写真家、山上新平の初となる写真集『Helix』。モノクロームとカラーの2冊の写真集が両面表紙のようなかたちで1冊にまとまっている。地元の鎌倉で2014〜2015年に撮影したモノクロームのシリーズ「SPECTRUM」と、のちに同じ場所をカラーで撮影した「The Disintegration Loops」。大御所クリエイターたちの口コミによって、この美しい写真集の出版が実現した。

「サワサワと静寂の音が聞こえてくる。だんだんと気持ちが透明になっていく」と山上の写真を評価したアートディレクターの葛西薫は、写真家の上田義彦に山上を紹介した。上田も写真から音を意識したようだ。「山上さんの視線にさそわれて、無音の林を彷徨った。静寂の中、ドキドキするようなざわめきを覚えながら」。上田義彦が紹介した相手は、ミナ ペルホネンの皆川明。

「僕が山上さんの写真に感動したのは美しいものという存在があるのではなく、美しいという感情によって美しさが生まれるという気づきでした」（皆川明）

アートディレクションをサイトヲヒデユキに託し、「出版：皆川明」のかたちで7月9日の出版に至った。写真集『Helix』を手に取り、「自身にとって大切なことは、場ではなく時であり、自己ではなく被写体であり、そこへの眼差しの強度でここまでつくってきました」と語る山上のこれからを追いかけていきたい。

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