海抜500mの高さに900万人が暮らす、世界初の垂直都市「THE LINE」の全貌が明らかに

サウジアラビアは2021年、車や道路を必要とせずに人々が移動できる、長さ170キロメートルの帯状コミュニティ「THE LINE」の計画を発表した。NEOMカンパニー取締役会会長を務めるムハンマド・ビン・サルマン皇太子は今年7月25日、THE LINEのデザインを公開し、この垂直都市の最も重要な特徴を、より詳細に紹介した。

サウジアラビア北西部、タブーク州ネオムに建設されるこのスマートシティは、幅わずか200メートル、海抜500メートルの「垂直都市」が、長さ170キロメートルの帯状に続くというデザインだ。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、「昨年のTHE LINEの発　表会で、我々は、都市計画の根本的な変革に基づいた革命を約束した。それは文明を、人間を第一に考えるものにするものだ」と述べている。「本日公開した、垂直方向の層状コミュニティのデザインは、フラットで横に拡がる従来型の都市に挑戦するものであり、自然保護と人間の住みやすさを向上させるモデルを構築することを目指している。THE LINEは、今日の都市生活において人類が直面している課題に取り組み、新しいオルタナティブ（代替的）な暮らし方に光を当てるものになる」

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都市設計への新しいアプローチを明らかに

THE LINEのデザインは、道路や自動車、排気ガスのない環境における将来の都市コミュニティはどうなるか、というNEOMのビジョンを示している。この都市には、最終的に900万人が住む予定だが、居住空間全体が、面積34平方キロメートルの土地の上に建てられる。同規模の他の都市と比較すると、前例のない狭さだ。

これにより、インフラの占有領域が削減され、都市機能においてかつてない効率性が生み出される。THE LINEは、100％再生可能エネルギーで稼働し、交通やインフラよりも、人々の健康とウェルビーイングを優先する。「超近接性」を念頭に置いて設計されており、主要施設はすべて徒歩5分圏内にある。さらに高速鉄道は端から端まで20分での輸送を実現する。また、すぐに自然と触れ合える環境となっており、NEOMの土地の95％で自然が保護される計画だ。

THE LINEは、都市デザインの新しいアプローチを提供するものとされ、「ゼログラビティ・アーバニズム（Zero Gravity Urbanism）」と呼ばれるコンセプトで作られている。都市機能を垂直に積み重ね、人々が（上下左右に）3次元的にシームレスに移動できるというコンセプトだ。

公園や歩行者エリア、学校、住宅、職場などは垂直方向にレイヤー化され、市民は楽に移動しながら、日常のあらゆるニーズが5分以内に叶う。街の外観は、鏡のファサードで覆われるというユニークな特徴を持ち、自然との調和を可能にする。「特別な体験と、魔法のような瞬間を創り出すため」の内装は、NEOMを中心とした、世界的に有名な建築家とエンジニアのチームによって作られる。

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上方構築というアイデアを現実のものに

THE LINEの設計は完全にデジタル化され、その建設は、大幅に進化した建設技術や製造プロセスによって工業化される計画だ。今回のTHE LINEのデザイン発表は、NEOMのフラッグシップ・プロジェクトである製造・イノベーション都市「オクサゴン（OXAGON）」と、紅海湾岸初の屋外スキー場を提供するグローバル山岳観光地「トロジェーナ（TROJENA）」開発の進捗状況報告に続いて行われた。また、NEOMの2つの子会社、具体的にはエネルギー、水、水素を扱うENOWAと、ネオム・テック・アンド・デジタル・カンパニー（NEOM Tech & Digital Company）の立ち上げの発表もあった。

「我々は、世界の都市が直面している住みやすさと環境の危機を無視することはできない。NEOMは、これらの問題に対処するための、想像力に富んだ新しいソリューションを提供する最前線だ」と、モハメド・ビン・サルマン皇太子は述べ、次のように続けた。「NEOMは、建築、エンジニアリング、建設の分野で最も優秀な頭脳を持つチームを率いて、上方に建設するというアイデアを現実のものにしようとしている。それは、世界中のすべての人々が、創造的かつ革新的な方法で世界に足跡を残すための場所となるだろう。NEOMは、サウジ・ビジョン2030（Saudi Vision 2030）の最重要プロジェクトのひとつであり、国家のためにTHE LINEを実現するという我々のコミットメントは揺るぎないものだ」

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