タグ・ホイヤーからベル&ロスまで、名車とコラボした美しきレーシング・クロノグラフ【Penが薦める腕時計、今月の3本】

  • 写真:渡邉宏基
  • 文:並木浩一
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1. TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
タグ・ホイヤー カレラ × ポルシェ リミテッドエディション

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自動巻き、SS(ブラックDLC加工)ケース、ケース径44㎜、パワーリザーブ約80時間、カーフストラップ、100m防水。¥836,000/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL:03-5635-7054

ポルシェとのパートナーシップ第2弾は、ステアリングホイールを模したローターや、ファブリック状に加工したレザーストラップのイエローステッチなど、ポルシェからのインスパイアが冴える。それぞれ「カレラ」の名を継承してきたブランド同士の、夢のコラボレーションだ。高精度を誇る自社製「キャリバー ホイヤー02」を内蔵。

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2. BELL & ROSS(ベル&ロス)
BR V3-94 A521

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自動巻き、SSケース、ケース径43㎜、パワーリザーブ約40時間、カーフストラップ、100m防水、世界限定500本。¥528,000/ベル&ロス 銀座ブティック TEL:03-6264-3989

アルピーヌF1チームの公式計時パートナーを記念したモデル。商品名に付与されたナンバーも「アルピーヌ A521 シングルシーター」に由来し、クロノグラフ秒針のカウンターにはアルピーヌロゴを添えた。ダイヤル外周にタキメーターを配し、チームカラーの青、黒、白を採用。

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3. CITIZEN ATTESA(シチズン アテッサ)
アクトライン 日産 フェアレディZ コラボレーションモデル AT8185-89E

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光発電エコ・ドライブ、チタンケース&ブレスレット、ケース径42㎜、10気圧防水、世界限定1700本。¥165,000/シチズンお客様時計相談室 TEL:0120-78-4807

日産フェアレディZのボディカラーのひとつ「イカズチイエロー」を効果的に配し、ダイヤルのドットパターンは特別仕様車のシートからインスピレーションを得た。機能面においても、永久カレンダーやワールドタイムを搭載し、サマータイムにも対応したハイスペックな電波時計だ。

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クロノグラフの用途を問われれば、“クルマの速度の計測”というのが、いちばんしっくりくる。歴史上ストップウォッチにはさまざまな使い途があったが、腕時計に組み込む必要度が高い点でいえば、ラップタイムを測るカーレース場での使用が顕著であろう。

目の前を音速で駆け抜けるレース競技は、最短時間でのフィニッシュか、耐久レースなら同じ時刻までの周回数を争う。時間経過と時刻表示の両方に意味があり、しかもコンマ何秒の単位でのバトルだ。速度計測を行うタキメーターも備えたレーシング・クロノグラフには、確かな立ち位置がある。

それを裏付けるのが、連綿と続く“クルマとコラボするクロノグラフ”の系譜だ。正統なレーシング・クロノグラフの背後には多くの場合、レースシーンで鳴らした名車の存在がある。かつてフェラーリとの蜜月関係にあったタグ・ホイヤーは、現在はポルシェとコラボを組む。ベル&ロスとアルピーヌF1チームの公式スポンサー関係は、前身のルノー時代の2016年から続いている。スーパーGTと富士24時間耐久レースに登場した新型フェアレディZは、シチズンにコラボウォッチを託した。人間と密着して最高のパフォーマンスを志向するのは、クルマと腕時計に共通。その両者が手を結ぶクロノグラフは、魅力も乗算されるのだ。

並木浩一

1961年、神奈川県生まれ。時計ジャーナリスト。雑誌編集長など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。

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※この記事はPen 2022年9月号より再編集した記事です。