無駄を排除した現代的な機能美も魅力的だが、精緻に仕上げられた古典的な装飾美は奥深い感動を与える。後者を代表する時計がブレゲであり、とりわけ「クラシック」コレクションは、伝説的な天才時計師のアブラアン−ルイ・ブレゲ(1747−1823年)が創案したデザインコードを忠実に継承。手動旋盤によるギヨシェ彫りやケースサイドのフルート模様(コインエッジ)など、伝統的なブレゲスタイルを堪能できる。このコレクションを代表するモデルのひとつが「クラシック 7337」であり、最新作が2022年に登場した。
時分計を6時寄りのオフセンターに配置。上方の12時位置にはムーンフェイズ、左右の小窓で日付と曜日を表示する個性的なダイヤルレイアウトは、1820年〜30年代に製作された懐中時計をモチーフとしている。「エキセントリック」と通称されたオフセンターダイヤルに限れば、ルーツは1812年まで遡るという。この特有のスタイルを腕時計で展開した「クラシック 7337」がデビューしたのは2009年。2020年にリニューアルされ、スモールセコンドのダミエ(市松模様)と呼ばれるギヨシェ彫りが印象的だったほか、コレクション初のブルーダイヤルも追加された。今回の新作はその後継モデルとなるが、左右の小窓を時分計に沿った円弧の形状にして拡大。さらに曜日、日付ともに青地に白抜き文字にしており、視認性が大幅に向上している。ちなみに、ムーンフェイズの月の背景もブルーであり、時・分・秒針もブルースチール。シルバーのダイヤルベースの中で、ブルーが統一的なアクセントになっているのである。
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伝統的な美観を維持しながら、よりスマートにブラッシュアップ
また、2020年モデルの特徴だったスモールセコンドのダミエ装飾を変更。時分計の内側と同じく、小さなピラミッドが林立する「クル・ド・パリ」にするだけでなく、目盛りのリングもカットすることで、スモールセコンドをダイヤルに溶け込ませている。ブルーのアクセントカラーを際立たせるための配慮ではないだろうか。
その一方で、時分計の外側には大麦の粒を意味する「バーリーコーン」(グレン・ドルジュ)と呼ばれる扇状彫りが刻まれている。12時位置のムーンフェイズの月も、ハンマーを使用した手技によってリアルに造形。この月を隠す両側の雲をサンドブラスト処理で艶なしのマットな質感にして立体感を演出している。月の背景は前述したようにブルーラッカーでコーティングされているが、その中に含まれたスパンコールが星の輝きをイメージさせる。
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自動巻きのローターにもギヨシェ彫り
搭載ムーブメントは、厚さ2.4 ㎜の薄型「キャリバー502.3 QSE1」。自動巻きのローターもオフセンターに配置して厚みを抑えている。このローターにも「バーリーコーン」のギヨシェ彫りが施されており、シースルーのケースバックから視認できる。脱進機のパーツの一部とヒゲゼンマイはシリコン製なので、磁気の影響を受けないだけでなく、腐食などの耐性にも優れている。
ブレゲの伝統を継承するクラシカルな装飾美を堅持しながらも、ブルーをアクセントとする現代的なエッセンスをアレンジ。よりスマートでエレガントなスタイルにブラッシュアップされたといえるだろう。ギヨシェ彫りのダイヤルに、中空の円形シンボルを持つブレゲ針と細身のローマ数字が織りなす高貴な雰囲気も見逃せない魅力だ。
問い合わせ先/ブレゲ ブティック銀座 TEL:03-6254-7211
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