秋風が薫り始めるこの季節、ビールファンの胸を熱くさせるのは、南ドイツ・ミュンヘンで9月中旬から10月上旬まで開催される“オクトーバーフェスト”だ。この世界最大級のビールフェスにちなみ、秋の夜長に自宅でも“ドイツ気分”を味わえるビールを紹介しよう。いずれも「ビール純粋令」に従い、原材料は「麦芽・ホップ・酵母・水」のみ。乾杯からデザートとのペアリングまで、たまにはビール三昧なんて日も悪くない。
1.ドイツ大使館御用達、爽快かつふくよかなピルスナ
スターターにふさわしいのは、バイエルンマイスタービールの「プリンス」。ドイツのビール醸造に関する認定国家資格「ブラウマイスター」をもつ南ドイツ出身の職人がつくるピルスナーだ。爽快な飲み口ながらふくよかなこのビールは、白身魚を使った前菜やフリットなどと楽しみたい。
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2.家族経営により17代目まで続く、400年の伝統を誇るドイツビール
食中酒にお薦めなのは、南ドイツ・バイエルン州にあるプランク醸造所の「エクスポート・ドゥンケル」。麦芽の香ばしさと甘みのバランスがよく、飲み口がスッキリした褐色のビールだ。ソーセージにカレー風味のトマトソースをかけた「カレーヴルスト」のような、ボリュームのある料理もしっかり受け止める。
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3.7種類のモルトを絶妙にブレンドし、キレと香ばしさを実現した黒ビール
デザートに合わせたいのが、富士観光開発がつくる「シュヴァルツヴァイツェン」。麦芽の香ばしさと爽やかな甘みで、バナナのような香りが印象的。ベイクドチーズケーキとの相性が抜群だ。
さあ、ドイツ式にグラスの底同士をぶつけて、プロースト(乾杯)!
今月の選酒人●野田幾子
ビアジャーナリスト。雑誌『ビール王国』に寄稿する他、ビール講座やイベントを多数開催。ビールと料理のペアリングの楽しさを広めている。著・監修に『ビールのペアリングがよくわかる本』や『恋するクラフトビール』など。
※この記事はPen 2022年10月号より再編集した記事です。