近年は、世界的にロゼワインの注目度が増しているが、日本でも各地のつくり手たちが新しい発想を取り入れて、これまでにないロゼに挑戦している。味わいもがぜんおいしくなってきた。そのなかでも、蒸し暑い日本の夏にぴったりな、後味スッキリの辛口ロゼをご紹介しよう。
1.フレッシュなベリー系の香りが、心地いい泡とともに立ち上がる
1本目は山形県の老舗、酒井ワイナリーの「鶫つぐみ」。ロゼの微発泡酒だ。自社畑で育てたデラウェアとアリカントを一緒に醸造したもの。「この2品種の相性は抜群」と醸造家が言うように、確かにイチゴのようなフレーバーがデラウェアの果実味に添えられ、コクがありながらフルーティさも感じられる。泡立ちもほどよい。
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2.アンズのような香りとともに広がる、陶然とする果実味のおいしさ
昨年末、日本海沿岸のワイナリーを訪ねた際に出合ったのが富山県の「セイズファームロゼ」。ひと口飲んで、果実味と長い余韻に感動!凝縮感と緊張感ある味わいに、従来のロゼのイメージが払拭された。聞けばこのワイン、初めからロゼをつくる目的で、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロを完熟させたという。夏が旬のノドグロの刺し身ともぴたりと合う。
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3.フレッシュで瑞々しい果実味と、キリッとした後味が夏にピッタリ
最後の1本は島根県の奥出雲葡萄園の「カベルネ・ソーヴィニヨンロゼ」だ。つくり手が、あえてカベルネ・ソーヴィニヨンのみでロゼをつくろうと昨年初挑戦。クリー
ンな清涼感にラズベリーやアセロラのフレーバーが加わり、瑞々しい。後口の酸がキリッとした印象で、爽やかさがなんとも心地いい。暑い夏にぜひお試しを。
今月の選酒人●鹿取みゆき
日本の食とワインづくりの現場の取材を続ける。最近は日本ワイン産業の支援のため日本ワインブドウ栽培協会を各地のつくり手とともに設立。Pen Onlineでも連載をもつ。『ワインの香り』(虹有社、共著)などワイン関連の著書多数
※この記事はPen 2022年8月号より再編集した記事です。