「OMAKASE」スタイルがアメリカで注目 “おまかせ”がもたらす特別な食体験

  • 文:佐藤まきこ
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「EMOJI(絵文字)」「MANGA(漫画)」「KARAOKE(カラオケ)」など、海外でそのまま通じる日本語があるが、その一つに「OMAKASE(おまかせ)」が加わりつつある。アメリカでなぜ「OMAKASE」に注目が集まっているのだろうか。

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写真はイメージ(Chadchai Krisadapong - iStock)

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「OMAKASE」スタイルが広がるアメリカ

「OMAKASE」とは「あなたに、おまかせします」という意味で、飲食業界ではその日に仕入れた新鮮な食材を使って、シェフの腕にまかせて料理を提供してもらうことを指す。特に高級な寿司店で、「おまかせ」のコースを設けている店が多い。

ご存知の通り、世界中で日本食の人気は高く、アメリカではカジュアルな回転寿司から、1人数百ドル以上する高級寿司店まで、さまざまなタイプの寿司店が各地に生まれている。そんな高級寿司店で今、「OMAKASE」スタイルがどんどん一般化してきているのだ。しかも、日本人経営者や日本人の寿司職人がいる寿司店以外にも、そのブームが広がっている。

例えば、世界的な一流ホテルが建ち並びセレブリティが休暇を楽しむマイアミでは、2021年に寿司店「Uchi」がオープン。アメリカの「料理界のアカデミー賞」と言われるジェームズ・ビアード賞を受賞したシェフ、タイソン・コールが手がける店で、マイアミの新店舗で「OMAKASE」スタイルが導入された。

またニューヨークでは先日、アメリカ料理界の権威とまで言われる有名シェフ、ダニエル・ブールーが「OMAKASE」スタイルの寿司店「Joji」を開いた。彼が経営するレストランは、ミシュランの星を獲得した店も含め15店舗以上あるが、いずれもフレンチアメリカンを主体としたものばかりだ。日本の寿司の魅力にひかれ、このたびのオープンに至ったという。

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見直される、対面での密な接客

「OMAKASE」スタイルの飲食店が広がっている理由を、寿司人気だけで片付けることはできない。

新型コロナのパンデミックの影響で、料理の注文はあらかじめオンラインで行うなど、飲食業界では「非接触」が求められてきた。その一方で、「OMAKASE」スタイルはシェフが客との会話を行い、客の表情や仕草などを読み取りながら、その客の好みの食材や調理法をアレンジして提供する。今主流になりつつある、オンライン・デジタル化されたサービススタイルとは逆行するものだ。

しかし、だからこそそこに新しい価値があると捉えられているようだ。「OMAKASE」スタイルはいわば「オーダーメイド」に近い形。対面での密なサービスでこそ成り立つ接客方法なのだ。

新型コロナのあおりを受け、人手不足にあえぐ飲食業界では、タッチパネル式の料理注文スタイルや料理を運ぶロボットを導入するなど変革が進んでいる。そんな時代だからこそ、「OMAKASE」の特別感あふれる食体験を楽しむ人々が増えているのかもしれない。

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Uchi - Instagram

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Jōji - Instagram

【出典】
https://www.thrillist.com/eat/miami/omakase-japanese-style-tasting-menus-miami
https://www.6sqft.com/a-secret-sushi-restaurant-is-opening-below-midtown-skyscraper-one-vanderbilt/