ダイヤル中央を頂点とした丘状の曲面をもつ立体的な樽型フォルムと、アラビア数字を大胆にデフォルメした踊るようなインデックス。1992年に自らの名前でブランドを立ち上げたフランク ミュラーの初コレクション「トノウ カーベックス」は、たちまち大きなセンセーションを巻き起こした。エレガントで気品に満ちた流麗なスタイルと躍動感を両立させたデザインが、世界を魅了したのである。
2022年にブランド創業30周年を迎えたフランク ミュラーでは、これを記念して「トノウ カーベックス 30 th」を発表した。ダイヤルに施された、ダミエと呼ばれる格子状の模様が特長だ。これは1996年に発表された「インペリアル トゥールビヨン」と「トノウ カーベックス インペリアル トゥールビヨン ミニッツリピーター」だけに用いられた特別な意匠であり、いずれも「Master of Complications(複雑時計の巨匠)」と称えられるフランク ミュラーの実力を遺憾なく発揮した記念碑的なモデルだった。
---fadeinPager---
過去四半世紀にわたって存在しなかったダミエ模様が復活
前述の2つのモデル以外では使用されなかったダミエ模様が、ブランド創業30周年記念モデルで甦ったのである。日付表示もないシンプルな時分秒のセンター3針モデルだけに、ダイヤルに敷き詰められた複雑で繊細な模様が浮き立つように映える。過去四半世紀にわたって存在しなかったからこそ、30周年を祝したモデルにふさわしいといえるだろう。
この「トノウ カーベックス」を進化させた次世代モデル「カーベックス CX」も新登場した。サファイアクリスタルの風防がストラップ直近まで覆っており、3次元曲面フォルムの滑らかな立体感がより強調されている。
---fadeinPager---
渦巻きのような彫り模様も新開発
ダイヤルのクルー・ド・パリにねじりを加えた渦巻きのような彫り模様も、このモデルのために特別に開発された。光の反射面が多い精緻な装飾技法なので、星の瞬きのような煌めきを放つ。その一方で、ビザン数字と呼ばれるフランク ミュラー独自のインデックスを継承している。
樽型のトノウ カーベックスもビザン数字も、ルーツは1920〜30年代のスタイルだが、このオールドファッションにフランク ミュラーは現代的な独創を加えた。カーベックスとは、あらゆる方向に湾曲(カーブ)する凸型(コンベックス)という意味をもつように、曲面の幾何学を腕時計に導入した極めて斬新なフォルムだ。ビザン数字も、時間の目盛りという機能にとどまらず、1度見たら忘れられない個性的なシンボルに変貌させたといえるだろう。
最先端の技術と熟練した手作業によって、このスタイルをダイナミックにアップデートしたのが「カーベックス CX」であり、30周年記念モデルは上質な気品が漂う。老舗の時計ブランドに比べれば、フランク ミュラーはまだ30年。「トノウ カーベックス」をコアとして、これまでのように多彩な魅力を加えながら、新たな伝説を紡いでいくに違いない。
---fadeinPager---
問い合わせ先/フランク ミュラー ウォッチランド東京 TEL:03-3549-1949