ドイツ・アカデミー賞監督が日本の“公衆トイレ”で映画撮影へ。役所広司とタッグ

  • 文:青葉やまと
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The Tokyo Toiletサイトより

アカデミー賞受賞経歴をもつドイツの映画監督が、日本での撮影に意欲を示している。その撮影場所は、公衆トイレだ。東京で進むトイレのリニューアル・プロジェクトが監督の興味を惹いた。

東京・渋谷区では2020年から、「The Tokyo Toilet」プロジェクトが進行中だ。 安藤忠雄氏や隈研吾氏など16名の建築家やデザイナーの力を借り、17ヶ所の公衆トイレを洗練されたデザインで順次リニューアルしている。革新的なデザインにより、公衆トイレに根強い負のイメージを払拭するねらいだ。

アカデミー賞受賞経験をもつドイツ人映画監督のヴィム・ヴェンダース氏は、このプロジェクトがもつ社会的意義に賛意を示した。来日し、これらトイレの清掃員たちを主人公とした映画を撮影する意向だ。実際にプロジェクトのトイレに赴き、具体的なシナリオの構想を練るという。今年中に撮影を敢行し、公開は来年を予定している。

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敬遠されるトイレを、公園照らす行燈(あんどん)のような存在に

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The Tokyo Toiletサイトより

「The Tokyo Toilet」プロジェクトは2020年から進み、17ヶ所中すでに12ヶ所のトイレがリニューアルしている。例として、隈研吾氏デザインの有名な「鍋島松濤公園トイレ」は、木立のなか壁面を木材で覆う大胆かつ温かみのあるデザインがひときわ目を引く。

今回のプロジェクトのねらいについて、渋谷区観光協会の金山淳吾理事は豪ウエスト・オーストラリアン紙に対し、「トイレが行燈のように公園を照らし、訪れる人々にとって魅力的な公共の場が生まれることを願います」と語っている。

プロジェクトが5月に発表したリリースは、「それは、従来のイメージを刷新、日々の生活に共存するアートに昇華されており、現在日本だけでなく海外からも大きな注目を集めています」述べており、大きな反響が寄せられている模様だ。

このプロジェクトは、トイレを建てて終わりというわけではない。専用のユニフォームを着用した清掃員たちが日々赴き、清潔な状態に保っている。「このトイレがいつまでも清潔に保たれていたら、それは東京という街の心の美しさをそのまま写す鏡のようなものになる」とプロジェクトは説明している。

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ヴェンダース監督が役所広司とタッグ

ヴィム・ヴェンダース氏は、こうした清掃員たちに注目した。プロジェクトは、「このThe Tokyo Toiletには、特別な清掃員たちがいます。365日、トイレを快適にするために働いています。彼らを主人公にしたアートフィルムを、Wim Wenders監督と、俳優の役所広司さんと制作します」と説明している。

ブルームバーグは、複数の清掃員たちが映画の主人公となり、そこには「『Shall we ダンス?』や『バベル』で知られるベテラン日本人俳優・役所広司が演じる役を含む」と報じた。

日本のトイレ事情は、これまでにも海外の興味をひいてきた。ブルームバーグは、欧米ではめずらしいウォシュレットが日本家庭の80%以上に導入されていると紹介している。戦後こそ下水道の普及の遅れが目立った日本だが、「いまではウォシュレットが日本文化とほぼ同義語となり、世界中に輸出されている」と記事はいう。

公園の一角から負のイメージを拭い去るこのプロジェクトも、建築とアートの力を生かした試みとして、映画化を通じてますます世界に知られることになるかもしれない。

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【写真】生まれ変わった個性豊かなトイレ

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