ニューヨークの地下鉄で、変わった無賃乗車の手段を試す乗客が現れた。訓練した犬を使った斬新な手口だ。
この様子を収めた動画がInstagramに投稿されている。アカウントの主は、ニューヨークの地下鉄で日々起きている変わった出来事を記録しているインスタグラマーのsubwaycreatures氏だ。
氏は改札の外から撮影する形で、地下鉄の構内で不審な動きをする若い男の姿を捉えている。男は改札内の非常ドア付近に立ち、改札外にいるピットブルに向かってしきりに叫んでいる。
氏は動画の冒頭、「彼は飼い犬にドアの開け方を教えているんだ」と短く説明している。背後で響く不審な男の声をよく聞くと、「ヘイ、聞くんだ……落ち着いて、ボタンを押せ」と犬に語りかけているのがわかる。
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意図を汲めなかった犬だが、やがて……
どうやら男は飼い犬に対し、非常ドアを外から解錠するようけしかけているようだ。ドア外の掲示には、「バーを押すと非常口が開く/警報が鳴動します」の警告が記されている。
犬はしばし、指示の意味を受け止めかねていたようだ。息を切らしながら興奮気味にただ改札外を走り回ったり、男をガラス張りの非常ドア越しにただ見上げたりしていた。
だが、やがて犬がドア越しに男に寄りかかるような姿勢を取ると、前脚がドアに触れ、男のねらい通りの展開が訪れた。犬の脚がドア外側の非常ハンドルを押し、非常ドアのロックが解除されたのだ。
駅構内には大音響のアラームが鳴り響くが、男はお構いなしだ。悠々とドアを開けると改札外へと抜け出し、後ろに待ち構えていた別の若い男もそれに続いた。目論んでいた無賃乗車を成功させたようだ。犬を褒めるでもなく、男は足早にその場を去っている。
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誇らしげな無賃乗車客にネットで賛否
明らかな犯罪行為だが、Instagram上のユーザーたちは、予想外の手法と犬の賢さに注意を奪われたようだ。動画へのコメントは、「ネット上で最高の動画」「犬は最高」「いい子、なでてあげなくちゃ」「笑顔がいい。子犬もとても自慢げ」など肯定的なものが目立つ。
一方、「素直に乗車賃を払えよ」とのコメントや、「かわいらしい、けれどたった2ドル75セント(約385円)を出し渋って150ドル(約2万1000円)の罰金を受けるのか」など批判的な意見も寄せられた。この意見に対しては、「ここはニューヨーク。犯罪は検挙されない」などのリプライが付いている。
ニューヨーク・タイムズ紙は動画を取り上げ、「恥知らずの無賃乗車客」だと報じている。
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バスは3割が不払い…深刻化するNYの無賃乗車
ニューヨークでは、無賃乗車が深刻な問題となっている。同紙によると、ニューヨークで鉄道やバスなどを運行する公益公社のMTAは今年、無賃乗車によって3ヶ月で1億1900万ドル(約167億円)の損害が生じていると発表している。
調査によると、運賃を払わない乗客はバスで3割以上、電車で1割以上存在するようだ。モラルの回復が課題となっている。
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【動画】「さあ、ボタンを押すんだ」犬を利用した無賃乗車が発覚...
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