2021年11月に他界した、ファッションデザイナーのヴァージル・アブロー。 半年経ったいまも、彼の急すぎる死を多くの人が惜しんでいる。
今年6月にパリで開催されたルイ・ヴィトンの2023年春夏のメンズコレクションでは、生前のアブローが率いていたデザインチームが、彼のスピリッツを色濃く反映したコレクションを発表。ラッパーのケンドリック・ラマーがアブローに対するトリビュートとして、自身の曲を披露した。ラマーは会場の最前列に座るナオミ・キャンベルの隣で、「ヴァージル、何マイル先にいるんだ?」と問いかけた。
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そんな中、アブローを失った悲しみを、少しだけ癒してくれるニュースが飛び込んできた。イギリスの出版社、ワンワールド・パブリケーションズが、『Work in Progress』と題した、アブローが生前に書いた本を出版すると発表したのだ。パリを拠点にするファッション批評誌『Vestoj』創刊者で編集長のアンニャ・アロノウスキー・クロンバーグとの共著になる。
アロノウスキー・クロンバーグは同誌を始め、シカゴ現代美術館で2019年に開催されたヴァージルの個展『Figures of Speech』の公式インタビューなど、幾度となく、アブローにインタビューしてきた。
「亡くなる前の数年間にアブローは自身の仕事について、アロノウスキー・クロンバーグとの知的で理論的、想像力に富んだ会話で癒されていた」とワンワールド・パブリケーションズの担当者は語る。
アロノウスキー・クロンバーグは、アブローとともに数年前からこの本に取り組んでいたという。本は、ふたりの対話の記録を元にしたもので、対話の内容には実際に会って交わしたもの、電話やEメール、メッセージのスレッドなども含まれているという。
アブローのアイデアや独創性をベースに、文化批評や論理、アート、個人的なストーリーなど、彼の集大成となる一冊だと発表されているこの本。詳しい出版日に関しては未定だが、いまもなお人々の心に宿る、ヴァージル・アブローの残した偉業を実感できるチャンスになりそうだ。