釣具のダイワのアーバンウエア、ディーベックを知っているか【着る/知る】Vol.137

  • 写真・文:高橋一史
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「空前の釣りブーム」と言われ、釣り周辺が盛り上がっている近年。コロナ禍におけるアウトドア人気が呼び水となり、若いお洒落女子が街なかでフィッシングベストを着るほどファッションにも勢いがある。

セレクトショップがこぞって各国のフィッシングウエアを取り扱いはじめたなかで、がぜん注目を集めているのが日本の雄であるダイワ(DAIWA)だ。海の漁師が信頼を寄せるプロ仕様ウエアを手掛ける彼らが、技術を活かした高機能なタウンウエアのブランドをリリースしている。そのひとつがトレンドカジュアルのダイワ ピア39(DAIWA PIER39)で、もうひとつが今回フィーチャーするモードテイストのディーベック(D-VEC)である。

ディーベックがスタートしたのは、釣りブームが起きる以前の2017年。クリエイティブディレクターの佐藤可士和がロゴデザインと店舗デザインを手掛け、ソフィスティケイトされたファッションブランドが目指された。17年には東京コレクションに参加し、19年に東京・表参道ヒルズに直営店「ディーベックトウキョウエクスクルーシブ(D-VEC TOKYO EXCLUSIVE)」をオープン。

この22年秋冬からコレクションのデザイナーが交代して大きく変化したディーベックは、釣り(海)×モードとしての個性が際立ち存在感が増している。その最新ラインアップから、夏から秋に掛けて入手したい注目アイテムをここにお届けしよう。

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大胆なポケットで動きをつけて

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白シャツ+黒パンツの定番スタイルをアップデートさせる、スポーツ素材を活用した現代的なアイテム。シャツ¥35,200(税込)、パンツ¥58,300(税込)

左右がセパレートした独特なセーラーカラーがついたシャツと、カーゴふうのテーパードパンツ。セーラーカラーは水兵のユニフォームであり、パンツの大きなポケットはフィッシングベストからの着想。ともに釣りや海からイメージされている。シャツの生地は蓄熱保温素材「ウォームダール」でつくった撥水性のあるもの。パンツの生地は、「ゴアテックスインフィニアム」のリップストップ。モードな顔つきからは想像できないほどの高機能ウエアだ。

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大きめサイズをゆったりと着て旬のシルエットを表現。セパレートしたセーラーカラーは、ファスナーでつなげばフードになる。着用した人物はディーベックPRスタッフの望月大輝。

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幾何学的でグラフィカルな立体ディテールが、都会的なムードを生む。

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アウトドアディテールでテーラードを遊ぶ

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ショート丈のジャケットとスラックスのセットアップ。ともにディテールがスポーティで、ドレスシーンをアクティブに彩る。ジャケット¥79,200(税込)、パンツ¥39,600(税込)

スーパー100'sの繊細なウールと、ストレッチ性のあるポリエステルのハイブリッド生地を使った未来型のテーラードセットアップ。ジャケットの肩を覆う青いパーツは、上記のシャツと同様のセーラーカラー。実用よりニュアンスを重視したディテールだが、軽い雨濡れから肩を守り、重い荷物を背負うときの補強にもなるだろう。現在のディーベックを代表する、アウトドア+フォーマルのレイヤードシリーズの一着だ。

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セーラーフードは着脱式で、外せばシンプルなジャケットに早変わり。活発に動きたい旅行や出張時にも役立つ。

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魅惑のウィンターホワイト

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ゆったりとした形で優しいムードを演出する白アイテム。ジャケット¥46,200(税込)、Tシャツ¥13,200(税込)

男性が冬に白を着るのはとてもスタイリッシュだが、洒落て見えるアイテム選びが難しいものだ。スポーティなディーベックなら自然に着こなしやすいだろう。上写真のジャケットは、防風・撥水加工した蓄熱保温素材「ウォームダール」のニットで実用性も兼ね備える。春夏から継続のTシャツは、背中のセーラーカラーがデザインアクセント。ウィンターホワイトでぜひ新鮮な装いを。

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図案に日本の感性が息づく

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オリジナル模様のキルトステッチによる、撥水性のあるトートとハット。トート2点ともに¥37,400(税込)、ハット¥11,000(税込)

ディーベックのDを、海や釣りとリンクする水の流れのような曲線で表現したキルトグッズ。江戸時代に描かれた尾形光琳の「紅白梅図屏風」を想起させ、ミリタリーウエアのライナーに多い通称「玉ねぎキルト」にも通じる立体感だ。日本の伝統の美と、西洋のアクティブな世界が融合した見事なオリジナルパターンである。22年秋冬コレクションでは同パターンを採用している服はウィメンズのみ。男性はバッグ類やハットで愉しもう。

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フルラインアップのショップ@表参道ヒルズ

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ディーベックはメンズ・ウィメンズが約半々の構成。ウィメンズの卓越したモード感にも注目したい。

ブランド設立と同年の17年、東京・原宿キャットストリートに「ディーベック 東京(D-VEC TOKYO)」が誕生。続く19年、同・表参道ヒルズに「ディーベックトウキョウエクスクルーシブ(D-VEC TOKYO EXCLUSIVE)」がオープンした。現在は両ショップが表参道ヒルズに統合されている。

店内ではディーベックのフルラインアップをはじめ、ダイワブランドの一部も置かれている。釣りのスペシャリストと先端ファッションがタッグを組んだ化学反応を体感できるショップである。

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ディーベックの立ち上げ初期から続く意外なヒットアイテムが折り畳み傘。釣竿のカーボン加工技術を活かした軽量で頑丈な仕上がり。価格は¥11,000(税込)からで安くはないが売れ行きが好調だ。

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ミニマルなモードショップの佇まい。

D-VEC TOKYO EXCLUSIVE
東京都渋谷区神宮前4-12-10
営業:11時〜21時
不定休
TEL:03-3405-8855
※コロナ情勢により営業時間・定休日が変更される可能性あり。

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information

BE EARTH-FRIENDLY -漁網アップサイクル産学連携プロジェクト-

22年9月1日(木)〜3日(日)まで東京「渋谷ヒカリエ 8F 8/COURT」にて、ダイワが企画する漁網のアップサイクルプロジェクトが展示される。今年からはじまったプロジェクト「BE EARTH-FRIENDLY - 漁網アップサイクルプロジェクト -」のプレゼンテーションで、東京ファッションウィークの公式開場での開催。美大の東京藝術大学、ファッションスクールの文化学園とのコラボとなるこの試みをお見逃しなく!

https://d-vec.jp/category/20220804news

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ディーベック公式サイト

https://d-vec.jp/

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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