ランボルギーニが、スーパーSUV「ウルス・ペルフォルマンテ」を2022年8月に発表。10月にはローマで、ジャーナリスト向けの試乗会を開催した。スタイリングも性能も、おおいに注目に値するモデルなのだ。
数ある自動車メーカーのなかでも、もっともデザイン的に観るべきものを持っているのは、近年のランボルギーニだと私は思っている。
かつて、ミウラ(66年)、クンタッチ(71年)と、自動車史に永遠に残る名デザインを生んだランボルギーニ。一時期は低迷していたものの、2001年のムルシエラゴから”再生”。がぜん、興味ぶかいモデルを次々に発表してきている。
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ウルスは、2018年に発表されたモデルで、スーパーSUVなどと呼ばれるジャンルの先鞭をつけた。ロジカルさとエモーショナルさをうまくバランスさせたスタイリングは秀逸で、全高は1.6メートルを超えるものの、プロファイル(サイドビュー)はスポーツカーのようだ。
2022年に、ランボルギーニ社は、ウルスのテコ入れを行った。パワーを上げたウルスSと、すこし時期をずらして、車高を下げたりエアロパーツを付加したりした、サーキット志向(!)のウルス・ペルフォルマンテが、このとき生まれたのだ。
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ウルス・ペルフォルマンテはどんなクルマか。ローマ近郊のバレルンガ・サーキットで乗った印象をひとことでいうと、まさにスポーツカーのように楽しめるクルマなのだ。そしてデザイン的にもたいいへんすぐれている。まったく古びて見えない。
「ランボルギーニには2つのデザインテーマがあります。ルーフライン(側面から見たときのルーフのカーブ)と、フロントから見たときに台形のシルエットです。今回もそれを守っています」
ヘッドオブデザインとしてランボルギーニのデザインを統括するミッチャ・ボルカート氏は、このとき、ウルス(ペルフォルマンテ)のデザインテーマについて、私に教えてくれた。
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くさび型のシルエット、あえて小さく見せるサイドウィンドウ、大きく張り出したリアフェンダー、そしてクリスピーなどと表現される角の立ったキャラクターラインを各所に配したボディ……。考え抜かれたデザインだ。
おなじシャシーを共用するベントレー・ベンテイガ(ベントレーもランボルギーニもいまは同じグループ)などはもっさり感が強いのに対して、ウルスはランボルギーニの名に恥じないシャープさをセリングポイントにして成功していると思う。
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ウルス・ペルフォルマンテは、ウルスのシャープなイメージをさらに強化したようなデザインだ。じっさいにエアロパーツが増えているし、軽量かつ剛性が高いのでレーシングカーでおなじみのカーボンファイバー製パーツも多用されている。機能的デザインというのか、とてもぜいたくな作りだ。
走りの面でも、じっさい、従来の印象を上書きしてくれるモデルだ。これまでのウルスも悪いクルマではなかったが、今回のモデルは、操縦性において、あきらかにはるか上をいっている。
490kWの最高出力に850Nmの最大トルクを発生する4リッターV8エンジンを搭載。静止から時速100キロまでの加速に3.3秒しかかからないというのもよくわかる。そうとうな加速感だ。
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かつ、ペルフォルマンテ専用に開発したサスペンションシステムは、「後輪駆動的な動きを楽しめるように設定しました」というもの。チーフテクニカルオフィサーとして、技術面でクルマの開発を手がけているロウフェン・モアー氏はそう解説してくれた。
サーキットでは路面に張り付くように走り、ステアリングホイールを動かすときのクルマの動きは、加速もブレーキも含めて、スポーツカーと較べても遜色ない。思うままに動いてくれる。磨きあげた、という言葉がぴったりだなと私は思った。
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「ウルス・ペルフォルマンテは、デザインとテクノジー両面で、新しい時代のスーパーSUVの皮切りになるモデルです。私はベストオブ3ワールドと呼んでいます。日常、サーキット、それにオフロード、どこでもすばらしい性能ぶりを味わえるはずです。このセグメントでの基準をうんと引き上げたのです」
そう語ってくれたのは、アウトモビリ・ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマンCEOだ。たしかに、バレルンガ・サーキットにはいたるところに「For Bar Raisers Only」と書かれていた。バー(基準)をレイズする(引き上げる)のは、スポーツ選手やアーティストの専売特許ではない、という。
インテリアは、従来のウルスの延長線にあるデザインだ。機能的で、かつエモーショナル。操縦しやすいし、加えて、ディテールにいたるまで凝った意匠と、質感の高い素材の使用によって、気分がアガる。
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ウルス・ペルフォルマンテでは、滑りにくい人工スエード張りのバケットシートが採用されていて、側面に「performante」の文字が刺繍されている。特別感がつよくて、オーナーの気持ちのくすぐりかたが上手だと私は感心。
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2025年には、現在よりCO2排出量を半分に減らすことを謳うランボルギーニ。「達成できると思います」とヴィンケルマンCEOは語る。V8やV12という、ある種のひとにとってランボルギーニの象徴ともいえるエンジンはどうなるんだろうか。
「まずは、これから導入される厳しい欧州の排ガス規制であるユーロ7に対して、ランボルギーニの多気筒エンジンでも。改良をほどこせば対応可能かチェックします。その先のことは、これからも研究開発を続けていく必要がありますが」
ファンを失望させたくない、というヴィンケルマンCEOだけに、サーキットでもじゅうぶん魅力を味わわせてくれたエンジンがこの先も規制とうまく折り合いをつけることとともに、ひいてはランボルギーニの明るい未来を祈りたいと思う。
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Lamborghini Urus Performante
全長×全幅×全高 5137x2026x1618mm
ホイールベース 3006mm
3996cc V型8気筒ターボ 全輪駆動
出力 490kW@6000rpm
トルク 850Nm@2300~4500rpm
変速機 8段オートマチック
最高速度 306km/h
価格 3181万6785円(税別)
【写真】
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