まるで意志を持っているかのように決然と泳ぐ姿
パプアニューギニア沖で大型の新種クラゲが発見され、その美しい姿が話題だ。
新種のクラゲを見つけたのは、パプアニューギニアのニューアイルランド島でダイビング会社を経営する、ダイビング歴20年以上のドリアン・ボーチャーズ氏だ。この日もダイビングをしていたボーチャーズ氏は、これまで一度も見たことがない種類のクラゲが数匹、泳いでいるのを見つけた。サッカーボール大の大きさで、輪のような模様がついている。クラゲの複雑な外見にくぎ付けになったという。
また、まるで意志を持っているかのように決然と海の中を泳ぐ姿を見て、クラゲは脳がないのに不思議だった、と英紙ガーディアンに語っている。
詳しく知りたいと思ったボーチャーズ氏は、クラゲを動画に撮って南アフリカにいる家族に送信。家族はその動画を、「The Jellyfish App」(クラゲ・アプリ)にアップロードした。オーストラリアのクラゲ専門家であるリサ・アン・ガーシュウィン博士らが開発した、世界中のクラゲの種類を調べられるアプリだ。
---fadeinPager---
【動画】新種と思われるクラゲが泳ぐ様子
ボーチャーズ氏の家族は、動画をアップロードしてほどなく、興奮したガーシュウィン博士から電話を受け取ったという。ガーディアンは、「動画を見たとたん、興奮が抑えきれなかった」「椅子から転げ落ちそうになった」と、動画を初めて見たときの博士の言葉を伝えている。
ガーシュウィン博士は1997年、オーストラリアのサンゴ礁地帯、グレートバリアリーフで新種のクラゲを発見したことがある。オーストラリア公共放送ABCとのインタビューで同博士は、このときのクラゲに非常に似ていたため、動画を見た当初は同じ種類だと考えたと話した。しかし改めてフレームごとにじっくり動画を調べ、1997年のクラゲ動画と比較したところ、新種である可能性が濃厚であると考えるに至ったという。
色から判断して、毒性がある可能性が高いとガーシュウィン博士は同インタビューで指摘している。さらに、「新種だと自信を持って言える」と話し、「これ以上ないくらいワクワクしている」と嬉しそうに語った。
現在は、新種として正式に名称を付けて分類するための文書を準備しているところだという。ガーシュウィン博士によると、クラゲの発見者であるボーチャーズ氏が名付け親となる見込みだ。
---fadeinPager---
深海に潜む未知の生物
近年、クラゲの新種発見のニュースが続いている。日本では7月、約17年前に採集されたクラゲが、新種であったことが明らかになった。神奈川県の新江ノ島水族館、茨城県のアクアワールド茨城県大洗水族館、高知県の黒潮生物研究所が共同で調べたもので、オトヒメクラゲと名付けられている。
4月には、米カリフォルニア州のモントレーベイ水族館研究所(MBARI)が、深海クラゲの新種を発見したと発表した。直径13センチで、アトゥーラ・レイノルディと名付けられている。同水族館は、このクラゲは深海に生息する数百万という種の1つに過ぎないとし、深海に生きる生物の多くはまだ人間にとって未知な存在だとしている。
---fadeinPager---