吸い込まれるような鮮やかで深い青—インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)—で知られるアーティストのイヴ・クライン(1928-1962)。芸術の「脱物質化」を目指したクラインの作品を中心に、同時代に影響関係にあった作家や、その制作アプローチを新たに解釈した現代アーティストの作品も展示する企画展が金沢21世紀美術館で開催されている。
展示空間に入ると、まずはイヴ・クラインと日本との関係が資料で紹介されている。フランスのニースで生まれ育ったクラインは、地元で柔道を始め、1952年に日本への留学を果たした。15ヶ月間過ごす間には、講道館から4段を認定されたほか、魚拓や力士の手形、漆器などに触れ、さまざまな「型」を知ったことがその後の発想に大きく影響を与えた。例えば、IKBを身体に塗り女性の姿をかたどった「人体測定」シリーズはひとつの典型と言えるだろう。また、柔道における身体性、「型」を通した身体表現の探求は、空中浮遊のパフォーマンスとの関係を感じさせる。
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