「鞆鍛冶(ともかじ)」と呼ばれる日本の技術を知っているだろうか?
古来より潮待ちの港として栄えた広島県福山市の「鞆の浦(とものうら)」に100年以上伝わる伝統技術で、船具や錨(いかり)を作るための鍛造(たんぞう)技術のことを指す。瀬戸内海の潮の分かれ目に位置する鞆の浦は、かつて潮の満ち引きを待つ船が多く集まり、錨を製造する鍛冶屋が数多く存在していたことから発達してきた。
そんな鞆の浦に、鞆鍛冶の技術を活かしたオリジナルアイテムの製造に取り組む職人たちがいる。
もともとは船具製作所として設立された三暁は、クレーンや橋、エレベーターなどに使われる金属製品の製造を主業としていたが、2016年に同じ鉄工団地内にあった老舗の錨製造工場が高齢化のため廃業することに。貴重な伝統技術を絶やさせまいと、その錨製造会社の事業を引き継いだ。
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鍛造技術を応用させた、モダンな家具やアウトドアグッズ
三暁は、引き継いだ錨製造の技術を家具づくりに応用したブランド「TAonTA(タオンタ)」や、アウトドア向け調理器具を中心とした「cocinero(コシネロ)」を展開。伝統技術と精密部品加工のテクノロジーを駆使し、暮らしをより豊かにするモダンなアイテムを生み出している。
鉄を直火で焼き、ハンマーで叩いて成形する自由鍛造と3D設計や最新の工作機械とを融合させた「TAonTA」の定番スツールはもちろん、鉄を熱して叩いて接合する「鍛接」の技術を用いて作られた「cocinero」のフライパンなど、時を経ても長く愛せるアイテムばかりだ。
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職人技に圧倒される、貴重な鍛造体験も
三暁では、実際に鍛造を体験することができる。歴史ある確かな技を間近に見学できるほか、職人のサポートを受けてオリジナルアイテムを製作することが可能だ。
アイテムはトレイやお香立てなどの身近なインテリアを含め、さまざまな種類から選ぶことができるが、一番人気なのはフライパン。この鉄のフライパンは食材のおいしさを引き出し、焼き上がりも美しくなるそうだ。
きれいな形に整えるのも、あえて個性を出すのも自由。職人技を体験しつつ、世界に一つだけのオリジナルな鉄フライパンを作ってみたい。
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三暁のものづくりがつまった新スポット「santo(サント)」がオープン!
8月8日には、ものづくりをテーマにした新たなスポット「santo」がオープン。ここでは「TAonTA」や「cocinero」のショップや鍛造体験スペース、さらに実際にフライパンを試用できる暖炉やキッチンスペースを設けて、「道具を作って、使う」ところまでを一貫して体験することができる。
「santo」は、「TAonTA」の家具からインスピレーションを得た、はしご状の鉄骨部材とそれを挟み込む針葉樹合板によるシンプルな構造。力強さと温かみを感じる軒下空間が特徴で、昔ながらの鉄鋼団地において新たなランドマークになることを目指している。
オープン後は、鞆の浦に隣接する立地を生かし、地元の観光産業とのコラボレーションにより宿泊パックやツアーなども企画されるという。
瀬戸内海の美しい景色をのぞみながら日本が誇る伝統技術を体験するべく、鞆の浦を訪れてみてはいかがだろうか。
住所:広島県福山市鞆町後地26-30
TEL:084-983-5551
営業時間:11時~17時
定休日:土曜、日曜、祝日
※営業時間、定休日は今後変更の可能性があります。
問い合わせ先/三暁 TEL:084-983-5551
https://sangyoco.co.jp/