アート作品をターゲットにしたヴァンダリズム(破壊行為主義)がヨーロッパの環境活動家たちの間で活発化している。
去る10月14日に、イギリスの環境活動家団体「Just Stop Oil」のメンバーがロンドンのナショナルギャラリーに展示されているゴッホによる名画『ひまわり』にトマトスープをかける事件が起こった。幸い『ひまわり』自体は保護ガラスに覆われており破損することはなかったものの、活動家たちの極端な行動に対して批判の声が上がった。
実行犯はZ世代の少女たち。「絵画を保護することは地球を守ることよりも大切なのか」と問いかけている。動画に対しては「こんなことで環境問題は解決できない」「食糧問題について問いかけているくせに、スープ缶を無駄にしている」といった批判的なコメントが多く並んでいる。
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モネの作品にもマッシュポテトが…
10月23日にはドイツの環境活動家団体「Letzte Generation」がモネの作品『積みわら』にマッシュポテトをかける事件も。同団体は「2050年には環境破壊により我々の生活は破綻してしまうというのに、絵画にトマトスープやマッシュポテトがぶちまけられるのを心配している場合ではない」といったメッセージを問いかけている。なお、『積みわら』も保護ガラスにより直接の破損はなかったようだ。
We make this #Monet the stage and the public the audience.
— Letzte Generation (@AufstandLastGen) October 23, 2022
If it takes a painting – with #MashedPotatoes or #TomatoSoup thrown at it – to make society remember that the fossil fuel course is killing us all:
Then we'll give you #MashedPotatoes on a painting! pic.twitter.com/HBeZL69QTZ
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襲撃されたモネの『積みわら』。2019年にはオークションで約1億1千米ドル(現在のレートで約163億円)の値がついた。
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多くの人は批判的だが…
なぜ、環境活動家たちは名画をターゲットにするのか。高い価値をもつアート作品をターゲットにすることで、注目を集められるのが大きな理由だとされている。
ガーディアン紙は『ひまわり』のトマトスープ事件について印象的な問いかけをしている。“生命を描いた絵は、生命そのものよりも価値があるのだろうか”。“開発により環境を破壊することは進歩の代償であると正当化される一方で、誰かが絵画を破損させることは野蛮で忌まわしい行為とされてしまうのだろうか。”
一連の名画をターゲットにした破壊行為に対して、多くの人々は批判的で「こんなことで環境問題を解決することはできない」という。また、このような破壊行為により環境保護活動に対して否定的な意見を持つ人が増えるという意見もある。しかし、我々は活動家たちの問いかけを無視し、揶揄し、批判し続けるだけで本当にいいのだろうか。
名画に対する破壊行為とは別に、環境活動家たちの問いかけの中には、無視できない差し迫ったメッセージが含まれていることも確かである。
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【動画・画像】「絵画を保護するのは環境を守ることより重要?」トマトスープ投げ少女たちはなにを問いかけたかったのか
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モネの作品にもマッシュポテトが…
We make this #Monet the stage and the public the audience.
— Letzte Generation (@AufstandLastGen) October 23, 2022
If it takes a painting – with #MashedPotatoes or #TomatoSoup thrown at it – to make society remember that the fossil fuel course is killing us all:
Then we'll give you #MashedPotatoes on a painting! pic.twitter.com/HBeZL69QTZ
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