コロナ禍で観光客が減少する一方で、実はホテルのオープンラッシュに沸いている京都の街。それぞれが独自のスタイルを打ち出すなか、特に注目したいのが建築と美食だ。今回は、創業130周年の節目に大規模リニューアルで新たな魅力を増した「ウェスティン都ホテル」の「佳水園」を紹介する。

そして、記事の最後にはこちらの宿泊券のプレゼント企画もご用意。心地よいおもてなしが待つホテルステイを、この機会にぜひ体験してみてほしい。

1890年、琵琶湖疏水開通の前日に京都の豪商・西村仁兵衛らが遊園地「吉水園」を開業。その一角に建てられた「京都保養館」をルーツとする「ウェスティン都ホテル京都」は、時代と呼応しながら、各国皇室や大統領をはじめとする国賓、著名人を迎え、京都屈指の国際ホテルとして歴史を刻んできた。創業130周年に向けて、2018年にスタートした大規模リニューアルが完了したのは2021年4月のこと。約3年間をかけて、客室やクラブラウンジ、レストラン、庭園、スパなど、全面的なリニューアル工事を実施。“気品ある女王”として国内外にその名を轟かせたいとの想いを込めて、デザインコンセプト「The Queen of Elegance」を掲げ、新たな設えやサービスを加え、さらにラグジュアリーなホテルとしてパワーアップした。

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このホテルがユニークなのは、モダンなホテルと、数寄屋風別館「佳水園」が広大な敷地の中に同居していること。「佳水園」は日本の近代建築を代表する村野藤吾の設計で1959年に完成した別館で、戦後の数寄屋建築の傑作として知られている。ここへは本館のロビーを抜けて、専用通路を通っていく。重厚な檜皮葺（ひわだぶき）の門をくぐると、そこは静寂に満ちた別世界だ。ロビーや渡り廊下は当時の趣のままで、低い天井に奥行きを感じさせる雁行型の設計。グラフィカルな障子や曲線が美しい階段の手すりなど、伝統様式を踏まえながら、モダンでリズミカル、優美な空間に、村野建築の魅力が満ちている。ロビーのイスに座れば、村野藤吾がデザインした「白砂の中庭」や、名作庭家として名高い7代目小川治兵衛の長男・白楊が手がけた、巨大な天然岩盤や琵琶湖疏水を水源とする滝を活用した「佳水園庭園」が目を楽しませてくれる。

客室は20室から12室に減らし、ベッドルームとリビングルームを備えたゆったりした空間に造り変えられた。建物は敷地の高低差を生かし、中庭を囲むように配置されているため、窓からの眺めや間取りなど、すべて異なる趣となっている。畳や障子、杉や檜など、自然素材がふんだんに使われた純和室に身を置き、窓の外の緑を眺め、鳥のさえずりや木々のざわめきをただ聞いていると、京都市内ではなく、どこか山中の旅館にいるような錯覚に。思わず「最高！」とひとりごちてしまうほど。さらに嬉しいことには、敷地内で掘削した天然温泉「京都けあげ温泉」が各部屋に引かれ、高野槇や檜の浴槽で源泉かけ流しの湯に浸かれるのだ。好きな時に好きなだけ温泉を楽しめるなんて、まさに最高の休日だ。

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その天然温泉を利用したスパ施設、SPA「華頂」は、敷地面積2,100㎡という京都最大級の規模。ここでも村野藤吾のやわらかなフォルムへのオマージュとして、随所に曲線美や水の流れを感じさせる不定形なフォルムが取り入れられている。なかでも注目は、華頂山に続く庭園に臨み、南禅寺の水路閣を思わせるアーチが壁面を飾る半露天風呂。ホテルの歴史や東山の自然の恩恵を間近に感じられるとともに、リゾート感まで満喫できるのだ。

スパに併設された「ル･ジャルダン･ソティス」はフランスのスキンケアブランド「ソティス」直営のサロンで、熟練のセラピストによるスパトリートメント、指圧、お灸などの多彩なヒーリングプログラムを用意。温泉で身体を温めた後の施術で、さらなる効果を狙いたい。

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バージョンアップしたレストラン群の中から訪れたのは、世界的スターシェフのドミニク・ブシェが監修する初の鉄板焼レストラン「ル・テッパンヤキ」。鉄板焼カウンターを備えた4つの個室にはそれぞれシェフが専属でつき、季節の京野菜や、京都産や近江牛、神戸牛といったブランド牛を絶妙の火入れで焼き上げてくれる。前菜や盛り付け、ソース、デザートなど、コース全体を通してフレンチのテクニックが光り、テーマどおりの“エレガントな鉄板焼”を楽しめる。締めには魚介の旨味が凝縮されたスープとオマール海老や鮑のトッピングが贅沢な「ブイヤベースラーメン」がお薦めだ。新設されたウォークインセラーにストックされた300種以上、約2,500本のシャンパンやワインもぜひチェックを。

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滞在中に忘れず立ち寄りたいのが、東館3階のクラブラウンジ「ウェスティン・クラブ」。スイートのゲスト専用のラウンジで、「佳水園」のゲストも利用が可能。7時〜22時のオープンで、朝食ブッフェやティータイム、イブニングカクテルなどさまざまな時間帯で、ドリンクや軽食、スイーツとともに、ゆったりと寛げる時間が過ごせる。

老舗の名ホテルならではの品格と落ち着きが漂う「ウェスティン都ホテル京都」。「佳水園」とホテル棟を行き来しながら、その居心地のよさをひしひしと身に感じ、チェックアウト間際には「帰りたくない」と心から思ってしまった。名宿の定義は多々あると思うけれど、去りがたいほどの居心地のよさもそのひとつだと実感した。