“落語と演芸のCDは、この店に聞けば(行けば)何とかなる”がモットーのCDショップ「ミュージック・テイト」が、店舗の存続をかけてクラウドファンディングを実施中。8月30日から9月30日までの1カ月間のクラウドファンディングの目標金額は1200万円。金額が達しない場合は出資者に全額返金のAll-or-Nothing方式という背水の陣。9月21日13時現在、支援者523名で、支援金が875万2千円。残り約10日間で達成できるのか、予断を許さない状況だ。
1961年、新宿に「株式会社帝都無線」としてレコード販売店を開いたのが、ミュージック・テイトの始まり。1991年に現在の会社名に改め、2011年に紀伊國屋書店内で営業していた店舗を西新宿に移転。移転先では、「ミュージック・テイト 西新宿店(落語くらぶ)」として、落語・講談・浪曲のCD・DVD販売だけでなく、「西新宿ぶら~り寄席」と銘打った小さな会を定期的に開催。いまや真打として人気を誇る柳亭小痴楽、桂宮治、神田伯山ら11人のユニット「成金」の二ツ目時代の聖地としても知られた。9月22日には、旧店舗近くの姉妹店の「自主盤倶楽部」(ヴィジュアル系のCD・DVD専門店)に合流、リオープンを予定。今後は、自主盤倶楽部店舗内にて「ヴィジュアル系商品」と「落語・演芸商品」の販売を行い、自主盤倶楽部のインストアイベントを継続しつつ、落語・演芸の寄席も店内で実施する形となる。
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8月30日からスタートしたクラウドファンディングの潮目が変わったのは9月5日のこと。ミュージック・テイトの菅野店長からツイッターでメッセージを受け取った落語家の立川吉笑さんがブログに掲載した「ミュージック・テイト菅野さんへの手紙」だ。
改善点を細かく指摘しつつも、「後継者の育成」という思いに共感し、全面的に応援するという愛情あふれる内容が読む者の心に響いた。さらに、9月6日には、クラウドファンディングの一日店番として、詳細な進捗状況の報告や支援者にツイッターで丁寧にリプライするという手法で、100万円超の支援金が集まった。このときの怒涛のツイートは、togetterの〈立川吉笑さんによる「ミュージック・テイト西新宿店」クラウドファンディングの「店番」2022/09/06〉にまとめられている。
9月13日には、ミュージック・テイトで定期的に落語会を開催している落語芸術協会の二ツ目のユニット「芸協カデンツァ」が、今後の自分たちの活動のためにプールしてきた100万円(!)を贈呈。クラファン折り返し地点で680万円になった。
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さらに、9月16日には、芸協カデンツァの兄貴分である成金メンバーが、「ミュージック・テイト応援会」の開催を決定。収益金はすべて、クラウドファンディングに寄付するという。会場でのチケットは完売しているものもあるが、配信チケットはまだ購入可能。また、落語協会の真打からは、林家きく麿師匠と隅田川馬石師匠が「ミュージック・テイト応援落語会」を開催。こちらも配信チケットあり。会場に行けなくても、配信チケットを購入して、クラウドファンディングを支援しよう。配信チケットの詳細はこちらから。
ミュージック・テイトのクラウドファンディングが締め切られる9月30日に、果たして1200万円という目標金額が達成できるのかどうか。ミュージック・テイト西新宿店のツイッターをフォローすれば、菅野店長および中の人(=落語芸術協会所属の二ツ目の落語家さん)のツイートで、日々の進捗がわかる。3000円から設定されているクラウドファンディングに支援するもよし、応援会の配信チケットを購入するもよし。演芸界の未来がかかっている現在進行形のドキュメンタリー、ゴールを見届けるには、参加しない手はないはずだ。