まれたのです」とマキシム・ダンジャック氏は語っている。「きっと快適でラグジュアリー、比類なき特別な列車の旅ができるでしょう」

最初に列車を発見したアーサー・メテタル氏も、「この列車が持つ個性と歴史を、見事に捉えている」と称賛している。

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車内インテリアを手掛けたデザイナー、マキシム・ダンジャック氏 @maximedangeac - Instagram

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オリエント急行の歴史

オリエント急行は、1883年、ベルギー人実業家ジョルジュ・ナゲルマケールス氏の「長距離移動を楽しいものにしたい」という夢によって誕生した。パリとコンスタンティノープル (現在のトルコ・イスタンブール)を結ぶ列車は、人々の心をとらえた。アガサ・クリスティの小説『オリエント急行殺人事件』が出版された1934年は、オリエント急行の全盛期である。その後、1977年にこの路線は廃止する。

1980年代初め、スイスの実業家アルバート・グラットは、オリエント急行を復活させる為に、歴史ある車両を買い集め、ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行をスタートした。スイス・チューリヒからトルコ・イスタンブールまで走るこの列車は大成功する。1992年には、マイケル・ジャクソンがヨーロッパツアー中にオリエント急行で移動をして話題に。その後、パリ〜東京間を結ぶ史上最長の距離も走破したが、数年後に姿を消してしまう。Orient Expressによると、ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行が所有していた列車こそ、まさに今回アコーとフランス国鉄SNCFが復活させた列車だそうだ。

なお、アコーは、2024年のパリ・オリンピックに合わせて、パリ〜ウィーン間を走る『ラ・ドルチェ・ヴィータ』を運行することも発表している。2023年に乗客の募集を開始する予定だ。


また、現在運行しているオリエント急行は、アコーが手掛けている列車の他に、イギリス・ベルモンド社が手掛けるベニス・シンプロン・オリエント急行 がある。1982年にスタートしたこの列車は、古き良きオリエント急行の全盛期を再現し、映画の世界に迷い込んだようなクラシックで豪華な内装と、極上のサービスが人気だ。乗車時や下車時にもドレスコードがあり、夕食はイブニングドレスが推奨され、気品ある雰囲気を大切にしている。3月から11月まで欧州のさまざまな都市を運行。イスタンブール路線が運行されることもある。

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1892年当時のオリエント急行ルートマップ @orientexpressheritage – Instagram

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1950年当時のオリエント急行。列車には「パリ〜ローザンヌ〜ミラノ〜トリエステ〜ベオグラード〜ソフィア〜イスタンブール」という行き先がみえる @orientexpressheritage – Instagram

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1950年、アメリカの雑誌『LIFE』に掲載されたオリエント急行 @orientexpressheritage – Instagram

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『007ロシアより愛をこめて』にもオリエント急行が登場する(1963年) @Rotten Tomatoes Classic Trailers - YouTube

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アガサ・クリスティ原作『オリエント急行殺人事件』(2017年)の映画 @20th Century Studios - YouTube

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【画像】「見事!夢のような空間」豪華列車オリエント急行が時を経て復活 パリで初披露 

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オリエント急行の新車両のビデオツアー @Orient Express - YouTube

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オリエント急行のバーラウンジ @orientexpress - Instagram

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オリエント急行レストラン @orientexpress - Instagram

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オリエント急行のスイートルーム @orientexpress - Instagram

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当時のルネ・ラリック作の装飾パネル @orientexpress - Instagram

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車内インテリアを手掛けたデザイナー、マキシム・ダンジャック氏 @maximedangeac - Instagram

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1892年当時のオリエント急行ルートマップ @orientexpressheritage – Instagram

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1950年当時のオリエント急行。列車には「パリ〜ローザンヌ〜ミラノ〜トリエステ〜ベオグラード〜ソフィア〜イスタンブール」という行き先がみえる @orientexpressheritage – Instagram

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1950年、アメリカの雑誌『LIFE』に掲載されたオリエント急行 @orientexpressheritage – Instagram

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『007ロシアより愛をこめて』にもオリエント急行が登場する(1963年) @Rotten Tomatoes Classic Trailers - YouTube

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アガサ・クリスティ原作『オリエント急行殺人事件』(2017年)の映画 @20th Century Studios - YouTube

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