DJ、クリエイティブディレクターのMOODMANが、日々のアナログ体験を綴ったPenオンラインの連載コラム、「アナろぐフィールドワーク」のポッドキャスト番組がスタート。
DJとして30年以上活躍してきたMOODMANが愛用するアナろぐアイテム「南部鉄器のスタビライザー」を、全3回に渡って深掘り。
最終回になる今回は「老舗のクリエイティビティ」をテーマに、1848年創業の<株式会社及富>の専務である菊地章さん、レコードスタビライザーの企画・製作者である大川寛樹さんに、クリエイティブ視点から質問を投げかけた。
菊地章/南部鉄器職人・株式会社及富 専務取締役
1979年 東京造形大学彫刻科卒業。南部宝生堂の後継者として事業に関わり、地元水沢市をはじめ横浜市大倉山、相模原市、正法寺等の公共サイン計画に参画し鋳造作品を提供。2004年より株式会社及富 専務取締役に就任、事業全体の統括責任者としての業務を推進されると同時に、中国、米国等海外進出、3Dデジタル技術の導入、他の伝統技術とのコラボレーションを推進、南部宝生堂8代目を襲名されている。
大川寛樹/南部鉄器職人
1986年、奥州市水沢出身。グラフィックデザイナーとして活動しながら、下北沢のバー「MORE」、青山の居酒屋「なるきよ」、岩手県水沢市のバー「音酔処 BUGPIPE」のスタッフを経て、2017年「及富」に入社。
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ほかの会社では、ここまでやらせてもらえない
菊地章 どれだけ「自由でいられるか」っていうのが社風としてあるんですね。でも自由って結構大変なんですね、実は。
MOODMAN はい。そうですよね。
菊地章 すごい大変なんですよ。どこに飛んでいくかわからないっていう感じですから。でも自由じゃないと、発想が窮屈になってしまいますから。
やっぱり本当に自由でいて、それでいて、ちゃんと経済的に工場は成り立っていて、うちで働いてくれるこういう若い人たちが、本当にやりがいがあるなと感じてくれて、それでもやっぱり窮屈なところもあったりするんだけども、でもやっぱり自由でいられるというような。なかなかうまく言えないんだけど。
大川 自分が入社して感じたのは、まず専務(菊地章氏)が、自分が思ってたその職人像とはちょっと性格というか。元サーファーだったりとかする経歴もあって感覚的というか。
専務がつくってきた昔の作品なんかも、及富に残ってるんですけど、大体変わったのは専務が手がけたもので。その作品を見て、「これが作れるってことは、こういうものも作れるのかな」っていうすごい自分の妄想が広がるようなものがいっぱいあって。今につながる種があるというか。その次みたいなものを意識して、自分もちょこちょこ作ってたりします。
「ほかの会社じゃここまでやらせてもらえないだろうな」とか、「そもそも理解してもらえないだろうな」って思うことは結構あります。自分が手がけた髑髏の鉄瓶だったり。ああいうのも普通に受け入れてもらえて。
普通は「けしからん」みたいに怒られちゃうようなものでも、「そういうのも面白いね」って言ってくれるのは、この会社の特徴だと思います。
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