古着の聖地で、いま新たな試みが始まっている。
100を超える古着店が立ち並ぶ東京の街・高円寺に、ファッション業界人をはじめ、多くの古着ファンを虜にする店がある。創業から22年、ヴィンテージ品やインポートアイテムを扱う「サファリ」その店である。
他店がアメリカなどから古着を買い付けるのに対して、サファリでは洋服の買取・委託販売を行うというスタイルを取り、店内には日本中のコレクターから預かったヴィンテージの服が所狭しと並ぶ。その品揃えは圧巻。ひとたび店の中に足を踏み入れた先は、まさしく「宝の山」だ。
現在、複数の店舗を展開するサファリは、デニムをメインとしたヴィンテージの1号店、ラルフ ローレン中心の2号店、インポートアイテムを扱う3号店、アウトドアウェアが揃う4号店、ユーロヴィンテージをセレクトする5号店をそれぞれ高円寺に構えているが、この春から新たにギャラリーをオープンさせた。
3号店ANNEXの2Fに現れたのは、「サファリギャラリー」と呼ばれるスペース。「モノがモノを繋ぎ、コトがコトを繋ぐ、そして人が人を繋いでいく」をコンセプトに、アート作品と民藝品を取り扱う、サファリの新しい事業の現場だ。
「近現代の民藝の巨匠と近現代ARTの融合を目指し、世界中の伝統工芸から、世界中のカルチャーのトップアーティストの作品を一同に介した、良い意味でのCHAOSな空間を作りたく、ARTとCULTUREのテーマパークを目指す」と案内にあるように、サファリギャラリーはアート作品の展示・委託販売のほか、若手アーティスト支援を目的とした個展の開催など、作品発表の場としても機能する。
民藝においては、普段使いの器から有名作家が作る一点ものまで幅広く展示・販売。濱田庄司、バーナード・リーチをはじめとした作家の貴重な作品や、沖縄陶器やちむん、アフリカ・プリミティブアートなど、近現代アート全般にわたってカバーしているのが特徴だ。
時を経ても変わらぬものの魅力に触れることができる、特別な空間。サファリギャラリーは、古着にも通じる数々の物語が集まる場所になっていくだろう。ひさしぶりに、高円寺までふらりと「旅」に出てみるのもいいかもしれない。