ビームスジャパンの鈴木修司です。今回の旅の舞台は、道東は根室、そして釧路のお隣は白糠(しらぬか)です。
旅に時々付いてくる密かな私の楽しみは、映画『男はつらいよ』のロケ地巡りですが、第33作「夜霧にむせぶ寅次郎」のロケ地が根室でした。羽田から最寄りの中標津空港までのフライトは約1時間40分、なんと『男はつらいよ』一本分とほぼ一緒です。
旅の気分を盛り上げるべく、事前にダウンロードしてあった第33作を機内で見たのですが、ここで早くも旅気分が最高潮です。久しぶりに見たので記憶が飛んでいたのですが、フィナーレが風子(マドンナ)の結婚式のためにさくら(寅次郎の妹)と博(さくらの旦那)が中標津空港に降り立つところでした。まさに私が着陸する瞬間、その映像と重なり、40年の昔とリンクしたような不思議な体験でした。
いきなり話が逸れてしまいましたが、今回の旅の話に戻します。
中標津空港から根室までの途中に、まず友人に会うため別海町に立ち寄りました。別海町は生乳の生産量が日本一の酪農王国ですが、私の友人も酪農家で、夏は一年分の餌の準備に大忙しでとても大切な時期です。そんな忙しい中、短時間でしたが数年ぶりの話に花を咲かせて、根室へ向かいます。
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1.幻想的な砂の島「春国岱」
根室に着いた頃は日暮れ前でしたが、この時間帯にどうしても寄りたかったのが「春国岱(しゅんくにたい)」という場所です。根室を訪れることがあればぜひオススメですが、「ここはどこ?」と錯覚をおぼえる幻想的なところです。あえてここでは説明もしないですし、写真もお見せしません。肉眼で眺め、風や匂いを直に感じるべき場所だと思います。
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2.霧の根室と名物「エスカロップ」
根室を訪れたのは先月初めだったので、関東では早くも梅雨明けし、すでに暑い日が続いていたのですが、さすが霧の町である根室は肌寒いくらいでした。霧に包まれる根室の町は本当に美しく、哀愁が漂っていて、何度訪れても素敵なところです。
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3.飽きることのない景色が続く、4時間弱の「花咲線」の旅
次の目的地である白糠町にはあえて電車でむかいました。車の運転があまり得意でないのもあるのですが、何よりも「花咲線」に乗ってみたかったのです。以前から良い噂を聞いていたのですが、乗車して良い意味で後悔でした。遅まきながらも「花咲線」に感動です。
日本最東端の駅から釧路まで、4時間弱の旅ですが、まったく飽きないどころか、ずっと楽しいのです。朝一番の列車だったので眠る気満々だったのですが、少しも眠ることが出来ません。街を抜けて、平野を抜けて、海を抜けて、森を抜けて、湿原を抜けて、途中で蝦夷鹿の群れに出会い、牧場で草を食むる牛や馬を眺めて、本当に楽しい列車の旅でした。
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4.道東らしい「恋問海岸」の景色
釧路駅で同僚と待ち合わせし、白糠町までは車で移動です。白糠への途中でまた寄り道ですが、「恋問(こいとい)海岸」に隣接する道の駅で、特産品のリサーチです。しかし仕事をよそに海岸まで下り立ち、ここで道東らしい景色に出会えました。どんよりとした灰色の雲空、流木が多数打ち上げられた延々と続く砂浜、海から吹き荒ぶ枯れた潮風、個人的にとても好きな景色です。
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5.白糠町の「生イクラ」
白糠町での仕事というのは、随一の特産品である「イクラ」に関係する案件です。まだ詳しくお伝えすることは出来ないですが、この秋に向けて何かを仕掛けています。その中での初体験が「生イクラ」でした。
「生イクラって?イクラはそもそも生でしょ?生のイクラって、どういうこと?」と疑問に思いますが、なんてことはない“醤油漬けしていない、そのままのイクラ”です。一般市場にはあまり出回らないもので、おもにプロの料理人が使うものだそうです。醤油で漬けていない分、よくあるイクラより更に鮮やかな赤色で、一粒一粒に張りがあります。見た目からして違うのですが、味わいは更に違います。かなりの濃厚な味に感動でした。その感動を少しでも多くの方に知ってもらうべく、先にも触れましたが仕掛けておりますので、乞うご期待です。
釧路のことをほぼ割愛して話し足りないのはヤマヤマですが、今回はこの辺で、また道東の話を出来ればと思います。
連載記事
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BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。