30~40代でお金の習慣を間違うと老後破産に⁉ “正しい数字との付き合い方”2選

  • 文:川畑明美
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晩婚晩産の現在は、30〜40代でのお金の習慣を間違えると悲惨な老後になってしまう。特に今回は数字との付き合い方から解説しよう。istock

なかなかお金が貯まらないという人は、金額に対して鈍感な傾向がある。

・自分がいくら使ったのか?

・貯金はいくらあるのか?

・ひと月に使って良い金額はいくらなのか?


そういう「具体的な金額」についておおざっぱにしか認識していないし、収支がマイナスなのに見て見ぬフリをしている。「お金持ちになりたい!」と思っていても数字としてお金を捉えることができず「金額という数字」をスルーしがちでどんぶり勘定になっているのだ。そして自分のことを「数字が苦手」という。


前回の記事でも書いているが、ひと昔前のように、20代で子どもを生み育てていれば、30代ともなると少なくとも長子はある程度、手のかからなくなる年齢に達していた。現代は結婚も出産も遅くなり、20代ではなく30代が子育て世代となっている。晩婚・晩産では、子育てが終わってから老後資金を貯める時間がない。だから、お金の使い方を間違えてしまうと、その後の人生で苦労することになりかねない。


逆に30~40代でこのことに気が付くことができれば、お金が貯まる家計に変わるのだ。今回は、30~40代からはじめたい数字との付き合い方についてご紹介しよう。

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赤ちゃんでも数的な感覚を持っている

「数字が苦手」という方が誤解していることもある。私達の脳は「数値化」した方が意識しやすいのだ。数字が入った方がよりピンとくるのだ。例えば、同じくらいの大きさのスイカがあったとする。「こっちのスイカの方が200gも重たいよ」と、言われたら得した感じがしないだろうか? 数字にした方が断然わかりやすいのだ。数字が入ることで脳は明確に記憶できる。


人間は、赤ちゃんの頃から数的な感覚を備えていると言われている。数字を読むことができなくても、りんごが1つあるのと、2つあるのとでは数が違うことを認識している。さらにいうと数が多い、少ないも理解しているのだ。


ということは「数字」が苦手なのではない。学生時代の算数や数学が苦手だったトラウマに過ぎないのだ。金額や数字を意識することは、誰でもできる生まれ持った能力だ。お金の管理が苦手な方は、まず「金額という数字」に敏感になることが重要だ。「数字が苦手」といって避けてしまうのは残念な習慣だ。

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数字との正しい付き合い方その1
→電卓を活用する

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数字が苦手というのは、学生時代のトラウマからきていることも多い。計算が苦手ならば電卓に頼ろう。istock

実は筆者も子どもの頃、算数が苦手だった。早く計算することが苦手だったのだ。なので電卓は手放せない。営業マンだった頃は、マイ電卓を必ず持っていた。お客様の前で、電卓を使って料金の計算をしても嫌な顔をする方は、ほとんどいない。逆に暗算よりも正確と思われるのか計算機の数字をのぞき込んでくれる。つまり計算が不得意で「数字が苦手」と思っているのならば、計算機に頼ればよいわけだ。ファイナンシャルプランナーになった今でも、筆者は計算機を手放せない。そして数字が苦手だとは、思わない。


以前、年収300万円で1000万円を貯めた方のインタビュー記事を読んだことがあるが、その方は、買い物には必ず電卓を持参していたそうだ。レジに行く前に、電卓で計算して予算の範囲内か確認してからレジに行くのだ。この電卓を持って買い物にいくことを教えたところ次のような感想をいただいた。


「『買い物中に電卓を叩いて計算する』発想が私には全くありませんでした。ちょっとした事でも、言われないと気づかないものだなぁとビックリした次第です。どうりで、一日の予算を決めても守れないはずだわと納得しました。私にとっての大きな気づきをありがとうございます」


実は数字に強い人ほど「電卓」を愛用している。大人になって使うのは、足し算、引き算、掛け算、割り算がほとんどだ。つまり電卓で計算できる計算しか使わないのだ。30代・40代から買い物中でも電卓を叩いて計算する習慣をつけておこう。

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数字との正しい付き合い方その2
→毎日使った金額を記録する

繰り返しになるが「数字」というのは、計算することではなく「数値化」するということだ。つまり数字を記録することだけでもよい。苦手意識を克服するには、毎日の習慣にすることだ。毎日使ったお金を記録するだけでも意識が変わる。使ったお金を定点観測するということだ。今日は○○円使ったと記録するだけでも、自分の行動や感情を振り返ることができる。


私達の脳は記憶する時に「感情がゆさぶられる」と記憶の残りやすい。数値化することで、感情がでやすくなり節約の意識を高め続けることができる。数字が苦手という方は、毎日の習慣にしてみよう。今日使ったお金について家族と話すのもいい。例えば、「今日は○○円くらい使い過ぎちゃったな」とか「この○○円の出費は、痛いけど必要なものだった」などと家族と話してみよう。より感情がわき、記憶に残るようになる。


会話する時に数字を意識して入れる習慣をつけることで数字のトレーニングになる。数字のトレーニングは、お金の習慣だけでなく仕事や勉強にも役立つのだ。例えば、数字を会話に入れるとプレゼンの時にも説得力を増す。よいプレゼンができれば、収入も上がるので一石二鳥だ。また最近の学校教育には、ディベートの授業もある。家庭で数字を入れた会話の習慣がついていれば、学校の成績を上げるのにも役立つだろう。

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数字との付き合い方をマスターすると?

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数字が苦手な人にも収支表をつくってもらっている。最初は「大変だ」とか「必要ないのでは? 」といわれるが、作ってみるとかなり効果を発揮する。istock

筆者は、投資を教える時には必ず家計の収支についてもチェックしていただいている。投資にお金を回すと、しばらく使えないお金になってしまうので、安全に家計に投資を取り入れるには、家計の収支を把握することは大事なのだ。家計の収支表を作っていただいた方からは、こんな感想をいただいた。


「実際に収支を作成すると、思っていたより出費が多く、投資をする以前に、このままでは将来的に赤字転落してしまう状況でした。自分の資産を把握、そして月々の収支を把握することは本当に大事ですね。反省して不要な出費を抑えることにし、また固定費も減らすことができました。クレジットカードの明細を一つ一つ確認したところ、不要な月々のサブスクが分かり、解約できました。スマホの不要なサービスも洗い出し、カットもでき……。 結局月々1万円以上の固定費削減ができたと思います。お金の節約ができ少しでも投資にまわせるお金ができると楽しくなりました」

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お金持ちになるスピードがアップ

収支表を作るのに、どんなに大変でも通常は3時間もかからない。1ヶ月1万円、年間で12万円の節約は、時給単価にすると4万円だ。時給にすると「なんて、高収入!」と、思わないだろうか?


ちなみに、前述の感想をいただいた方は、最初はこのように思っていたそうだ。「最初はどれも大変な作業で、『収支表がなくても、投資で得られる利益は変わらないのでは? 』と思っていました。でもそれは間違いでした」お金の管理が苦手で収支表を付けようと思っても、できない自分にイライラしてしまう。そして数字の管理を続けられる人と比較して、自分のダメなところを責めてしまうのだ。


収支表が作れなくても、レシートを保管しておくクセができたならば一歩は前進している。ひとつでもできるようになった自分に目を向けて欲しい。数字との付き合い方が変わると、お金持ちになるスピードがアップするのだから。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/