<台湾は「どこも戦場、いつも訓練」を掲げ、中国の軍事演習に対抗する形で飛行演習を実施した>
台湾周辺で軍事演習を続ける中国に対抗し、台湾空軍が8月17日に飛行訓練を実施。最新鋭のジェット戦闘機F16Vを誇示した。
台湾空軍は声明を発表し、「中国軍による最近の軍事演習の脅威を受け、国家の安全を確保するために『どこも戦場、いつも訓練』の構えで警戒を続けている」と表明した。
同軍によると、8月17日の夜に米国製の6機のF16V――うち2機はミサイルを搭載――が台湾東部の花蓮県にある空軍基地で軍事演習を行った。F16V戦闘機は、ドナルド・トランプ前米政権が台湾への売却を承認し、2021年11月に台湾空軍が正式にF16V部隊を発足させていた。
中国人民解放軍(PLA)は、8月2日にナンシー・ペロシ米下院議長が、さらに14日にも米議員団が台湾を訪問したことへの対抗措置として、台湾海峡での軍事演習を繰り返している。
台湾国防部の孫立方報道官は、「我々はこの機会に、普段行っているあらゆる訓練を検証し、各種手法の改善や戦闘効率の引き上げを行っていく考えだ」と述べた。
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中台「最強」戦闘機を比較
台湾は、中国がペロシの訪台を利用して、戦闘機を用いた軍事演習を正当化していると非難している。中国が保有する最も強力な戦闘機は、「マイティドラゴン」の異名を持つ「殲20」だ。中国政府は2021年6月に「殲20」150機を配備しているが、最近の軍事演習で使用したのは「スホーイSu30戦闘機」16機とその他11機の戦闘機だった。
中国が保有する最強の戦闘機「殲20」と台湾の「F16V」、性能はどちらが上か比較した。
台湾のF16Vは、時速およそ2415キロでの飛行が可能で、最高速度およそ2125キロの殲20を上回る。
F16Vの航続距離は殲20をやや上回り、台湾空軍によれば燃料補給なしで約3220キロの飛行が可能だ。一方、航空関連情報のウェブサイト「エグゼクティブ・フライヤーズ」によれば、殲20の推定航続距離は3220キロだ。
燃料の容量は、F16Vが外部燃料タンク2つ分を含め5443キロ。殲20の2万5000キロよりも大幅に少ない。
F16V戦闘機は殲20よりもやや小さく、空中での操作がしやすそうだ。F16Vは全長が14.8メートル、高さ(全高)が4.8メートル。一方、戦略国際問題研究所の「チャイナパワー・プロジェクト」によると、殲20は全長が平均20.4メートルで高さが4.45メートルだ。
またF16Vは翼幅についても9.8メートルと、殲20の約13メートルに比べて短い。
【動画】「マイティドラゴン」の異名を持つ「殲20」の動画を見る
※この記事はニューズウィーク日本版の転載です。