滑らかな曲面で造形されたクッションケースに、厚みのあるベゼルを備えた丸型ダイヤル。パネライ「ルミノール」は、第２次世界大戦中にイタリア海軍特殊潜水部隊が標準装備していたダイバーズウォッチをルーツとしており、いかにも堅牢で機能的なフォルムでありながら、軍用だったとは思えないエレガントな雰囲気が漂う。イタリアの伊達男が放つ洒脱な色気とも言い換えられそうだが、そのエッセンスをデュアルタイムモデルで象徴的に表現した新作「ルミノール ビテンポ」が登場した。

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ダイヤルのサンドイッチ構造がインデックスを際立たせる

「ビテンポ」とはイタリア語で2つの時間の意味。メインの時分針と同軸で追加された針が、時差のあるもうひとつの地域の時間帯を表示するのだが、この針先を空色を起源とする鮮やかなセルリアンブルーで塗装。５時位置のパワーリザーブ表示の針先も同色で合わせており、見やすさはいうまでもなく、ダイヤルに新たな個性を加えている。ちなみに、5時位置には「Ore」の文字があるが、これはイタリア語でOra＝Hour（時間）の複数形であり、それに対してビテンポの「Tempo」は単位でなく総称的な時間＝ Timeを意味するといわれる。

ダイヤルカラーは放射状に光を反射するサンブラッシュ仕上げの明るいブルーと、艶消しのマットブラックの２タイプ。どちらもパネライのシグネチャーとされるサンドイッチダイヤルを採用。蓄光式夜光を塗布したプレートの上に、インデックスを型抜きしたプレートを重ねる独特の構造になっている。その奥ゆきがアラビア数字とバーインデックスのエッジを際立たせるだけでなく、夜光時のシルエットをシャープに見せてくれる。３時位置に日付表示窓があるが、従来より大きくなったほか、枠の四辺を傾斜させることでダイヤルに溶け込ませている。この日付表示は今後の新作にも採用されるという。

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タフさと色気を併せ持つロングパワーモデル

搭載ムーブメントは自社製自動巻き「キャリバーP.9012」。ゼンマイを収納した香箱を２つ備えており、パワーリザーブ表示に記されているように最長72時間、約３日間のロングパワーを誇る。サファイアクリスタルはめ込みのケースバックから、このムーブメントを視認できる。

大型のリューズプロテクターが特徴的なケース径44㎜のラージモデルであり、300ｍ防水の本格派だけに存在感と迫力は抜群。そのダイヤルに、セルリアンブルーの２本の針先がまさに“色気”を加えている。小説家のレイモンド・チャンドラーは「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格がない」と書いたが、艶やかな遊び心を失えば生きる愉しみも乏しくなるのである。

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