アウトドアから都市へ!カリマーが大人の洒落た日常着になった【着る/知る】Vol.136

  • 写真・文:高橋一史
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ユニオンフラッグを想起させるロゴの英国発祥ブランド、カリマー(karrimor)。よく知られるのは、創業間もない1950年代に誕生したサイクリングバッグをルーツに持つバッグ類だ。なかでも登山用リュックサックは、カリマーの象徴として幅広い層に支持される傑作である。

そのカリマーに服のラインがあり、大人のデイリーウエアに最適なことをご存知だろうか。ザ・ノース・フェイスと同様の日本企画で、私たちの感性にジャストフィットする。コム デ ギャルソンのジュンヤ ワタナベ マンとカリマーとが毎シーズン前衛的なコラボをしていることを知るモード好きなら、ファッション性の高さをよくわかっているだろう。

高い機能性と洗練された顔つきを両立させ、しかも値ごろな服はワードローブの基軸にしたくなる出来栄え。ここにピックアップしたのは、夏でも肌寒い野山でのアクティビティから、涼しい季節まで着られる2022年秋冬シーズンの最新アイテム。毎日愛用したくなる優れものばかりである。なお撮影品はサンプルであり、実際の商品とは仕様がやや異なるケースがあるためご留意を。

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重さを分散させる巧みなビッグポケットつきアウター

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必要なとき引き出すビッグポケットつきナイロンアウターを主役にした全身黒コーデ。モデルを務めたのは「カリマーストア原宿」スタッフの田中洸(たなか・こう)さん。

エコバッグが必需品になった都市生活へカリマーが提案するのがこの防風アウター。「バッグジャケット」と名づけられたユニークな服だ。フロントに巾着式の巨大ポケットがあり、手ぶらで街歩きできる。片側で留めたポケットを外し収納用ポケットに収めてしまえば、シンプルなスポーツアウターに姿を変える。重さで前身頃が垂れ下がる難点を克服するパーツが、背中の内部に仕込まれた構造上の工夫も素晴らしい。

さらに表地、裏地はともにリサイクルナイロン100%。中綿もペットボトルのリサイクル素材だ。社会意識の高い大人が着るのにふさわしい一着である。

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ポケットは樹脂バックルによる着脱式。片側の端は収納用ファスナーポケットの内側に縫い付けられている。

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くるっと丸めて収納用ポケットに素早く収められる。

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ファスナーを閉じれば巨大ポケットつきの服とはわからないミニマルな表情に。

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内側の斜めにぐるりと配された補強テープで、入れたモノの重さを分散させる。斜めがけしたショルダーバッグに似た構造だ。

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色違いの同型ジャケット。フードも収納式で、手首部分にはミトンを内蔵。天候や着こなしの変化に対応するフレキシブルなアウター。¥30,800(税込)

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機能美が息づくシャツ+パンツのアーバンセットアップ

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ミニ巾着バッグを斜めがけし、トレンドを意識したシャツとパンツのセットアップスタイル。ダナーのシューズは田中さんの私物。

高感度な人が好むリラックスしたセットアップもラインアップされている。ウールフランネルに酷似した起毛した化繊素材が、ハリのあるモダンなゆったりシルエットを生む。保温性に優れイージーケアなことも化繊の大きなメリットだ。天然素材に引けを取らない美しい風合いは、近年のアパレルにおける生地開発の賜物である。

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胸の大ポケットは内側にミニポケットつき。ミリタリーシャツのように横からアクセスできる隠しミニポケットも搭載。袖口のドレッシーなカフス、裾の反射プリントといった細部のディテールにも凝る。¥14,300(税込)

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シャツと同素材の裾絞りパンツ。フロントにタック入りで腰回りがゆったり。ドローコードで裾幅を調整でき、裾周りが気になる自転車用にも最適な一本。¥15,400(税込)

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体につかず離れずのシルエットがモダン。室内着としても着回したいデイリー仕様だ。巾着バッグ¥3,850(税込)

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レトロを味わうトレンド系アウター

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前モデルから素材とパターンを刷新して着やすさを追求した定番マウンテンパーカ。¥18,700(税込)

古着の人気ともリンクして、70年代〜90年代調のレトロな服のブームが続いている。日本でアウトドアウエアを街なかで着るようになったのは70年代のこと。このジャンルはもはや“トラッド”とも呼べる定番スタイルである。

カリマーもこのトレンドに即したアイテムを用意している。往年のマルチカラーを取り入れたのが上のマウンテンパーカ。色はレトロでも素材は現代のハイテクな「パーテックス・アンリミテッド」。防風性や撥水性がありつつ、本格アウトドア用ほどハードでなくタウンユースに合う。季節の変わり目に、懐かしくも新しいこのパーカが大活躍する。

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こちらは90年代のカリマーから着想を得たフリースジャケット。ペットボトル由来のリサイクルポリエステルを使ったポーラーテック社のフリースを採用。着脱式フードがお洒落で、しかも実用的。¥24,200(税込)

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便利すぎる!半袖×長袖の全天候型Tシャツ

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着け外すことなく長袖から半袖へとトランスフォームするTシャツ。ナイロンベースのストレッチ素材を使用。¥13,200(税込)

パンク音楽のカットオフ服のごときインパクトのあるTシャツだが、着ると半袖+長袖のレイヤードシャツになる。身頃の両内側に収納ポケットがあり、長袖が不必要なときは脇下から内側にしまい込み、ポケットに収めれば半袖Tシャツに早変わり!

トラベルシーンが想定された機能優先のデザインで、冷房の効いた室内、航空機内、肌寒い夜もこれ一枚でOK。モダンな東京的大人スタイルにジャストフィットする色やシルエットも抜群のセンスだ。

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2020年にオープンした直営店

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本格トレッキングに対応する大定番の「リッジ」シリーズをはじめ、直営店「カリマーストア原宿」ではリュックサックの品揃えが豊富。

東京・原宿、名古屋に次々と直営店がオープンしたのが20年。ファンが歓喜した近年のビッグニュースだが、困ったことにコロナ禍の第一波〜第二波と重なるタイミングだった。それゆえメディアで大きく取り上げられることもなかったようだ。いまこそカリマーのフルラインアップを一望できる直営店に足を運びたい。

今回着用モデルを務めてくれた田中さんをはじめ、愛想のいいスタッフ揃いなのもカリマーストア原宿の注目ポイント。原宿のメイン通りである明治通りから一歩内側に入った2階にあるこの店、及び名古屋店を気軽に訪れ、ここに掲載した8月下旬頃発売予定の服や気になるアイテムを探してはいかがだろうか。

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まだ春夏コレクションが残る、22年8月上旬のフロア一角。明るく開放的で見やすい店内だ。

カリマーストア原宿
東京都渋谷区神宮前6-16-18 サンドー原宿ビル2F
営業:11時〜19時
不定休
TEL:03-6712-5660
※ コロナ情勢により営業時間が変更される場合あり。

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カリマー公式サイト

www.karrimor.jp

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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