気球型宇宙船による贅沢な宇宙旅行を提供するスペース・パースペクティブ(Space Perspective)社が、同社の気球型宇宙船「スペースシップ・ネプチューン(Spaceship Neptune)」の設計を改良し、宇宙旅行業界に大変革を巻き起こしている。
新しい気球の設計は、先進的な新しいソフトウェアと、世界で活躍するスペースバルーンの専門家を採用することにより、最大限に安全な宇宙飛行体験を提供するものだ。
現在製造中の、この旅行用カプセルは、「スプラッシュコーン」と呼ばれる、海への着水をより穏やかに、優しく行うために下部を尖らせた部分に組み込まれている。前モデルからの改良をさらに追求した結果として、スペース・パースペクティブでは、さらに安全で快適な、そして「より一層スリリングな」宇宙体験を約束している。
「宇宙領域に到達するための最もエキサイティングで、持続可能で、カーボンニュートラルな方法になるように、このカプセルを開発しました」
改良されたモデルは、エレガントな球形の外観を備えている。特許取得済みの大型窓を通して、360度のパノラマを眺めることができる。ラウンジの内装は、頭上スペースが広くなり、さらに広々と感じられるデザインだ。
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優雅で滑らかな、球形のカプセル
スペース・パースペクティブは、その最新のスペースバルーンのために、ロンドンに拠点を置くデザインスタジオ「オブ・マイ・イマジネーション(Of My Imagination)」と協力して設計に取り組み、新しくてスタイリッシュな内装を公開した。
スペース・パースペクティブは、カプセルとスプラッシュコーンで構成される先進的な設計をつくる際に、シーメンスのエンジニアリング部門およびアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とも提携した。
今回の設計の新しい外観について、スペース・パースペクティブの創業者であり、共同最高経営責任者(CEO)を務めるテイバー・マキャラム(Taber MacCallum)は、こう述べている。「チームが一丸となって、スペースシップ・ネプチューンのために、驚異的な堅牢性と安全性、そして素晴らしくエレガントで豪奢なシステムを作り上げました。シンプルであることと自動化が、安全への鍵になります」
2024年末に商用飛行の開始が予定されているこのモデルは、空調設備を備えた、与圧されたカプセルから成り、特許取得済みの「SpaceBalloon™」から推進力を得る。
カプセルのプロトタイプは現在、フロリダ州にある米航空宇宙局(NASA)のケネディ宇宙センター近くにある同社の最新施設で建造中だ。
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うっとりするような眺めを堪能
内装にはエレガントなデザインが採用されている。バー、トイレ、ラウンジシート、非常に大型の窓に加えて、耐圧性を高めるための追加の安全対策がいくつか施されている。それぞれの大きな窓には、衛星画像と360度カメラが用意され、うっとりするような眺めをズームインしたりズームアウトしたりできる。
内部の雰囲気をさらに心地よくするために、宇宙船には、特許出願中の温度制御システムも備わっている。反射コーティングが施された窓は、宇宙飛行士のヘルメットと同様に、温度を快適に保ち、太陽光の影響を緩和する働きをする。
高級輸送システムの設計で世界的に活躍する専門家のダン・ウィンドウ(Dan Window)とイザベラ・トラーニ(Isabella Trani,)はこう述べる。「宇宙旅行は、わくわくするような挑戦とクリエイティブな考え方の新しい領域を示してくれます。私たちは設計の専門家として、旅行体験と美意識を融合させました。頭上の広いスペースから、乗客たちがスペースシップ・ネプチューンの内部を、椅子からトイレ、バーなどへと快適に歩き回れること。そしてもちろん、一生に一度の眺めを最大限に満喫できることまで」
「私たちは現在、外装の美しさに取り組んでいます。4月に発表された内装と、あらゆる点で同じくらいパワフルです。技術チームは、性能と安全性に関して、最高の結果を出してくれました」
さらに、2人は次のように話している。「輸送設計の専門家として、私たちは常に、次は人々をどこに、どのようにして連れていけるかについて前進することを考えています。宇宙旅行はその頂点であり、だからこそ、スペース・パースペクティブと協力して、この素晴らしい体験を形作るための一翼を担うことにわくわくしています」
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スペース・パースペクティブのマキャラムはこう述べる。「数世紀におよぶ気球やパラシュートの運用と開発は、離陸から着水まで常に気球で飛行し、従来のパラシュートについては予備のバックアップシステムとして備えることが、最もシンプルで、安全で、確固とした解決策であることを示しています。当社独自の飛行システムにより、カプセルとSpaceBalloon™は常につながったままであり、離陸と着水の状態は常に当社の制御下にあります」
「我々のチームは、Space Lounge™の内装を定義する分類の詳細から、目を見張るような外装の設計に至るまで、物理学、工学、分析、設計の各要素を融合させ、スペース・パースペクティブならではの体験を作りあげています」
先に述べたように、スペース・パースペクティブは、スペースシップ・ネプチューンの設計でシーメンスと協力している。両社のウェブサイトによると、シーメンスのデジタルビジネス・プラットフォーム「Siemens Xcelerator」のポートフォリオ・ソリューションと、並列処理が可能なAWSのサーバーを利用することにより、カプセル設計のテストを繰り返す作業が加速されたという。
シーメンスのソフトウェアは、6時間にわたる往復旅行という複雑な負荷を処理した。それには、大気、宇宙、水を通る行程が含まれる一方で、乗客にとって安全で快適な環境を維持する必要があった。
この技術を利用することで、スペース・パースペクティブの技術チームは、製造に先駆けて、最適なカプセルの形を設計することができた。数千回にわたるシミュレーションの結果、球形のカプセルが、乗客にとって最もスムーズで安全な旅を提供できることがわかった。
スペース・パースペクティブでは、2024年に開始する宇宙飛行の料金を12万5000ドル(約1700万円)と定めている。これまでに900枚を超えるチケットが売れ、現在は2025年の予約を受け付けているという。
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【画像】約1700万円で“気球”による「宇宙旅行」が可能に あまりにも豪華なその内装とは?
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プロジェクト情報:
名称:スペースシップ・ネプチューン
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※この記事はdesignboomからの提供です。