壱岐イルカパーク&リゾートが目指すユニバーサル社会 車いすでも楽しめる「イルカふれあいプログラム」を提供

  • 文:Pen編集部
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長崎・壱岐イルカパーク&リゾートで、障がい者向け「イルカふれあいユニバーサルプログラム」が提供開始され、6月23日には同プログラムのデモンストレーションイベントが開催された。

沖縄にも負けない美しい海と、緑に囲まれた壱岐島には、自然の恵みがたくさん存在している。海の幸はもちろん、平野にも恵まれ、お米や野菜などの農作物のほか、麦焼酎発祥の地として7つの酒蔵で壱岐焼酎が作られている。

そんな壱岐島にある壱岐イルカパーク&リゾートは1995年、長崎県壱岐市の市営でイルカの保護を目的に創業。2019年にリニューアルオープンし、アメリカフロリダ州にあるドルフィンリサーチセンター(DRC)が提唱する、ヒトとイルカの信頼関係構築を基礎とした飼育を実践している。至近距離でイルカとふれあえる施設として、年間約2万人程の島内島外の来場者が訪れてきた。

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一般的に、動物とのふれあいプログラムは、障がい者と健常者で違うプログラム内容が構成されることが多い。予約プロセスも複雑なことがしばしばだ。

これを受け、同施設では2021年12月、車いす使用者も安全にマリンアクティビティを楽しめる環境づくりを目指す一般社団法人ゼログラヴィティとパートナーシップを締結。障がい者も通常のプログラムをいつでも体験できるように、受け入れ側が「特別なもの」と捉えないプログラム提供の協力体制を築いてきた。

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6月23日に行われたデモンストレーションイベントでは、車いす使用者と障がいを持つ子供たちが招かれた。

「これまで、車いすトラベラーとして色々なところを旅し、マリンアクティビティの経験もありましたが、イルカとのふれあいは初めてでした。今まで、イルカは水族館の水槽の中でしか見ることのできない動物でしたので、友達のように泳げたということは、自分の人生の中でも大きな経験になったと思いますし、純粋に感動しました」

こう語るのは、車いすトラベラーの三代達也さん。

「イルカとのふれあいは、障害者にとって思ったよりハードルが高くないと感じました。人によって障がいのレベルが違うので、イルカとのふれあいは、その人その人に合わせられると思います。例えば、車いすからでもイルカにタッチすることもできるし、もう少し挑戦できる場合は一緒に泳いでみようなど、オプションの幅が広いので、様々な方が楽しめます」と可能性を見出す。

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発達性協調運動障害の娘を持つ小松さやかさんは「(娘が)イルカと触れ合えるのは初めての体験だったので、とても良かったです」と振り返り、「たくさんの方のサポートがあり、委ねられる環境があるということは、同じようなお子さんを持つお母さんたちや、施設の先生たちなどにとっても、とても良い環境ですし、学べることが多いと思いました」と語った。

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「イルカふれあいユニバーサルプログラム」では、通常のプログラムと同料金、同時刻で利用が可能だ。イルカたちにごはんをあげられる「イルカにごはん」をはじめ、イルカと触れ合える「ステップタッチ」、イルカのいる入り江でのカヤック体験などが提供される。

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壱岐イルカパーク&リゾートの代表・高田佳岳さんは、「ユニバーサルデザイン」の展望について、次のように語る。

「今後もゼログラヴィティと協力しながら、ハード面でもソフト面でもみんなが『ユニバーサルって当たり前だよね』って思える環境になるよう、引き続き整備をしていきます。それによって、世の中のふれあい施設の『ユニバーサル』に対するハードルを下げていくことができたらいいなと思います。直近の目標としては、全部バリアフリーで、ドアや窓を開けたらイルカが見えるような、どんな人にとっても楽しめるリゾート宿泊施設を作っていけたら最高だなと思っています」

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