蔵前に誕生したオルタナティブタナ・スペース「隙間(sukima)」で、 新たな表現に挑む新城大地郎を目撃せよ

  • 文:脇本暁子
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沖縄・宮古島出身のアーティストの新城大地郎による『Trade』が開催。9月23日から27日まで仮設したアトリエにて公開制作が行われる。

レザーシューズや革小物を中心に展開する「エンダースキーマ(Hender Scheme)」が、今年6月4日、東京・蔵前にオープンさせたギャラリー「隙間(sukima)」。貨幣を介さない”交換”をコンセプトにしたオルタナティブ・スペースで、エキシビターは、展覧会をするにあたり、出展料の代わりに展示作品の中から1作品をギャラリーと物々交換するシステムになっている。

柿落としには縄文土器の破片を組み合わせて新しい胸像を作る彫刻家の増井岳人、続いてドイツを拠点に活躍する画家の平松典己とこれまで新進気鋭のアーティストの展覧会を催してきたが、9月23日からは、沖縄・宮古島出身のアーティストの新城大地郎による『Trade』を開催する。

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「表現への違和感をさらけ出した時、それはどこへと昇華されていくのか。多様に視覚化された環境で、他者の意識を感じる中、その時自己の意識はどこへ向かうのだろうか。身体的に行われていく交換の反復が、日常の言葉や文字への信頼を超えた表現になることを信じたい」と新城。

禅僧であり民俗学者でもある祖父を持ち、禅や仏教文化に親しみながら幼少期より書道を始めた新城は、禅や沖縄の精神文化を背景に現代的で型に縛られない自由なスタイルで、伝統的な書に新たな光を当てている。「 tricot COMME des GARCONS 」21AW に作品が起用されたり、2021年には「 HERMES 」制作のドキュメンタリーフィルム「 HUMAN ODYSSEY 」に出演、今年5月には、写真家・石川直樹と共にディレクションを務めるギャラリー「PALI GALLERY」を宮古島にオープンするなど、オールドファッションな書道の枠を越えた活動で注目を集めている。

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書道の伝統や慣習にとらわれず常識を問い、自己の内面を表現した作品を生み出してきた新城が、貨幣の存在を問いかけ、他者の視線の中で生み出される新たな表現に期待したい。

本展覧会では、新城のアトリエを隙間に仮設し、制作のプロセスを一般公開する公開制作と、その中で制作された作品を展示するエキシビションの二部構成となっている。 新城は作品が完成するまでは「街に寄り添い作品を制作して完成するまでを”一次的交換の表現”(自己⇄街・人)」といい、作品完成後は「その周りで起きていく現象も含めて”二次的交換の表現”(作品⇄街・人)」と定義し、隙間のコンセプトである”交換”そのものを制作に組み入れるという。 アーティスト、来場者、周辺の街や環境とさまざまな要素が影響し合うことで創られていく展覧会、あなたもその目撃者として新しい価値に挑戦するプラットフォームの胎動を感じてほしい。

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隙間 3.0 新城大地郎「Trade」

会期:公開製作:9月23日(金/祝) ~ 27日(火)  
エキシビション:9月29日(木) ~ 10月2日(日)(28日はクローズ)
会場:隙間 東京都台東区蔵前3-11-2 1F
開館時間:12時~19時
https://sukima.henderscheme.com/