スカンジナビア半島と地中海を結ぶ回廊は、欧州経済にとって極めて重要な南北軸に相当する。北はフィンランドとスウェーデンから、南はマルタ島へと延びるこの回廊には、デンマーク、ドイツ北部・中部・南部のほか、北イタリアの工業中心地と南イタリアのいくつもの港が含まれている。
この回廊地帯は、交通の流れはスムーズだが、ドイツのミュンヘンとイタリアのヴェローナのあいだにあるアルプス山脈は、渋滞が起きがちな箇所だ。
2028年に開通予定のブレンナーベース鉄道トンネル(the Brenner Base Rail tunnel)は、そんな交通渋滞の緩和を目指す一方で、道路から鉄道へのモーダル・シフトを推進することで、EUが定めた環境目標を達成する。これは、環境保護意識の高いアルプス地方の将来にとって不可欠なことだ。
各種大規模プロジェクトの建設状況を伝える動画チャンネルのThe B1Mは、この大規模プロジェクトの歩みを解説し、進捗状況を伝える動画を公開した。
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交通渋滞を緩和させ、環境保護を支援
「標高1371メートルに位置するブレンナー峠は、アルプス山脈越えの道としては最も低所にあり、一年中使用できます」と解説するのは、The B1Mのダン・コルテーゼ(Dan Cortese)氏だ。「1867年には、輸送量を増やすためにブレンナー鉄道が敷設され、1970年代には、北海と地中海を往復する主要な貨物輸送路となるE45高速自動車道が加わりました」
「今日、アルプス山脈を越える全貨物の40%がブレンナー峠を通ります。ただし、急勾配のせいで、列車のスピードを落とす必要があるため、貨物の3分の2以上が道路輸送されているのが実情です。それにより、この地域のレジャー需要とあいまって、この地域は交通渋滞、騒音、空気の悪さで有名になってしまいました。そこで1994年、EUは対策を打つことにしたのです」
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【動画】世界一長いトンネルが建設される様子
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オーストリアのインスブルックを起点とするブレンナーベーストンネルは、イタリアのフォルテッツァまで55kmにおよぶ。完成すれば、インスブルック・バイパス・トンネルとつながることで、全長64kmにわたる世界一長い地下連続鉄道トンネルとなる。
2つの主トンネルには列車が通り、地上とつながっている4つの副トンネルで、物資の出し入れができるようになっている。2つの主トンネルは、非常時用に333mごとに接続され、非常停車場が20km間隔で設置される予定だ。
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動画情報:
制作:The B1M
エグゼクティブプロデューサー&ナレーター:フレッド・ミルズ(Fred Mills)
プロデューサー:ダン・コルテーゼ(Dan Cortese)
動画編集、グラフィックス:ジェームズ・ダーキン(James Durkin)
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※この記事はdesignboomからの提供です。